監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基
株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。


閉店や移転、建て替えで店舗を解体するとき、費用の調べ方は店舗の形によって変わります。ビルや商業施設に入っているテナントなのか、土地の上に建つ一棟の店舗なのかで、工事の中身も金額の決まり方も別になるからです。
この記事では、店舗解体を「テナントの内装解体」と「建物ごとの解体」に分けて、費用の目安と決まり方を整理します。業種ごとに増えやすい撤去、退去時に契約で確かめること、必要な手続き、費用を抑える方法までまとめました。
全体の考え方は解体費用の計算方法と構造別の単価で整理しています。
「店舗の解体」と一口に言っても、実際の工事は大きく2つに分かれます。どちらに当たるかで、見積もりの見方も必要な手続きも変わります。
| 比べる点 | テナントの内装解体 | 建物ごとの解体 |
|---|---|---|
| よくある店舗 | ビルの1階の飲食店、商業施設の区画、駅前の雑居ビルの店舗 | 路面に建つ一棟の店舗、ロードサイドの店舗、店舗付き住宅 |
| 壊すもの | 借りていた区画の内装と設備 | 建物本体、基礎、外構 |
| 金額の決まり方 | 撤去の範囲、搬出経路、作業時間、ビルの工事ルール | 構造別の坪単価×延床面積に、付帯工事と諸経費を足す |
| 範囲を決めるもの | 賃貸借契約と、ビルの工事区分 | 建物と土地の持ち主の計画 |
| 建物滅失登記 | 不要(建物は残る) | 解体後1か月以内に必要 |
自分の店舗がどちらに当たるかが分かったら、それぞれの費用の考え方に進んでください。店舗付き住宅のように、建物を持っている人と店を営む人が同じ場合は、建物ごとの解体として考えます。
一棟の店舗を壊す場合は、住宅と同じく「坪単価×延床面積」で概算を出せます。当サイトでは、建物本体の解体費の坪単価を構造ごとに次のように案内しています。これを店舗によくある広さに当てはめた試算が下の表です。
| 延床面積 | 木造(3万〜6万円/坪) | 軽量鉄骨造(4万〜6万円/坪) | 重量鉄骨造(5万〜7万円/坪) |
|---|---|---|---|
| 30坪(約99㎡) | 90万〜180万円 | 120万〜180万円 | 150万〜210万円 |
| 50坪(約165㎡) | 150万〜250万円 | 200万〜300万円 | 250万〜350万円 |
| 100坪(約331㎡) | 300万〜500万円 | 400万〜600万円 | 500万〜700万円 |
一棟の店舗には鉄骨造の建物もよくあります。柱と梁を鉄骨で組むと、柱の少ない広い売り場を作りやすいためです。鉄骨の太さで軽量鉄骨造か重量鉄骨造かが分かれ、重量鉄骨造のほうが切断に手間がかかります。構造の調べ方は、建築確認の書類や登記の記載で確認できます。
坪単価の考え方と、本体費に足す費用の計算方法は解体費用の計算方法の記事で解説しています。コンビニのような平屋の鉄骨店舗についてはコンビニ解体費用の記事も参考になります。
ビルや商業施設に入っている店舗は、建物は残したまま区画の中を撤去します。この場合は建物の坪単価が当てはまりません。当サイトでは、テナントの内装解体に一律の単価を示せる確かな根拠がないため、金額を動かす要素で説明します。
| 要素 | 費用が増えやすい条件 |
|---|---|
| 面積 | 区画が広い。狭くても最低限の人件費と運搬費はかかる |
| スケルトンか原状回復か | スケルトンまで戻す契約で、天井や床の下地まで外す |
| 天井・床・壁 | 天井裏の配線やダクトまで撤去する、床のかさ上げやタイルを壊す |
| 設備 | 厨房機器、空調、給排水、電気、看板、防音や防水の工事が多い |
| 搬出経路 | 上の階の区画、搬入用エレベーターが使えない、トラックを止める場所が遠い |
| 作業時間 | 夜間や休館日しか作業できない、音の出る作業の時間が限られる |
| ビルの工事ルール | 指定業者、共用部の養生、工事の申請、警備員の配置などが決められている |
商業施設の中の店舗では、ほかの店が営業している時間に大きな音を出せないことが多く、作業は閉館後に限られることがあります。夜間の作業は人件費が上がり、1日に進められる量も減るため、同じ範囲を撤去しても路面のテナントより高くなりやすいです。
テナントの退去では、工事の期間も費用に関わります。明け渡しの日までに撤去を終える必要があり、契約によっては工事をしている間も賃料がかかるためです。見積もりを頼むときは金額だけでなく、何日で終えられるか、作業できる時間帯で工期がどう変わるかもあわせて聞いておくと、退去までの段取りを組みやすくなります。
店舗の解体費用に差が出やすいのは、業種ごとに残っている設備の量です。同じ広さの区画でも、飲食店と物販店では撤去するものがまるで違います。
| 業種 | 撤去で増えやすいもの | 見積もりで確認したい点 |
|---|---|---|
| 飲食店 | 厨房機器、排気ダクト、グリストラップ、床の防水やかさ上げ、給排水とガスの配管 | ダクトを屋上や外壁までたどって外すか、床下の配管をどこまで撤去するか |
| 美容室・サロン | シャンプー台の給排水、床下の配管、鏡や造作の家具 | 床を上げて配管を通していないか |
| 物販店 | 陳列棚、レジカウンター、照明、看板、倉庫の棚 | 什器を誰が処分するか、リースの機器がないか |
| クリニック・事務所系 | 細かい間仕切り、給排水の設備、電気や通信の配線 | 間仕切りの量と、天井裏の配線の撤去範囲 |
飲食店では、排気ダクトが天井裏を通って外壁や屋上まで延びていることがあります。どこまでが自分の店の設備で、どこからがビルの設備かを図面で確かめておくと、見積もりの範囲がはっきりします。リースで借りている厨房機器や券売機は、解体の前にリース会社へ返却の手配をしてください。
建物ごと解体する店舗では、住宅よりも屋外の付帯物が多いことがあります。本体の坪単価には含まれないので、見積もりで別の項目として確認してください。
駐車場が広い店舗では、舗装の撤去だけで大きな量になります。舗装を残して次に使うのか、すべて壊して更地にするのかで、費用が変わります。見積書の項目の読み方は解体工事の費用内訳の記事で解説しています。
テナントの店舗をどこまで撤去するかは、借り主の希望ではなく賃貸借契約で決まります。退去の日が近づいてから慌てないように、早めに次の点を確認してください。
ビルの工事では、工事の範囲を「A工事」「B工事」「C工事」と分けることがあります。一般には、A工事はビル側が費用を出して行う工事、B工事は借り主が費用を出してビル側の指定業者が行う工事、C工事は借り主が費用を出して自分で選んだ業者が行う工事を指します。ただし、呼び方や範囲はビルや契約によって違うので、契約書と工事の区分表で確認してください。
居抜きで次の借り主に引き継げれば、撤去の範囲が減ることがあります。ただし貸し主の承諾が必要で、話がまとまらなければ契約どおりの撤去が求められます。承諾を得たら、内容を書面に残してください。
| 手続き | 内容 |
|---|---|
| 建設リサイクル法の届出 | 建物を解体するときは、床面積の合計が80㎡以上なら、工事の7日前までに届け出ます。テナントの内装の撤去は扱いが別なので、対象になるかを業者に確認します |
| アスベストの事前調査 | 解体と改修のどちらの工事でも必要です。一定規模以上の工事では、調査結果の報告も必要です |
| ライフラインの停止 | 電気、ガス、水道、通信の停止や撤去を依頼します。ガスは閉栓の手配も必要です |
| 廃棄物の処理 | 解体で出た廃材は産業廃棄物として処理されます。マニフェスト(産業廃棄物管理票)で、処理まで適正に行われたかを確かめられます |
| 建物滅失登記 | 建物ごと解体した場合は、解体後1か月以内に法務局で行います |
古い店舗は、天井材や外壁材などにアスベストが使われていることがあります。含まれていた場合の除去の流れと費用の考え方は、アスベストがある建物の解体工事ガイドにまとめています。
テナントなら賃貸借契約と工事区分、建物ごとなら構造と延床面積を確かめます。
業者に現地を見てもらい、撤去の範囲と付帯工事を決めて見積もりを取ります。
必要な届出とアスベストの調査を済ませ、ビルの工事申請や近隣へのあいさつをします。
設備を外し、内装や建物本体を壊します。廃材は種類ごとに分けて運び出します。
テナントなら貸し主と状態を確認し、建物ごとなら整地して滅失登記をします。
各段階でやることは解体工事の流れの記事でくわしく説明しています。鉄骨造のビルを解体した流れは東京のビル解体工事の記事も参考になります。
見積もりのあとで追加の費用が出るのを防ぐ確認点は、見積もりトラブルの記事にまとめています。
建物ごと解体する場合は、当サイトでは木造3万〜6万円、軽量鉄骨造4万〜6万円、重量鉄骨造5万〜7万円を建物本体の目安にしています。テナントの内装解体は撤去の範囲で大きく変わるため、一律の単価は示していません。
賃貸借契約の内容で決まります。スケルトンで返す契約もあれば、借りたときの状態に戻す契約もあります。契約書の返還時の状態を確認してください。
厨房機器、排気ダクト、給排水やガスの配管、床の防水など、撤去する設備が多いためです。設備をどこまで外すかを見積もりで確認してください。
契約やビルの決まりで指定業者が定められている場合は、その業者に頼むのが原則です。どの工事が指定の対象になるかを、工事区分の書類で確認してください。
広さ、撤去の範囲、作業できる時間帯で変わります。夜間しか作業できないビルでは、1日に進められる量が減るぶん工期が延びやすいです。退去の予定が決まったら、早めに現地調査を頼んで工期を確認してください。
空き家の解体を対象にした補助金は住宅を前提にしたものが多く、店舗は対象外のこともあります。店舗付き住宅などは対象になる場合もあるので、市区町村の窓口で確認してください。
店舗解体の費用は、テナントの内装解体か、建物ごとの解体かで考え方が分かれます。建物ごとなら構造別の坪単価×延床面積が目安で、看板や駐車場などの付帯工事が加わります。テナントなら賃貸借契約で撤去の範囲を確かめ、業種ごとの設備、搬出経路、作業時間、ビルの工事ルールをそろえた見積もりで比べてください。