ブロック塀の撤去費用が決まる要素と補助金|危険な塀の見分け方

監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基

株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。

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家の前のブロック塀が古くなってひびが入っている、少し傾いている気がする、という不安から撤去を考える方が増えています。家の解体にあわせて塀も壊すのか、塀だけを撤去するのかによって、費用の考え方も、使える補助も変わります。

この記事では、建築基準法施行令の基準と国土交通省の点検のチェックポイント、自治体の補助制度の案内をもとに、危険なブロック塀の見分け方、撤去費用が決まる要素、補助の一般的な仕組みと申請の注意点を整理します。

この記事の結論
  • 補強コンクリートブロック造の塀は、高さ2.2m以下、厚さ10cm以上(高さ2m超は15cm以上)などの基準が建築基準法施行令で決められています
  • 撤去費用は、塀の長さと高さ、基礎の大きさ、重機が使えるか、廃材の量で変わります。新しいフェンスを付けるかどうかでも総額は大きく変わります
  • 撤去の補助は、道路に面した危険な塀を対象にする自治体が多く、金額や条件は自治体ごとに違います
  • 補助は工事の前に申請や事前相談が必要なことがほとんどです。先に壊してしまうと対象外になることがあります

全体の考え方は解体費用の計算方法と構造別の単価で整理しています。

目次

ブロック塀の撤去が呼びかけられている理由

平成30年6月18日の大阪府北部を震源とする地震で、ブロック塀などの倒壊による被害が出ました。国土交通省はその直後に、建築物の既設の塀の安全点検のためのチェックポイントを公表し、点検で危険性が確認された場合は、通行する人への注意表示と、補修や撤去が必要だとして、所有者への注意喚起を自治体に求めています。

塀は所有者が管理するものです。民法第717条は、土地の工作物の設置や保存に欠陥があって他人に損害を与えたときは、占有者、場合によっては所有者が賠償する責任を負うと定めています。古い塀が倒れて通行人にけがをさせれば、持ち主として責任を問われる可能性があるということです。

空き家の塀は、住んでいる人がいないぶん傷みに気づくのが遅れがちです。家の解体を考えているなら、建物と一緒に塀の状態も確かめておくと、撤去の判断がしやすくなります。

建築基準法施行令が定めるブロック塀の基準

鉄筋の入った補強コンクリートブロック造の塀は、建築基準法施行令第62条の8で仕様が決められています。鉄筋のないブロック塀やれんが、石の塀は組積造の塀として、第61条で別の基準があります。

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項目補強コンクリートブロック造(令第62条の8)組積造(令第61条)
高さ2.2m以下1.2m以下
壁の厚さ15cm以上(高さ2m以下の塀は10cm以上)その部分から壁頂までの高さの10分の1以上
控壁長さ3.4m以下ごとに、基礎の部分で壁面から高さの5分の1以上突き出したもの長さ4m以下ごとに、壁の厚さの1.5倍以上突き出したもの
鉄筋径9mm以上の鉄筋を縦横80cm以下の間隔で配置(鉄筋の規定はありません)
基礎基礎の丈35cm以上、根入れの深さ30cm以上根入れの深さ20cm以上
補強コンクリートブロック造の高さ1.2m以下の塀は、控壁と基礎の規定が適用されません。構造計算で安全が確かめられた場合は、仕様の基準によらないことができます

古い塀の中には、建てられた当時の基準や施工の状態によって、今の基準に合っていないものがあります。特に、高さに比べて厚さが足りない塀や、控壁のない長い塀、ブロックを積み増して高くした塀は注意が必要です。

自分でできる外観の点検

国土交通省のチェックポイントでは、ブロック塀について次の項目を外から点検し、ひとつでも合わないものがあれば危険なので改善するよう呼びかけています。分からない項目がある場合も、専門家に相談するよう案内されています。

  • 塀の高さは、地盤から2.2m以下か
  • 塀の厚さは10cm以上か(高さが2mを超え2.2m以下なら15cm以上か)
  • 高さが1.2mを超える塀に、長さ3.4m以下ごとに、高さの5分の1以上突き出した控え壁があるか
  • コンクリートの基礎があるか
  • 塀に傾きやひび割れがないか

鉄筋が入っているか、基礎の根入れが十分かといった内部の状態は、外から見ても分かりません。国土交通省の資料では、外観で問題が見つかった場合などに、ブロックを一部外して鉄筋や基礎を確かめる診断を、建築士や専門の工事業者の協力を得て行うことが望ましいとされています。

ブロック塀の撤去費用が決まる要素

ブロック塀の撤去費用は、塀ごとの条件で大きく変わるため、ここでは一律の金額ではなく、見積もりの金額を左右する要素を整理します。

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要素費用への影響
長さと高さ壊すブロックの量が増えるほど、作業時間と廃材が増えます。見積もりはメートル単位や平方メートル単位で出されることが多いです
基礎の大きさ基礎まで撤去するかどうかで、掘る量と運び出すコンクリートの量が変わります
鉄筋の有無鉄筋の入った塀は、ブロックと鉄筋を分けながら壊すため手間がかかります
重機が使えるか前の道が狭い、隣の建物が近いといった現場は手作業が増えます
廃材の処分コンクリートがらとして運び出す量と、処分場までの距離で変わります
新しい塀やフェンス撤去だけか、フェンスや生け垣を新しく付けるかで総額が大きく変わります

家の解体とあわせて塀も撤去する場合は、建物と同じ重機やトラックを使えるので、塀だけを別に頼むより効率よく進められます。見積書では、塀の撤去が付帯工事として別の行に書かれているか、基礎まで含むのかを確かめてください。付帯工事の考え方は解体費用の計算方法の記事に、見積書の項目の読み方は解体工事の費用内訳の記事にまとめています。

撤去のあとに付ける塀やフェンス

塀を取り払ったままにするか、新しく囲いを付けるかは、防犯や目隠し、敷地の境界をどう示すかで決まります。撤去の補助を出している自治体の中には、ブロック塀を撤去したあとに軽いフェンスや生け垣を付ける工事も補助の対象にしているところがあります。

新しく付ける囲いを選ぶときは、倒れたときに人を傷つけにくい軽い素材かどうかも考えてください。既存の基礎を使えるか、新しい基礎を作るかでも費用は変わります。補助の対象になる囲いの種類は自治体ごとに決められているので、工事の内容を決める前に確かめておくと、二度手間を防げます。

ブロック塀撤去の補助の一般的な仕組み

ブロック塀の撤去の補助は、市区町村が独自に設けている制度です。国土交通省の資料では、現行の基準に適合しない塀の除却や改修を、平成30年度第2次補正予算から防災・安全交付金等の基幹事業として支援し、塀単独でも支援が可能で、撤去費などを国と地方で支援すると示されています。国の交付金を使って、自治体が所有者に補助を出す仕組みです。

そのため、補助の条件や金額は自治体ごとに違いますが、多くの制度に共通する点があります。

  • 対象になる塀……道路や通学路など、人が通る場所に面した塀で、一定以上の高さがあり、倒れるおそれがあると判断されたもの
  • 補助の額……工事費の一定割合と、塀の長さに単価を掛けた額のうち低いほう、さらに上限額を設ける形が多い
  • 申請の時期……工事の契約や着工より前に、事前相談や申請を済ませる必要がある
  • 受付の期間……年度ごとの予算の範囲で受け付け、上限に達すると締め切られる
  • 施工業者の条件……市内に本店がある業者に限るなど、業者の条件を付ける制度がある

国土交通省のブロック塀の安全対策のページには、支援制度のある地方公共団体の一覧へのリンクも掲載されています。自分の市区町村に制度があるかどうかを調べる入口として使えます。

補助の一例として横浜市の制度

具体的な姿をつかむために、横浜市の「ブロック塀等改善事業」の令和8年度の案内を見てみます。あくまで一つの自治体の例で、ほかの市区町村の制度とは条件も金額も違います。

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項目横浜市の案内の内容
対象の塀道路等に面し、高さ1m以上で、地震時に倒壊するおそれがあるブロック塀等
撤去の補助額補助対象工事費の10分の9と、長さ×1万3,000円のうち低い額
新しいフェンス等撤去とあわせて行う軽いフェンスや生け垣の新設も対象。工事費の2分の1と、長さに応じた単価の額のうち低い額
上限額(撤去と新設の合計)撤去する塀の長さが10m未満で30万円、10m以上20m未満で40万円、20m以上で50万円
受付令和8年4月1日から12月31日まで。予算の上限に達し次第終了。事前相談が必要
業者の条件市内に本店がある事業者に工事を依頼すること
横浜市「ブロック塀等の改善(撤去・新設)事業」の令和8年度の案内をもとに整理しています。最新の条件は市のページで確認してください

横浜市の案内では、令和8年度中に申請したい場合は10月31日までに事前相談を申し込む必要があるとされ、事前相談の結果が出るまでにおよそ1か月かかると説明されています。このように、補助を使うなら工事の数か月前から動き始める必要があります。

当サイトでは、ブロック塀の補助がある市の例として、朝霞市、草加市、三郷市の解体の記事でも制度を紹介しています。都県ごとの解体の補助は、東京都、神奈川県、埼玉県の記事で探せます。

補助を使って撤去するときの流れ

補助の手続きは自治体ごとに違いますが、事前相談から完了の報告までの大まかな順番は似ています。工事の契約を先に済ませてしまわないよう、流れを頭に入れておいてください。

STEP
制度の有無を調べ、事前相談をする

市区町村の建築や防災の担当課に、対象になる塀かどうかを相談します。現地の確認が入ることもあります。

STEP
見積もりを取って申請する

業者の条件を確かめたうえで見積もりを取り、申請書に添えて提出します。

STEP
交付の決定を受けてから契約、着工

決定の通知が届いてから工事の契約をし、撤去を始めます。工事前後の写真を求められることが多いので、業者に撮影を頼んでおきます。

STEP
完了の報告をして補助金を受け取る

工事が終わったら、領収書や写真を添えて完了の報告をし、補助金の請求をします。

家の解体とあわせて進める場合の全体の段取りは、解体工事の流れの記事で紹介しています。

隣との境界にある塀と、耐震診断が義務になる塀

塀が隣の土地との境界線の上に建っている場合は、自分だけの判断で壊さないでください。民法第229条は、境界線上に設けた囲障や障壁は、隣り合う所有者の共有に属するものと推定すると定めています。撤去や作り直しの前に、塀がどちらの土地にあるのか、費用をどう分けるのかを隣の方と話し合っておくことが大切です。

また、耐震改修促進法の施行令の改正(平成31年1月1日施行)で、建物に付属する塀のうち、地方公共団体が指定した避難路の沿道にあり、倒れると道の半分以上をふさぐおそれのある一定の高さと長さのものが、耐震診断の義務付けの対象に加わりました。国土交通省の資料では、長さが原則25mを超えるものが対象で、小さな建物の塀が対象外になるよう設定されていると説明されています。広い敷地の塀を持っている場合は、自治体の建築の担当課に対象かどうかを確認してください。

ブロック塀の撤去でよくある質問

ブロック塀の撤去費用はいくらですか?

長さと高さ、基礎の大きさ、鉄筋の有無、重機が使えるか、廃材の量で変わるため、一律の金額は示せません。現地を見てもらい、基礎まで撤去するのか、新しいフェンスを含むのかを分けた見積もりを取ってください。

補助金は工事のあとでも申請できますか?

多くの自治体では、工事の契約や着工の前に申請や事前相談が必要です。工事を終えてからでは対象にならないことがあるので、先に自治体へ相談してください。

家の解体と一緒に塀を壊しても補助は使えますか?

自治体の制度によって扱いが違います。塀の撤去の補助と、空き家の解体の補助を同時に使えるかどうかも含めて、両方の担当課に確認してください。

ひびがあるだけでも撤去したほうがよいですか?

国土交通省のチェックポイントでは、傾きやひび割れがないかが点検項目の一つになっていて、ひとつでも合わない項目があれば危険なので改善するよう呼びかけています。補修で済むか撤去が必要かは、専門家に見てもらって判断してください。

ブロックを上に積み足して高くしても大丈夫ですか?

高さが変わると、厚さや控壁、基礎に求められる基準も変わります。もとの塀が新しい高さに見合う造りになっているとは限らないので、積み足す前に専門家に相談してください。

まとめ

ブロック塀は、建築基準法施行令で高さや厚さ、控壁、鉄筋、基礎の基準が決められていて、国土交通省のチェックポイントで外から点検できます。撤去費用は塀の長さと高さ、基礎、重機が使えるか、廃材の量、新しいフェンスの有無で変わります。補助は道路に面した危険な塀を対象に自治体ごとに設けられていて、工事の前の申請が必要なことがほとんどなので、見積もりを取る前に市区町村の制度を確認してください。

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