マンション解体費用は1戸平均約230万円|10階の試算と誰が払うか

監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基

株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。

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マンションの解体費用は、国土交通省の事例分析で1戸あたり平均約230万円、中央値約178万円という想定額が示されています。坪単価で見ると本体解体費は坪6万〜10万円が目安で、延床2,000㎡の10階建てなら約3,600万〜6,100万円という試算になります。

分譲マンションは費用の大きさだけでなく、誰が払うのか、どうやって決めるのかが問題になります。この記事では分譲マンションに絞って、費用の目安、区分所有者の負担、令和8年4月に変わった決議の要件を整理します。1棟を持つ賃貸アパートはアパートの解体費用で別に説明しています。

この記事の結論
  • 国土交通省の分析では、RC造マンションの想定解体費は1戸あたり平均約230万円、中央値約178万円です。単棟型の平均は約311万円、団地型は約128万円です。
  • 10階建ての試算は、延床2,000㎡で約3,600万〜6,100万円、3,000㎡で約5,500万〜9,100万円です。当メディアの目安である坪6万〜10万円で計算しました。
  • 解体費用を払うのは、賛否を問わず各区分所有者です。国土交通省の解説でも明記されています。
  • 区分所有法の改正で、取壊し決議は5分の4以上、耐震性不足などの事由があれば4分の3以上でできるようになりました。

監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基

株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。

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全体の考え方は鉄筋コンクリート(RC造)の解体費用の相場で整理しています。

目次

マンションの解体費用はいくらか

マンションの解体費用には、公的な全国統計がありません。その中で参考になるのが、国土交通省が2022年10月の調査としてまとめた事例分析です。マンション建替円滑化法にもとづく建替え84事例の事業計画から、RC造の建物除却費を集計しています。

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区分1戸あたりの想定解体費事例の数
全体の平均約230.5万円84事例
全体の中央値約178.3万円84事例
単棟型の平均約311.1万円47事例
団地型の平均約128.1万円37事例
国土交通省「建替え等に関するテーマの検討」資料7(国土交通省調査、2022年10月)より。事業計画の建物除却費にもとづく想定額で、工事の実績額ではありません

1戸あたりの分布は100万円以下から500万円超まで広く、平均だけで自分のマンションを判断することはできません。同じ資料では、想定解体費を1戸あたり300万円、70戸で総額2億1,000万円と置いた試算も示されています。

坪単価で計算する場合

建物全体の延床面積が分かるなら、坪単価でも概算を出せます。当メディアではRC造の本体解体費を坪6万〜10万円の目安で案内しています。1坪を3.3㎡として計算すると、次のようになります。

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想定した規模延床面積本体解体費の試算1戸あたり
20戸1,200㎡(約364坪)約2,200万〜3,600万円約109万〜182万円
30戸(10階建ての例)2,000㎡(約606坪)約3,600万〜6,100万円約121万〜202万円
40戸(10階建ての例)3,000㎡(約909坪)約5,500万〜9,100万円約136万〜227万円
60戸4,500㎡(約1,364坪)約8,200万〜1億3,600万円約136万〜227万円
100戸7,500㎡(約2,273坪)約1億3,600万〜2億2,700万円約136万〜227万円
試算例です。戸数と延床面積は仮に置いたもので、共用部分の割合で変わります。杭、地下、石綿の除去、立ち退きや仮住まいの費用は含みません

国土交通省の中央値と平均の範囲におおむね重なります。杭や石綿の除去が加わると、ここからさらに増えると考えてください。規模が大きいほど単純に単価が下がるとは限らず、工法と安全対策の負担が増える面もあります。

解体工事を終えて整地した敷地の奥に、中層のマンションが建っている街の様子

10階建てのマンションの解体で変わること

10階建ては延床面積が大きいだけでなく、工法と届出の条件が変わる高さです。

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確認すること内容
工法クレーンで重機を上げる階上解体を選ぶことが多くなります
高さ31mの基準高さ31mを超える建築物の解体は、工事開始の14日前までに労働基準監督署へ計画届を出します
足場高さ10m以上の足場を60日以上設置する場合は、工事開始の30日前までに計画届を出します
工事期間当メディアの目安では、300坪以上で9階以上の建物は4か月〜半年以上です
建設業の許可土木工事業、建築工事業、解体工事業のいずれかの許可が前提です
労働安全衛生規則第90条、労働局の案内、当メディアのRC造の期間の目安をもとに整理しています

工事の日数は、中の設備や内装の撤去と、がらの搬出で大きく変わります。受水槽、エレベーター、機械式駐車場、共用部の電気設備は延床面積に比例しないので、数量を明記してもらいましょう。昭和52年3月以前に建築や改修をした建物では、共用部の照明器具のPCB含有安定器も確認の対象です。詳しくはRC造5階建ての解体費用で説明しています。

石綿は床面積80㎡以上の解体で事前調査の結果報告が必要です。竣工時期が古いマンションでは、吹付け材や仕上げ材の調査結果が、費用と工期に直接響きます。流れは解体工事とアスベストにまとめました。工期全体の見方はRC造の解体工事の期間で確認できます。

解体費用は誰が払うのか

分譲マンションの解体費用を負担するのは、区分所有者です。国土交通省の「マンション除却事業の解説」は、除却費用を負担するのは事業の賛否によらず各区分所有者だと明記しています。反対したから払わなくてよいわけではありません。

管理組合が費用を確保する方法として、同じ解説は次の手段を挙げています。

  • 解体のための費用を事前に積み立てる(解体積立金、解体準備金)。
  • 解体のための費用を一時金などの形で徴収する。
  • 修繕積立金の使途を広げて、解体費用に充てられるようにする。
  • 住宅金融支援機構の融資を、一時的な資金として利用する。

取壊し決議では、取壊しに要する費用の概算額と、費用の分担に関する事項を定めます。分担は各区分所有者の衡平を害しないように定めることとされ、現在の建物と敷地について持っている権利の価額などを考慮するのが一般的とされています。決議の時点では、ある程度の幅を持った概算額でよいとされています。

積み立てるならいくら必要か

国土交通省の資料には、想定解体費に応じた毎月の必要積立額の試算があります。築40年や築50年までに積み立てる場合の数字です。

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想定解体費(1戸あたり)築40年まで(480か月)築50年まで(600か月)
100万円月2,083円月1,667円
300万円月6,250円月5,000円
500万円月1万416円月8,333円
国土交通省「建替え等に関するテーマの検討」資料7より

定期借地権のマンションでは、借地期間の満了に伴って建物を取り壊し、土地を返す場面が想定されています。解体の積み立てがとくに切実な論点です。自分のマンションの積立がどう位置づけられているかは、管理規約と長期修繕計画で確認してください。

所有者が払えないとどうなるか

管理が止まったマンションの解体を行政が代わりに行った記録が、滋賀県野洲市の美和コーポB棟です。昭和47年築の鉄骨造3階建て9戸で、空家対策特別措置法にもとづく勧告などを経て、行政代執行が令和2年に行われました。構造はRC造ではないので、金額を単価の参考にはできませんが、区分所有者の負担の実例として公表されています。

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項目金額
行政代執行に要した費用の総額1億1,813万2,460円
うち解体工事請負費1億1,165万9,900円
所有者1人あたりの請求額(総額の9分の1)1,312万5,828円
国土交通省近畿地方整備局の掲載資料と法務省の法制審議会参考資料より。所在が判明した8名に請求し、行方不明の1名には請求していません

放置すると費用が消えるわけではなく、所有者に請求が届くということです。外壁の剝落などで第三者に損害が出れば、所有者の責任が問われるおそれもあります。国土交通省の解説も、危険な状態のマンションでは土地工作物責任などを避けるために取壊しを考える場面を挙げています。

RC造の解体現場で重機が基礎コンクリートを砕き、がらを積み上げている様子

解体を決めるための決議と手続き

令和7年の法改正で、令和8年4月1日から区分所有法とマンションの再生に関する法律の仕組みが変わりました。それまで全員の同意が必要だった建物の取壊しや、建物と敷地の一括売却が、多数決でできるようになっています。

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決議の種類内容必要な多数決
建替え決議取り壊して新しいマンションを建てる原則5分の4以上
建物敷地売却決議建物と敷地をまとめて売却する原則5分の4以上
建物取壊し敷地売却決議建物を取り壊したうえで敷地を売却する原則5分の4以上
取壊し決議建物を取り壊す原則5分の4以上
法務省「区分所有法・被災区分所有法の改正について」(令和8年4月)、国土交通省「マンション除却事業の解説」より

一定の客観的事由があると、必要な割合は4分の3に下がります。耐震性の不足、火災に対する安全性の不足、外壁などの剝落のおそれ、給排水管の腐食などで著しく衛生上有害となるおそれ、バリアフリー基準への不適合の5つです。政令で指定された災害で被災した場合は3分の2です。また、裁判所が認定した所在等不明の区分所有者は、決議の母数から除外できる制度ができました。

建物を取り壊しても、費用は戻ってきません。国土交通省の解説は、除却事業は支出があっても収入がない事業で、建替えや売却が難しい状況で消極的に選ばれる手法だと説明しています。想定されるのは、危険な状態になっている場合、買主が見つからず先に取り壊す場合、定期借地の満了で土地を返す場合などです。まず建替えと売却を比べ、それでも難しいときに取壊しを検討する流れになります。

検討から工事までの流れ

進め方の順番は次のとおりです。具体的な手続きはマンションごとに違うので、管理組合で専門家に確認してください。

  1. 建物の調査と、建替え、売却、取壊しの比較を行います。
  2. 解体業者などから概算の見積もりを取り、費用の概算額と分担の案をまとめます。
  3. 集会を招集し、取壊しなどの決議を行います。賃貸されている住戸は、賃貸借の終了についての規律も確認します。
  4. 法定の手続きを経てマンション除却組合を設立する場合は、定款と資金計画を作成し、認可を受けます。
  5. 工事の発注、石綿の調査、各種の届出、近隣への説明を行い、解体工事を始めます。
  6. 工事のあと、建物滅失の登記を行います。敷地の売却は敷地共有者の決議などで進めます。

解体後は、固定資産税の住宅用地の特例も外れます。売却や再利用の時期が決まらないまま解体すると、土地の税負担が増えることがあるので、解体後の固定資産税を確認しておきましょう。

見積もりで確認すること

管理組合が解体の見積もりを依頼するときは、説明の責任があるので、項目ごとに数字の根拠を残すことが大切です。

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項目確認する内容
工法地上解体か階上解体か、クレーンや足場の計画
内装と設備住戸内の設備、残された家財の扱い、共用部の機器
地中杭、地下の駐車場、受水槽のピットを撤去するか残すか
有害物石綿の調査結果と除去費、PCBの確認
周辺対策防音パネル、誘導員、道路の許可、近隣の説明
廃棄物分別の方法、産業廃棄物の処理先、マニフェスト
当メディアの整理です。金額は建物の条件で大きく変わります

住戸に家財が残ったままだと、解体を始められません。残置物は元の占有者が工事に先立って処理するのが原則なので、区分所有者ごとに片付けの期限を決めます。方法は解体前の残置物の処分で説明しています。

比較の基準は大型物件の解体、解体工事の許可と登録の違い、解体工事の費用内訳が参考になります。株式会社インシュアラ(東京都知事許可(般-8)第159422号)でも、図面をもとに概算のご相談を受けています。

総会で説明する資料は、1社の金額だけにせず、前提条件をそろえた比較にしておくと議論が進めやすくなります。決議の段階では幅のある概算でも許されるので、正式な見積もりは調査が進んだあとで取り直すつもりで考えてください。

マンションの解体費用でよくある質問

マンションの解体費用は1戸あたりいくらですか?

国土交通省の事例分析では、RC造の想定解体費は1戸あたり平均約230.5万円、中央値約178.3万円です。単棟型は平均約311.1万円で、建物の条件により差があります。

10階建てマンションの解体費用はいくらですか?

坪6万〜10万円で計算すると、延床2,000㎡で約3,600万〜6,100万円、3,000㎡で約5,500万〜9,100万円の試算です。杭、地下、石綿の除去は別に見ておきます。

マンションの解体費用は誰が払うのですか?

区分所有者が負担します。国土交通省の解説は、事業の賛否によらず各区分所有者が負担すると明記しています。分担は決議の中で定め、各区分所有者の衡平を害しないようにします。

賛成しなかった人も解体費用を払うのですか?

国土交通省の解説では、負担するのは事業の賛否によらず各区分所有者とされています。個別の扱いは決議の内容と手続きによるので、管理組合の専門家に確認してください。

全員の同意がないと解体できませんか?

令和8年4月1日の改正法の施行で、取壊し決議は区分所有者と議決権の各5分の4以上でできるようになりました。耐震性不足などの客観的事由があれば4分の3以上です。

自分の部屋だけを解体できますか?

建物の一部である住戸だけを取り壊すことはできません。室内の内装を撤去する工事は別の話で、管理規約にしたがって行います。内装解体の費用で説明しています。

まとめ

マンションの解体費用は、国土交通省の分析で1戸あたり平均約230万円、中央値約178万円の想定額です。坪単価で見ると坪6万〜10万円が当メディアの目安で、10階建てなら数千万円から1億円近い試算になります。

費用を負担するのは賛否を問わず各区分所有者です。法務省の資料によると、分譲マンションのストックは2024年末時点で約713.1万戸あり、築40年以上の戸数は10年で約2倍に増える見込みです。決議の要件と資金の確保を、管理組合で早めに確認してください。RC造の費用全体はRC造の解体費用で確認できます。

参考資料

解体費用の全体像

木造の解体費用

RC造と鉄骨造の解体費用

建物の用途別

付帯工事と片付け

解体工事の流れと手続き

業者選びとトラブル

空き家の判断

施工の記録

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