未登記建物の解体は家屋滅失届|相続人の同意と費用の負担

未登記建物の解体は家屋滅失届|相続人の同意と費用の負担

監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基

株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。

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親の実家を解体しようとして調べたら、建物の登記がなかった。古い家や増築した離れでは珍しくないことです。登記がないからといって解体できないわけではありません。困るのは、手続きの窓口が普通の解体と違うことと、登記の名義を手がかりに持ち主を決められないことです。

この記事では、不動産登記法と民法の条文、法務省と自治体の案内をもとに、未登記建物を解体する手順、相続人が複数いるときの同意、費用の負担について、言い切れる範囲を分けて整理します。

この記事の結論
  • 未登記建物でも解体できます。登記記録がないので法務局の滅失登記はできず、解体後は市区町村の税務の窓口へ家屋滅失届を出します。
  • 届の名前と期限は自治体ごとに違います。解体業者の取壊し証明を求められることが多いので、工事の前に確認してください。
  • 相続人が複数なら建物は共有で、解体には原則として共有者全員の同意が必要と考えられます。
  • 費用の負担割合を一律に決める条文で片づく話ではありません。誰がいくら出すかを書面で合意してください。
  • 相続放棄を考えているなら、解体を始める前に専門家へ相談してください。処分にあたると放棄できなくなるおそれがあります。

監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基

株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。

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目次

その建物が未登記かどうかを確かめる

手がかりは毎年届く固定資産税の課税明細書です。家屋番号の欄は登記簿の番号を示すのが基本です。ただし仙台市の見方の案内では、未登記の場合は市で管理用の番号を付けているとされていて、番号があるから登記済みとは限りません。表示の仕方は自治体によって違うので、この欄だけで判断しないでください。

確実なのは、法務局で建物の登記を調べることです。登記事項証明書が出れば登記があり、該当する記録がなければ未登記と分かります。判断に迷うときは、明細書を発行した市区町村の税務の窓口にも聞いてください。

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登記の状態解体後に行う手続き出す先
建物の登記がある建物滅失登記(滅失の日から1か月以内)法務局
登記がなく課税台帳にある家屋滅失届など(名前は自治体による)市区町村の資産税などの窓口
母屋は登記あり、増築や離れは未登記登記部分は法務局。未登記部分は自治体に確認法務局と市区町村の両方
不動産登記法第57条、鹿児島市、千葉市の案内をもとに整理しています

登記がある建物の手続きは建物滅失登記の記事で確認してください。

未登記建物を解体する手順

  1. 所有者を確かめます。亡くなった人の名義で課税されているなら、相続人全員を戸籍で確認します。
  2. 市区町村の税務の窓口に、未登記の家屋を解体する予定だと伝え、必要な書類、届の様式、期限を聞きます。
  3. 相続人全員の同意をとり、費用の分担を決めて書面にします。
  4. 解体業者に未登記であることを伝えて見積もりを取り、取壊し証明の発行を頼みます。流れは解体工事の流れの記事で確認できます。
  5. 床面積の合計が80㎡以上なら建設リサイクル法の届出を工事の7日前までに行います。届出の義務は発注者にあり、10㎡を超える解体は別に建築基準法の除却届も必要です。解体工事の届出の記事にまとめています。
  6. 工事が終わったら取壊し証明書を受け取り、自治体の案内どおりに届けます。

家屋滅失届の窓口と必要書類は自治体で違う

未登記の家屋は法務局から市区町村へ通知が行かないので、届け出ないと課税台帳に残り続けるおそれがあります。全国共通の様式はなく、確認できた例を並べると違いが分かります。

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自治体手続きの呼び名案内されている内容
鹿児島市家屋滅失届取り壊した年の年末までに電話などで連絡。過去の年に取り壊した場合は、解体証明を付けて届を出す
千葉市家屋滅失届出書家屋の所在地を管轄する市税事務所の資産税課(家屋班)へ提出する
神戸市家屋に関する届書固定資産税家屋課へ提出する。相続で所有者が変わるときは戸籍謄本などを添えて届ける案内もある
各市の公式の案内をもとに整理しています。実際の手続きは家屋のある市区町村で確認してください

税金の基準は1月1日です。千葉市の案内のとおり、年の途中で取り壊しても、その年度の税額はそのまま納めます。年内に工事を終えたなら、年内に窓口へ連絡しておくと翌年度に課税が残る心配を減らせます。更地になったあとの土地の税額は解体後の固定資産税の記事で確認してください。

解体のために、わざわざ登記をする必要はあるか

不動産登記法第47条は、表題登記がない建物の所有権を取得した人に、取得の日から1か月以内の表題登記の申請を義務づけていて、怠ると10万円以下の過料の規定があります(第164条)。そのため「まず登記をしなければ」と心配する方もいます。

一方で、解体だけが目的なら、登記をせずに解体後に家屋滅失届を出すだけで済むことが多いと不動産の解説では説明されています。売却する、住み続ける場合は表題登記と所有権の登記が必要になるので話が別です。自分の場合にどうするかは、窓口か土地家屋調査士に確認してください。

もう一つ忘れやすいのが土地です。建物が未登記でも土地には登記があるのが普通で、令和6年4月1日から相続登記は義務になっています。法務省の案内では、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内の登記が必要で、それより前の相続は令和9年3月31日までとされています。怠ると10万円以下の過料の対象になり得るので、解体と並行して進めてください。

相続人が複数いるときの同意

民法第898条により、相続人が数人あるとき、相続財産はその共有に属します。遺産分割が終わるまで、実家の建物は相続人の共有です。そして第251条第1項は、各共有者は他の共有者の同意がなければ共有物に変更を加えられないと定めています。建物を壊すことは形状や効用の大きな変更にあたるので、全員の同意が必要と考えて進めるのが安全です。

連絡のつかない相続人がいる場合、第251条第2項に、裁判所の裁判を得てその人以外の共有者の同意で変更を加える仕組みがあります。ただ、手続きには時間がかかるので、早い段階で弁護士か司法書士に相談してください。

話し合いがまとまるなら、遺産分割協議で建物を取得する人を決め、全員が署名と実印の押印をした遺産分割協議書を作っておくと、業者にも窓口にも説明しやすくなります。未登記の家屋では、税の名義を相続人へ変える手続きも窓口で行います。神戸市は、相続の場合に法定相続人が分かる戸籍謄本などを添えた届を案内しています。

解体の前に揃えておきたい資料

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資料使う場面取り寄せ先
固定資産税の課税明細書建物の所在、面積、未登記かどうかの手がかり手元の納税通知書。ない場合は市区町村
戸籍謄本など相続人の確認、所有者変更の届本籍地の市区町村
遺産分割協議書または同意書解体の同意と建物を取得する人の確認相続人で作成
建物の図面や写真見積もり、増築部分の確認手元の資料、現地で撮影
取壊し証明工事後の届解体業者
一般的な準備の例です。窓口や業者によって求められる書類は違うので、事前に確認してください

同意書には、解体する建物の所在、工事の予定時期、見積もりの額、費用の分担、取壊し後の土地をどうするかを書き、相続人全員の署名をもらいます。遠方の相続人には、見積書の写しと現地の写真を送ってから頼むと、判断してもらいやすくなります。

費用は誰が負担するのか

ここは言い切れる範囲が限られます。民法第253条第1項は、各共有者が持分に応じて管理の費用を支払い、共有物に関する負担を負うと定めています。ただ、解体費がそのまま持分どおりになるかは事情によって判断が分かれ得るので、条文だけで「この割合」と決めつけることはできません。実際には次の形で話し合うことになります。

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決め方内容確認しておくこと
建物を取得する人が負担遺産分割で建物と土地を取得する人が払う協議書にも負担者を書く
法定相続分などで分担共有のまま解体し、割合で分ける支払いの期限と立て替えの精算
売却代金から精算土地の売却代金から解体費を差し引く売却が決まらないときの扱い
一般的な合意の形を整理したものです。どれが適切かは個別の事情によるので、もめそうな場合は弁護士に相談してください

金額の目安は、木造で坪3万〜6万円、鉄骨造で坪5万〜7万円、RC造で坪6万〜10万円です。木造30坪なら本体工事の試算例で90万〜180万円で、付帯工事は別になります。登記がないことで解体費そのものの単価が変わるわけではありません。見積もりの読み方は解体費用の計算方法の記事で確認してください。

相続放棄を考えているときの注意

民法第921条第1号は、相続人が相続財産を処分したときは単純承認をしたものとみなすと定めています。保存行為は除かれていますが、建物の解体がどちらにあたるかは事情で判断されます。相続放棄の申述は、相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所へ行うのが原則です。借金など放棄を考える事情があるなら、解体の契約より先に弁護士か家庭裁判所の手続き案内で確認してください。

未登記建物の解体でよくある質問

未登記でも解体業者は工事を受けてくれますか?

未登記であることだけで工事ができなくなるわけではありません。業者は持ち主を確認したいので、課税明細書や相続関係が分かる資料を見せられるようにしておくと話が進みます。

滅失登記はなぜできないのですか?

滅失登記は登記されている建物の記録を閉じる手続きです。未登記の建物には閉じる登記記録がないので、代わりに市区町村へ届けて課税台帳を直します。

解体しても届け出なかったらどうなりますか?

役所が解体を把握できず、翌年度も課税されるおそれがあります。過去の年に取り壊した場合に解体証明を付けて届ける案内をしている市もあるので、気づいた時点で窓口に相談してください。

相続人の一人が勝手に解体してしまいました。

共有者の同意なしに行われた解体は、他の相続人との間で争いになるおそれがあります。すでに解体が終わっているなら、経緯と費用の資料を揃えて弁護士に相談してください。

まとめ

未登記建物の解体で変わるのは、登記の手続きが市区町村への届に置きかわることと、相続人全員の同意を先にとる必要があることです。まず課税明細書を確かめ、税務の窓口に書類と期限を聞き、相続人で費用の分担を書面にしてから業者に見積もりを頼んでください。

参考資料

解体費用の全体像

木造の解体費用

RC造と鉄骨造の解体費用

建物の用途別

付帯工事と片付け

解体工事の流れと手続き

業者選びとトラブル

空き家の判断

施工の記録

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