監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基
株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。


火事のあと、焼けた家をどうするかは、気持ちの整理がつかないうちに決めることが増えます。ただ、解体業者を呼ぶ前に確認しておかないと、保険金の請求や公的な支援で不利になることがあります。
この記事では、消防署や環境省、国税庁、保険会社の公開資料をもとに、火災後の解体で確認する順番と、費用の出どころを整理します。
監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基
株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。

| 順番 | すること | 相手 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 1 | 調査が終わるまで現場に入らず、片付けもしない | 消防、警察 | 東京消防庁の案内では無断立入りは禁止で、片付けは調査の終了後です |
| 2 | り災申告書を出し、り災証明書を受け取る | 消防署 | 滝野川消防署の案内では、申告書はおおむね1週間以内に提出します |
| 3 | 保険会社か代理店へ連絡し、現場の確認を受ける | 保険会社 | 小樽市は消防、警察、保険会社の調査が終わってから片付けるよう案内しています |
| 4 | 公費解体や補助の対象か、廃棄物の扱いを確認する | 市区町村 | 窓口は廃棄物担当、防災担当、空き家担当に分かれていることがあります |
| 5 | 解体業者に現地を見てもらい、石綿の調査と見積もりを受ける | 解体業者 | 登録または許可の番号も確認します |
| 6 | 届出をして工事を行う | 都道府県等、業者 | 床面積80㎡以上は建設リサイクル法の届出が必要です |
| 7 | 建物の滅失登記をする | 法務局 | 小樽市の案内でも、解体した場合は滅失登記が必要とされています |
順番を入れ替えないでほしいのは、1から3までです。り災証明書は、火災保険金の請求、税金の減免、焼けた物の処分などの手続きで求められることがあります。名古屋市の案内では、火災のり災証明書は消防署長が証明するもので、風水害や地震で使う罹災証明書とは別のものと説明されています。提出先を確かめて、必要な枚数を受け取っておくと手続きが進めやすくなります。
解体を待つ間は、再び燃え出さないかの見回りと、人が入らない管理が欠かせません。東京消防庁は火種が残っているおそれがあるとして、しばらく焼け跡を見回るよう呼びかけ、小樽市は容易に侵入できないようにすることを案内しています。
焼けた建物に限った公的な相場は確認できなかったので、まず通常の解体の目安で全体の規模をつかみます。
| 構造 | 坪単価の目安 | 30坪の試算例(本体のみ) |
|---|---|---|
| 木造 | 3万〜6万円 | 90万〜180万円 |
| 鉄骨造 | 5万〜7万円 | 150万〜210万円 |
| RC造 | 6万〜10万円 | 180万〜300万円 |
上の表は坪単価に30坪を掛けただけの試算例で、実際の請求額ではありません。計算の考え方は解体費用の計算方法の記事で確認できます。焼けた建物の見積もりでは、次の点を書面で確かめてください。
見積もりの読み方は費用内訳の記事に、追加費用が起きやすい理由は追加費用の記事にまとめています。工事全体の流れは解体工事の流れの記事で確認できます。
日本損害保険協会のQ&Aでは、火災保険で焼け跡の整理にかかる残存物の取片づけ費用について保険金が出る仕組みがあると説明されています。ただ、名称も条件も契約で違うので、証券の特約欄と約款で確かめます。
| 項目 | 公開資料にある内容の例 | 確認の仕方 |
|---|---|---|
| 残存物取片づけ費用 | 損保ジャパンの案内では、損害保険金が支払われる場合に、残存物の取片づけに必要な費用へ支払われます。東京海上日動の超ビジネス保険では実費で、1事故につき損害保険金の10%が限度です | 自分の契約の限度額と、解体工事のどこまでが対象か |
| 臨時費用 | 損保ジャパンの案内では、損害保険金が支払われる場合に、臨時に生じた費用へ支払われます | 付いているか、金額はいくらか |
| 建物本体の損害保険金 | 全焼か一部焼けかなど、損害の認定によって変わります | 損害額の認定と支払時期 |
保険会社には「残存物の片付けは対象か」「建物の取り壊しまで含むか」「工事前に現場を見る必要があるか」「請求に見積書か領収書のどちらが要るか」の4点を聞くと話が早く進みます。回答は電話だけで済ませず、メールなど形に残る方法でもらっておくと、業者との打ち合わせにそのまま使えます。
隣の家からの延焼で被害を受けた場合、同協会のQ&Aでは、失火責任法により重大な過失がない限り、火元に損害賠償を請求するのは難しいと説明されています。まず自分の火災保険を確認してください。
環境省の質疑応答集によると、公費解体は、災害による被害が甚大な場合に、生活環境の保全や二次災害の防止、再建支援などのために、市町村が所有者に代わって解体、撤去を行うものです。同省のマニュアルは、損壊した家屋の解体は本来私有財産の処分で、原則として所有者の責任で行うとしています。補助の対象は全壊家屋が基本で、半壊家屋の解体費は、その災害が特定非常災害に指定された場合に対象になるとされています。
つまり、火事だから使えるという制度ではなく、災害としての位置づけが前提です。火災で実施された例としては、2025年11月の大分市佐賀関の大規模火災があります。大分市の公開情報では、罹災証明書等で半壊以上と判定された、個人または中小企業者が所有する家屋が対象で、市が行う場合は個人の負担がありません。報道によると、焼損196棟のうち半壊以上の171棟が撤去されました。
この例は市が対象を決めて受付期間を設けたもので、1軒の住宅火災にそのまま当てはまるものではありません。1軒だけの火災で公費解体が使えると書いた公的資料は、今回の調査では確認できませんでした。条件を確かめるなら、市区町村の廃棄物担当に、公費解体の予定があるかを聞いてください。
大規模火災で制度が動く可能性があるときは、自費で壊す前に必ず相談してください。大分市の案内では、自費で業者に頼んだ場合の償還は基準額と実費を比べて少ないほうで、全額が戻らないことがあります。また、自費で一部だけ解体、撤去した家屋は対象外とされています。
誰が何を処分するかで扱いが分かれます。解体業者に工事を頼むと、大阪府の案内にあるとおり、建設工事から出る産業廃棄物は元請業者が排出事業者として処理する責任を負います。一方、自分で片付ける家財などは、自治体の火災ごみの制度を使えることがあります。
| 分類 | 扱いの例 | 確認先 |
|---|---|---|
| 解体工事で出る廃材 | 元請業者が排出事業者となり、産業廃棄物として処理します | 解体業者。契約前に処分先も確認 |
| 焼けた家財を自分で出す | 堺市は罹災証明書をもとに減免の制度があります。滝野川消防署の案内では粗大ごみの料金が約90%減額される可能性があるとしています | 市区町村のごみ担当 |
| 建物の柱や壁 | 堺市の減免では建物の躯体や付随する物、建設業者や解体業者が処理した物は対象外です | 市区町村のごみ担当 |
制度の範囲は自治体でかなり違います。焼けた家財の片付けを業者に頼むなら、その費用が自治体の減免から外れないかを、頼む前に確認してください。家財の片付けの進め方は残置物処分の記事が参考になります。
建物の解体では、石綿含有建材の事前調査が必要です。環境省の資料によると、解体部分の床面積の合計が80㎡以上の建築物は調査結果の報告も必要で、厚生労働省の報告システムの案内では、石綿の有無によらず報告が必要で、2023年10月以降に着工する工事の調査は有資格者が行う必要があります。公費解体のマニュアルでも、被災家屋の解体で事前調査を行ったうえで飛散防止措置を講じるよう求めています。
焼けて材料が判別しにくいからこそ、調査者が誰で、結果をどう説明してもらえるかを最初に聞いてください。詳しくはアスベストの記事で確認できます。
火災は雑損控除の対象になる災害に含まれます。国税庁のタックスアンサーでは、焼けた住宅や家財を取り壊したり除去したりするための支出が災害関連支出にあたり、受け取った保険金を差し引いて控除額を計算するとされています。領収書を残し、税務署か税理士に相談してください。事業用の建物は別の扱いになります。
火災の解体だけを対象にした国の補助金は、今回の調査では確認できませんでした。自治体の老朽建物や空き家の解体補助が使える場合はありますが、要件は自治体ごとに違い、着工前の申請が必要な制度もあるので、工事の契約前に聞いてください。東京都の例は東京都の補助金一覧の記事にあります。
解体後は、建物滅失登記と、翌年度の固定資産税の変化を確かめます。住宅がなくなると土地の特例が外れる場合があるため、再建するか土地を手放すかの判断材料として、早めに市区町村へ確認してください。
消防と警察の調査、保険会社の確認が終わってからです。終わった日を確認し、保険会社に片付けてよいかを聞いてから、業者と日程を決めてください。
環境省の資料では災害時に市町村が行う制度で、全壊家屋が基本、半壊は特定非常災害の場合です。具体的な受付や対象は市町村が示します。1軒の火災で自動的に使えるものではありません。
火災の解体だけを対象にした国の補助は確認できませんでした。自治体の空き家や老朽建物の補助が使える場合があるので、契約前に窓口に確認してください。
解体工事で業者が処理する廃材は、元請業者が排出事業者となる産業廃棄物の扱いです。自分で片付ける家財は、自治体の火災ごみの制度が使えることがあります。
複数の見積もりで範囲と金額を比べ、自治体の補助の有無を確認します。解体資金の借り入れは解体ローンの記事で確認できます。
火事のあとは、調査の終了と保険会社の確認を待ってから解体に進みます。費用は通常の目安で規模をつかみ、見積もりで焼け跡特有の範囲を確かめます。公費解体は災害時の制度なので、対象かどうかは市区町村に聞きます。最初の一歩は、消防署でり災証明書の手続きを確かめ、保険会社に残存物取片づけ費用の条件を聞くことです。