監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基
株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。


解体の補助金は、国に直接申請するものではありません。国の空き家対策総合支援事業などを財源に市区町村が制度を作り、所有者は市区町村に申請するのが基本の形です。そのため、制度の有無も金額も、建物のある市区町村によって変わります。
申請でいちばん多い失敗は順番です。多くの制度は、交付決定の前に業者と契約したり着工したりすると対象外になります。この記事では、国の制度の仕組み、自治体の制度の種類、自分の地域の探し方、申請の順番、よくある失敗を順に説明します。
監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基
株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。

解体費に使える補助金には、国、都道府県、市区町村の3つの層があります。とはいえ、申請者である所有者から見ると、窓口はほとんどの場合、市区町村です。
| 層 | 役割 | 例 | 所有者の申請先 |
|---|---|---|---|
| 国 | 自治体の事業に交付金や補助金を出します | 空き家対策総合支援事業、住宅・建築物耐震改修事業 | 直接は申請しません |
| 都道府県 | 独自の補助や、市区町村の支援をします | 東京都の空き家家財整理・解体促進事業 | 制度により異なります |
| 市区町村 | 要綱を作り、対象と金額を決めて交付します | 老朽空き家の除却補助、耐震除却の補助 | 市区町村の担当課 |
神奈川県のように、県が県民に直接交付する解体補助がなく、市の制度を使う地域もあります。市区町村に制度がなければ、国の制度があっても所有者はその恩恵を受けられません。国土交通省の空き家対策の案内でも、除却の補助については市区町村のホームページや窓口で確認するよう呼びかけています。
国の予算資料を読むと、解体に関わる支援には次のようなものがあります。いずれも令和8年度の国土交通省住宅局の予算概要にもとづく内容です。
空家等対策計画にもとづいて市区町村が行う空き家の除却や活用を支援する事業です。事業期間は令和8年度から令和12年度までで、除却の主な補助率は次のように示されています。
| 実施の形 | 国 | 地方公共団体 | 所有者 |
|---|---|---|---|
| 所有者が除却し、市区町村が補助する場合 | 2/5 | 2/5 | 1/5 |
| 市区町村が実施する場合 | 2/5 | 3/5 | なし |
| 代執行などの場合 | 1/2 | 1/2 | なし |
所有者の負担が5分の1で済むという意味ではない点に注意してください。自治体は上限額や対象工事費の単価を定めているので、実際の自己負担はもっと大きくなるのが普通です。対象の例としては、特定空家等の除却や、跡地を地域の活性化のために計画的に使う除却が挙げられています。
同じ内容は、社会資本整備総合交付金の空き家再生等推進事業でも支援できるとされています。
耐震性のない住宅の耐震改修、建替え、除却を支援する事業です。こちらも地方公共団体を通じた間接補助で、民間事業者や個人への直接の補助ではありません。令和8年度に拡充された除却移転支援では、駅やバス停から1kmを超える場所にある住宅を除却し、800m以内に移転する場合、国と地方で3分の2、除却費は1戸あたり200万円を限度に支援するとされています。ただし、利用できるかどうかは自治体が制度を設けているかで決まります。
老朽木造建築物の早期除却で延焼の危険を減らすため、密集市街地総合防災事業などの支援があります。東京都の不燃化特区のように、都道府県や区の手厚い助成につながっている地域があります。東京都の例は東京都の解体補助金の記事で説明しています。
解体だけでなく新築を伴う場合は、みらいエコ住宅2026事業のように、古家の除却で補助額が加算される制度もあります。子育て世帯や若者夫婦世帯の長期優良住宅で、古家の除却を行う場合は95万円/戸(1〜4地域は100万円/戸)とされています。対象工事や受付状況は変わるので、公式の情報を確認し、住宅会社にも相談してください。
自治体の制度は名前がさまざまですが、目的で分けると次の5種類に整理できます。同じ自治体に複数の制度があることもあるので、1つが対象外でも他を確認してください。
| 種類 | 主な目的 | 建物の条件の例 | 確認する窓口の例 |
|---|---|---|---|
| 老朽空き家の除却 | 倒壊の危険や生活環境の悪化を防ぎます | 空き家であること、老朽度の判定、特定空家等の認定 | 空き家対策、住宅の担当課 |
| 耐震除却 | 耐震性の低い住宅を減らします | 昭和56年5月31日以前の建築、耐震診断の結果 | 建築指導、防災の担当課 |
| 不燃化、密集市街地 | 火災の延焼を防ぎます | 指定地区内、老朽建築物、建替えの有無 | 街づくり、防災の担当課 |
| ブロック塀の撤去 | 地震での倒壊を防ぎます | 道路に面している、高さの条件 | 建築指導、防災の担当課 |
| 石綿の調査、除去 | 飛散を防ぎます | 吹付け材などの含有 | 建築指導、環境の担当課 |
このほか、東京都の空き家家財整理・解体促進事業のように家財整理を支援する制度や、解体後の跡地を地域に提供することを条件にした制度もあります。ブロック塀の費用と補助はブロック塀の撤去費用の記事でも説明しています。
「空き家でないと補助は出ない」とは限りません。耐震除却や不燃化の制度は、住み続けている家の建て替えや除却が対象に入ることがあります。逆に、老朽空き家の制度は、賃貸中の建物や事業用の建物を対象外にしていることがあります。
実際の水準を知るために、公式の資料で確認できた例を挙げます。制度は年度ごとに変わるので、最新の内容は各自治体で確認してください。
| 自治体 | 制度 | 補助の内容 | 条件の例 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 空き家家財整理・解体促進事業 | 解体費(税抜)の1/2、上限10万円 | 都のワンストップ相談窓口に相談したうえで実施 |
| 台東区 | 老朽建築物等の除却工事費用の助成 | 除却工事費の1/3以内、上限50万円 | 昭和56年5月31日以前の建築で、耐震診断の結果、倒壊の危険性が高いもの |
| 世田谷区 | 不燃化特区の助成 | 老朽建築物の除却費を助成(上限は要確認) | 指定の地区内で、工事着手日の15日(土日祝を除く)前までに申請 |
| 八王子市 | 未耐震空き家除却支援補助金 | 除却工事費の2/3以内、相続からの年数で上限100万円、50万円、25万円 | 昭和56年5月31日以前の相続した住宅で、耐震性不足と判定されたもの |
| 山口県山陽小野田市 | 老朽危険空家等除却促進補助金 | 補助対象経費の1/3、上限50万円 | 個人所有の空き家で、交付決定前の着工は対象外 |
| 山口県柳井市 | 空き家除却の補助事業の資料 | 1/2、最大150万円(令和7年度の資料) | 受付期間と予算の枠あり |
地域ごとの一覧は次の記事にまとめています。
| 地域 | 詳しい記事 |
|---|---|
| 東京都 | 東京都の解体補助金 |
| 神奈川県 | 神奈川19市の解体補助金 |
| 埼玉県 | 埼玉県の解体費用と補助金 |
| 福岡県 | 福岡県の解体補助金一覧 |
| 宮城県仙台市 | 仙台市の解体補助金 |
| 大分県 | 大分県の解体補助金 |
窓口に行く前に、建物の条件を次の表で確認すると話が早くなります。1つでも当てはまれば、該当する制度がないか聞いてみる価値があります。
| 確認すること | 調べ方 | 関係する制度の例 |
|---|---|---|
| 昭和56年5月31日以前に建てられたか | 登記事項証明書の新築年月日、建築確認の資料 | 耐震除却 |
| 誰も住んでいない期間が長いか | 電気や水道の使用状況、住民票 | 老朽空き家の除却 |
| 傷みが目立つか | 屋根、外壁、傾き、市からの通知の有無 | 老朽空き家の除却、特定空家等 |
| 木造が密集した地区にあるか | 自治体の地区の地図 | 不燃化、密集市街地 |
| 道路沿いに古いブロック塀があるか | 高さ、道路に面しているか | ブロック塀の撤去 |
| 相続した家か | 相続登記の状況 | 相続した空き家向けの補助 |
市から老朽化について通知や指導を受けている場合は、その書面も持って相談してください。
個人の所有者を想定した制度が多く、法人の所有や賃貸用の建物では条件が変わります。山陽小野田市の制度は個人所有の空き家に限られ、会社や団体が所有する建物は対象外です。相続の登記が完了していることを求める制度も、八王子市などにあります。名義が亡くなった親のままなら、先に相続人の確認から始めてください。
市区町村に解体費の補助がない場合でも、耐震診断や解体後の土地活用、家財整理に別の支援がないかを確認しましょう。空き家バンクへの登録を条件に、改修や家財処分を補助する自治体もあります。売却を視野に入れるなら空き家は売却と解体どちらが得か、活用なら空き家の活用方法の記事が参考になります。
検索だけで「制度がない」と判断するのは早計です。制度の名前に「解体」が入っていないことが多いためです。次の順で探すと、見落としにくくなります。
窓口に聞くときは、次の情報を手元に揃えておくと話が早く進みます。
申請に見積書を使う場合は、見積もりを頼む時点で補助金を使う予定を伝えてください。次の点を伝えると、書き直しの手間を減らせます。
業者の許可や登録を確認する手順は解体業者の選び方にまとめています。
制度によって細かい違いはありますが、基本の流れは同じです。交付決定の前に契約や着工をしないことを、何より優先してください。
| 順番 | やること | 注意点 |
|---|---|---|
| 1 | 窓口に事前相談する | 受付期間と残りの枠を確認します |
| 2 | 老朽度や耐震の調査を受ける | 市の職員や診断士の調査が必要な制度があります |
| 3 | 解体業者から見積もりを取る | 内訳が分かる見積書を複数社から取ります。契約はまだしません |
| 4 | 申請書類を提出する | 所有者の確認、税の滞納がないことの証明などが求められます |
| 5 | 交付決定の通知を受ける | この通知を待ちます。世田谷区の不燃化特区は、工事着手前に認定を受ける制度です |
| 6 | 業者と契約して着工する | 建設リサイクル法の届出など通常の手続きも進めます |
| 7 | 完了後に実績報告をする | 工事写真、領収書、マニフェストの写しなどを提出します |
| 8 | 補助金を受け取る | 多くは工事代金の支払い後に交付されます |
補助金は後払いであることが多いので、工事代金はいったん自分で用意するのが基本です。資金の準備については解体ローンの記事を確認してください。工事全体の流れは解体工事の流れに整理しています。
補助金を使う場合は、審査の期間を日程に組み込むことが欠かせません。審査の日数は自治体の案内で確認し、余裕を持たせて組んでください。日程を縛る条件には、次のようなものがあります。
| 条件 | 例 | 考え方 |
|---|---|---|
| 工事前の申請期限 | 世田谷区の不燃化特区は工事着手日の15日(土日祝を除く)前まで | 着工日から逆算します |
| 年度の申請期限 | 江戸川区は令和8年度の申請が12月25日まで | 秋からの相談では時間が足りないことがあります |
| 年度内の完了 | 川口市は令和8年度の完了報告が令和9年1月29日まで | 申し込みから完了報告まで短い制度があります |
| 事前の診断の期限 | 川口市は事前診断の依頼が令和8年10月30日まで | 申し込みより前に別の期限があります |
売却の決済日が決まっているなど急ぐ場合は、補助金を待つか諦めるかを、金額と時間で比べて判断してください。
申請で起きやすい失敗と、防ぎ方をまとめました。
最も避けたい失敗です。売却の期限などで急いでいるときに起きやすいので、スケジュールは補助金の審査の期間を含めて組んでください。業者には最初に「補助金を申請する予定なので、交付決定まで契約できない」と伝えておきましょう。
年度の途中で受付を終える制度があります。八王子市の未耐震空き家除却支援補助金も、相続からの年数で分かれた区分のうち一部が受付終了と表示されています(2026年8月更新の案内で確認)。新年度の受付が始まる前から相談しておくと確実です。
家財の処分費や庭木の伐採、塀の撤去が対象に入るかは制度によって違います。山陽小野田市の令和8年度の老朽危険空家等除却促進補助金でも、家財道具などの処分費用は対象から除かれています。見積書は、対象工事と対象外の費用を分けて作ってもらいましょう。
相続が済んでいない建物や共有名義の建物は、相続人や共有者全員の同意を求められることがあります。名義を確認してから動き始めると、提出直前に止まることを避けられます。
解体で住宅用地の特例が外れると、土地の固定資産税が上がることがあります。補助を受けても、税負担で差し引かれる部分が出るかもしれません。解体の時期を決める前に固定資産税の記事で確認してください。不燃化特区のように、解体後の税を減免する制度がある地域もあります。
市内に本店がある業者に限定している制度や、解体工事業の登録か建設業許可を条件にしている制度があります。自治体の条件と、業者の許可や登録の両方を確認してください。解体工事の許可と登録の違いで調べ方を説明しています。
補助金が使えるまで待つ間も、老朽化した空き家の責任は所有者にあります。空家法では、市町村長は特定空家等の所有者に助言や指導、勧告、命令ができ、命令に違反すると50万円以下の過料の対象です。2023年の改正で管理不全空家の仕組みも加わり、勧告を受けると住宅用地の特例の対象から外れます。
補助金の受付を待つあいだに市から指導を受けた場合は、対象の制度が変わることもあります。通知が届いたら放置せず、担当課に相談してください。
補助金が使えなくても、解体の負担を減らす方法はあります。
解体するか残すかの判断は、空き家の判断基準の記事にまとめています。勧告を受けた管理不全空家や特定空家は、住宅用地の特例の対象から外れるので、放置が得とは限りません。
空き家対策総合支援事業などは市区町村を通じて支援する仕組みで、個人が国に直接申請するものではありません。まず建物のある市区町村の制度を確認してください。
制度によって違います。例えば台東区の老朽建築物等の除却は工事費の3分の1以内で上限50万円です。東京都の不燃化特区のように手厚い地区もあります。金額は要綱で確認してください。
必要ない制度もあります。老朽度の判定や耐震診断の結果を条件にする制度、旧耐震の建物であれば対象になる制度などがあります。市区町村の窓口で建物の条件を伝えて確認してください。
多くの制度では対象外になります。世田谷区の不燃化特区も、工事に着手する前に認定を受ける必要があるとされています。業者と契約する前に窓口に相談してください。
制度によります。個人が所有する住宅に限る制度もあれば、構造や用途を問わない制度もあります。台東区の制度は、不動産の貸付けなどを業とする者がその業務のために行う除却を対象外としています。
書類の準備を手伝う業者はありますが、申請者は原則として所有者です。見積書や工事写真など業者の協力が必要な書類があるので、見積もりの段階で補助金を使う予定だと伝えましょう。
解体の補助金は、国の制度を財源に市区町村が運用するものが中心です。名前に「解体」と入っていない制度も多いので、「老朽」「除却」「耐震」の語で探し、窓口で建物の条件を伝えてください。交付決定を受けるまでは契約も着工もしないことが、申請の最大の注意点です。
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