監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基
株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。


借地の家が古くなった、相続した家の土地が借地だった。そんなときに必ず出てくるのが、解体費用は借りている側と地主のどちらが払うのかという問題です。「借地人が更地にして返すもの」と聞く一方で、建物買取請求権という言葉も出てきて、何が自分に当てはまるのか分かりにくいと思います。
この記事では、借地借家法と民法の条文、国土交通省の定期借地権の解説をもとに、場面ごとの基本の考え方を整理します。ただし、借地の問題は契約の内容と経緯で結論が変わります。ここに書くのは話し合いの出発点で、個別の判断は弁護士などに確認してください。
監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基
株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。

借地の上の建物は借地人のものです。民法第601条で賃借人は契約が終わったら借りた物を返す約束をしていて、第622条が準用する第599条第1項により、借りた後に附属させた物を収去する義務を負います。土地を借りて建てた建物は、この考え方で取り壊して返すのが基本になります。
一方で、建物を壊すと大きな損失になるので、借地借家法は借地人を守る仕組みを置いています。それが第13条の建物買取請求権で、第16条は第13条や第14条に反する借地権者に不利な特約を無効としています。つまり、普通の借地で「期間が満了したら必ず無償で壊して返す」と書いてあっても、そのまま有効とは限りません。
| 場面 | 解体費の基本の考え方 | 確認すること |
|---|---|---|
| 普通借地 期間満了で更新なし | 借地人は時価での買取りを請求できる。請求すれば建物は地主のものになる | 更新を拒む正当事由の有無(第6条) |
| 普通借地 借地人から途中で返したい | 当事者の合意による。解体して返す合意なら借地人負担が多い | 第13条の要件に当たらないことがある。合意の内容 |
| 地代滞納などで解除 | 建物収去を求められる側になる。買取請求は判例で認められていない | 解除の有効性 |
| 一般定期借地、事業用定期借地 | 原則として借地人が取り壊して返す | 契約書の特約、撤去の期限 |
| 建物譲渡特約付借地 | 地主が建物を買い取るので収去せずに返す | 譲渡の対価、併用の有無 |
| 借地権を建物ごと売る | 解体しないで売る。解体するなら売買の条件による | 地主の承諾、裁判所の許可 |
第13条第1項は、借地権の存続期間が満了し、契約の更新がないとき、借地権者は建物などを時価で買い取るよう地主に請求できると定めています。地主が更新を拒み、正当事由が認められたときが典型です。時価は建物の価値が基本で、借地権の価格そのものは加算されないものの、場所的な利益を一定額加える扱いが一般的と弁護士の解説では説明されています。古い建物では高い金額にならないこともあります。
使えないのは次のような場面です。地代の滞納など借地人の債務不履行で解除された場合、判例は買取請求を認めていません。定期借地では、第22条や第23条に基づいて買取請求をしない特約を定められます。また、借地人から合意で解約する場合は、条文の「期間満了で更新なし」とは状況が違うので、当然に請求できるとは考えないでください。
もう一つ、第14条の買取請求もあります。第三者が借地上の建物を取得し、地主が賃借権の譲渡を承諾しないとき、その第三者が地主に時価での買取りを請求できる規定です。
借地借家法は平成4年8月1日に施行されました。それより前に設定された借地権も多く残っていて、更新については附則第6条により従前の例、つまり旧借地法によります。建物の朽廃や再築についても経過措置があります。古い契約書の借地は、どの法律が適用されるかから確認してください。
費用より先に確認したいのがここです。壊してから気づいても元に戻せません。
| 条文 | 内容 | 解体すると起きること |
|---|---|---|
| 第5条 | 更新請求は建物がある場合に限る | 期間満了のときに建物がないと、更新の請求ができない |
| 第10条 | 登記された建物があれば借地権を第三者に対抗できる | 建物が滅失すると、掲示をしないと対抗力を失うおそれがある。掲示の効力は滅失から2年までが基本 |
| 第13条 | 建物の買取請求 | 建物がなければ買い取ってもらうものがない |
| 第7条、第8条 | 再築と承諾 | 再築には地主の承諾の問題がある。更新後の滅失は解約の問題にもなる |
たとえば、地主に黙って建物を壊すと、土地を第三者に売られたときに借地権を主張できなくなるおそれがあります。老朽化で危険があるなど急ぐ事情があっても、書面で地主に連絡し、弁護士に相談してから工事の契約をしてください。
場面の表のどこに当てはまるかは、契約書を読まないと決まりません。地主の手元にしかないなら、写しをもらってください。見る場所は次のとおりです。
更新の後に建物がなくなった場合については、第8条に特別な規定があります。取壊しを含む建物の滅失があると、借地権者は土地の賃貸借の解約の申入れができ、申入れから3か月で借地権が消滅します。ただし第7条の定義や附則第7条のとおり、平成4年8月1日より前に設定された借地権には第8条は適用されません。借地人の側から借地を終える手段にもなる規定なので、使えるかどうかを弁護士に確認してください。
借地権を売るときは、更地にしないで建物ごと売るのが普通の形です。賃借権の譲渡には地主の承諾が必要で(民法第612条)、地主が承諾しないときは、地主に不利となるおそれがなければ、裁判所が承諾に代わる許可を与える手続きがあります(借地借家法第19条)。これが借地非訟事件で、東京地方裁判所の案内では6種類の事件の一つとされています。
買主が建て替えるつもりで、解体費を誰が払うかを話すことはあります。その場合は売買の価格と条件の問題になるので、売却前に自分で壊さず、不動産会社に買主の探し方を相談してください。売るか壊すかの一般的な比較は売却と解体の比較の記事にあります。
地主と話がまとまったら、口約束にしないでください。次の項目を入れた合意書を作り、弁護士に内容を見てもらうと安心です。
解体範囲の項目は、見積もりにそのまま影響します。浄化槽、井戸、ブロック塀などは別料金になることがあるので、追加費用の記事も確認してください。滅失登記は建物滅失登記の記事で説明しています。
借地人が費用を負担して解体するなら、工事の契約は借地人が結ぶのが基本で、床面積80㎡以上なら建設リサイクル法の届出も発注者の立場で行います。地主が負担する合意でも、誰が発注者になるかは合意書に書いてください。
工事が終わったら、地主に立ち会ってもらい、合意した範囲まで撤去できているかを一緒に確かめます。写真と取壊し証明書を残しておくと、後から地中の物などで話が食い違ったときの資料になります。
借地だからといって解体の単価が変わるわけではありません。目安は木造で坪3万〜6万円、鉄骨造で坪5万〜7万円、RC造で坪6万〜10万円で、木造30坪なら本体工事の試算例で90万〜180万円です。計算の方法は解体費用の計算方法の記事に、工事の流れは解体工事の流れの記事にまとめています。
| 相談先 | 相談すること |
|---|---|
| 弁護士、各地の弁護士会の法律相談 | 買取請求権、更新、合意書、地主との交渉 |
| 法テラス・サポートダイヤル(0570-078374) | 相談先の案内。平日9時から21時、土曜9時から17時 |
| 不動産鑑定士 | 建物の時価や借地権の価格 |
| 司法書士、土地家屋調査士 | 相続や建物の登記 |
| 地方裁判所 | 借地非訟の手続きの案内 |
定期借地なら原則としてそのとおりです。普通借地では、第13条に反する不利な特約は第16条により無効とされるので、書いてあるだけで決まるとは言えません。契約の種類と終わり方を確認してください。
自分の建物でも、更新や対抗力で不利になるおそれがあり、契約で制限されていることもあります。事前に契約書を確認し、地主と話してください。
地主の都合で返してほしいときなどは、立退料や解体費の負担を含めて交渉することはあります。金額は当事者の話し合いによるので、提案を受けたら合意書の形で確認してください。
相続人が複数いると、建物の解体には共有者の同意の問題も出ます。相続と未登記建物の記事も参考にして、相続の整理と地主との話を並行して進めてください。
借地の解体費用は借地人の負担が基本ですが、普通借地の期間満了では買取請求権があり、定期借地では取り壊して返すのが原則というように、契約と終わり方で変わります。今日できることは、契約書と登記を確認し、契約の種類、期間、設定の時期を書き出すことです。それを持って弁護士か法テラスに相談し、解体するなら合意書を作ってから見積もりを取ってください。