特定空き家は勧告で税の特例が外れる|管理不全との違いと代執行

特定空き家は勧告で税の特例が外れる|管理不全との違いと代執行

監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基

株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。

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市役所から空き家について手紙が届いた、あるいは親の家が「特定空き家になるかもしれない」と聞いた。そんなとき気になるのは、税金がいつ上がるのか、本当に強制的に壊されるのか、費用は誰が払うのかの3つではないでしょうか。

法律上の正式な呼び名は「特定空家等」と「管理不全空家等」で、令和5年12月13日に施行された改正空家法で後者が加わりました。この記事では空家法の条文、国土交通省の指針と統計をもとに、違いと進み方、手紙が来たあとの動き方を整理します。

この記事の結論
  • 特定空き家は、倒壊の危険などで放置が不適切と認められた空き家です。管理不全空き家は、そのままだと特定空き家になるおそれがある一歩手前の空き家です。
  • どちらも、市区町村の「勧告」を受けると固定資産税の住宅用地の特例が外れます。建物が残っていても外れます。
  • 命令と行政代執行まで進むのは特定空き家だけです。命令に違反すると50万円以下の過料があります。
  • 行政代執行の費用は所有者の負担で、国税滞納処分の例により徴収されます。
  • 通知が来たら勧告の前に担当課へ連絡し、修繕、売却、解体を比べて決めてください。

監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基

株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。

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目次

特定空き家と管理不全空き家の違い

特定空家等は空家法第2条第2項に定められていて、次のいずれかの状態にあると認められた空き家です。そのまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある状態、著しく衛生上有害となるおそれがある状態、適切な管理が行われず著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全のために放置が不適切な状態の4つです。

管理不全空家等は第13条に定められた区分です。適切に管理されていないため、放置すれば特定空家等に該当することになるおそれがある空き家を指し、国土交通省は「特定空家予備軍」と表現しています。静岡市の案内では、窓や壁の破損など管理が不十分な状態が例に挙げられています。

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項目管理不全空き家特定空き家
根拠空家法第13条空家法第2条第2項、第22条
状態放置すると特定空き家になるおそれがある倒壊、衛生、景観、生活環境の面で放置が不適切
市区町村の措置指導、勧告助言・指導、勧告、命令、代執行
住宅用地の特例勧告で対象外になる勧告で対象外になる
命令と過料なし命令あり。違反は50万円以下の過料
行政代執行なしあり。略式代執行、緊急代執行もある
空家等対策の推進に関する特別措置法をもとに整理しています

特定空家の固定資産税が上がる仕組み

住宅が建っている土地は、地方税法の住宅用地の特例で、固定資産税の課税標準が200㎡以下の部分で6分の1、それを超える部分で3分の1に下がっています。都市計画税にもそれぞれ3分の1、3分の2の特例があります。地方税法第349条の3の2などの規定により、勧告を受けた空き家の敷地はこの対象から外れます。

静岡市は、勧告で特例が解除されると土地の固定資産税と都市計画税が「約4倍」になると案内しています(土地の規模などによって異なります)。解体して更地になった場合と違うのは、建物が残っている限り家屋の固定資産税も払い続ける点です。土地の増額と家屋の税が両方かかるので、放置したまま勧告を受けるのは税金の面ではいちばん不利な形になります。

固定資産税は毎年1月1日の状況で課税されます。勧告の時期によって、どの年度から税額が変わるかは変わってくるので、自分の土地の場合は市区町村の資産税の窓口で確認してください。解体した場合の税額の考え方は解体後の固定資産税の記事に試算を載せています。

指導から行政代執行までの流れ

いきなり壊されることはなく、法律は段階を定めています。特定空き家の場合の流れは次のとおりです。

  1. 助言または指導を受けます(第22条第1項)。
  2. 改善されないと、猶予期限つきで勧告を受けます(第2項)。この時点で住宅用地の特例の対象外になります。
  3. 正当な理由なく勧告に従わず、特に必要があると認められると、命令を受けます(第3項)。事前に意見書を出す機会があり、命令は標識などで公示されます。違反には50万円以下の過料があります(第30条)。
  4. 命令を履行しないなどの場合、市区町村が自ら、または第三者に解体などをさせます(第9項)。これが行政代執行です。

所有者が分からない場合は略式代執行(第10項)、災害など緊急時で命令の手続きをとる時間がない場合は緊急代執行(第11項)があります。緊急代執行は令和5年の改正で新しくできた制度です。

実際の件数は、国土交通省と総務省の調査で確認できます。平成27年度から令和6年度までの累計で、数字の差がそのまま段階ごとの絞り込みを表しています。

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措置累計件数
特定空家 助言・指導42,768件
特定空家 勧告4,153件
特定空家 命令551件
行政代執行286件
略式代執行592件
緊急代執行12件
管理不全空家 指導3,211件
管理不全空家 勧告378件
空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等(令和7年3月31日時点、調査対象1,741市区町村)。管理不全空家と緊急代執行は令和5年度以降の数字です

行政代執行まで進むのはごく一部です。ただ、勧告の段階でも税金には影響するので、代執行の件数が少ないからといって様子を見てよいことにはなりません。

行政代執行の費用は誰が払うのか

費用を負担するのは所有者です。行政代執行法第5条で、市区町村は実際にかかった費用の額と納期日を決めて文書で納付を命じ、第6条で国税滞納処分の例により徴収できると定められています。略式代執行と緊急代執行の費用についても、空家法第22条第12項が同じ規定を準用していて、熊本県は改正の内容として確定判決なしで徴収できると整理しています。

代執行の費用の一般的な相場は、公的な資料からは確認できませんでした。費用は建物と現場によって違います。自分で解体するなら業者と時期を選び、見積もりを比べられますが、代執行では納付の命令が来る側になります。参考までに、解体費の目安は木造で坪3万〜6万円、鉄骨造で坪5万〜7万円、RC造で坪6万〜10万円です。木造30坪なら本体工事だけで90万〜180万円が試算例になります。付帯工事を含めた計算は解体費用の計算方法の記事で確認してください。

どんな状態が問題になるのか

判断は市区町村が現地を見て行います。国の指針には判断の参考になる状態が挙げられています。建物では、特定空家等の例として倒壊のおそれがあるほどの著しい屋根全体の変形や外装材の剥落、構造部材の破損や腐朽が、管理不全空家等の例として屋根の変形や外装材の剥落、構造部材の破損、雨水が入った痕跡が示されています。程度の差で区分が変わるイメージです。

遠方に住んでいて建物を見に行けないなら、まず年に数回の点検と庭木の手入れ、郵便物の整理を誰がするかを決めてください。点検の結果を写真で残しておくと、担当課と話すときの材料にもなります。

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選択肢向いているとき注意点
修繕して管理を続ける使う予定がある、傷みが部分的管理の手間と費用が続く
建物つきで売る買主がつく立地、建物に価値がある状態の説明が必要。建物の状態によっては値が付きにくい
解体して土地を活用、売却倒壊などの危険がある、使う予定がない更地で住宅用地の特例が外れる。補助金は着工前に確認
一般的な比較です。金額は建物と土地ごとに違うので、見積もりと査定を取って比べてください

相続した空き家を売るなら、税の特例も確認してください。国税庁の案内では、一定の要件を満たす被相続人の居住用財産の売却は、譲渡所得から最高3,000万円(相続人が3人以上なら2,000万円)を控除できます。売却の期限は令和9年12月31日までで、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、耐震基準を満たすか取り壊すことなどの条件があります。条件は細かいので税務署か税理士に確認してください。

通知が届いたら何をするか

指導の段階なら、まだ選択肢が残っています。第13条第2項と第22条第2項の勧告は、指導のあとも「改善されない」ときに行われるものだからです。手紙を読んだら次の順に動いてください。

  1. 通知の差出人である担当課に電話し、どの部分が問題視されているか、いつまでに何をすればよいかを聞きます。
  2. 所有者を確認します。亡くなった親の名義のままなら相続人全員の問題になります。未登記の建物なら未登記建物の解体の記事も参照してください。
  3. 外壁、屋根、庭木、ごみなど、現地の状況を写真に撮ります。遠方なら近くの親族や業者に頼みます。
  4. 修繕して管理を続ける、売る、解体するの3つを比べます。比較の材料は空き家の解体の記事と売却と解体の比較の記事にあります。
  5. 解体するなら、契約の前に補助金を調べます。着工後は申請できない制度があるので順番に注意してください。一覧は解体の補助金の記事にあります。特定空家や老朽空き家を対象にした制度かどうかは自治体ごとに違います。
  6. 資産税の窓口で、解体後と現状維持のそれぞれの税額の見通しを聞きます。

対応の中身を担当課に伝えておくことも欠かせません。工事の予定が決まれば、契約書や工程を示して相談できます。解体の進め方は解体工事の流れの記事を、業者の探し方は業者の選び方の記事を確認してください。

特定空き家でよくある質問

特定空き家に指定されると、すぐに固定資産税が上がりますか?

税の特例が外れるきっかけは勧告です。助言や指導を受けた段階では外れません。どの年度から税額が変わるかは1月1日の状況との関係があるので、資産税の窓口で確認してください。

管理不全空き家でも強制的に解体されますか?

管理不全空家等への措置は法律上、指導と勧告です。ただし、状態が悪化して特定空家等に該当すれば、命令や代執行の手続きに進むことがあります。国の指針は、管理不全空家等としての勧告後に特定空家等になっても、勧告の効力が当然に失われるわけではないと説明しています。

勧告の後に解体や修繕をしたら、税金は元に戻りますか?

勧告がどう扱われるか、住宅が残っているか更地かで変わります。修繕の場合と解体の場合で結論が異なるので、工事の前に担当課と資産税の窓口の両方に確認してください。

相続人が複数いて話がまとまりません。

相続人が共同で所有している状態でも、それぞれが所有者として通知の相手になり得ます。解体には共有者の同意の問題が出てくるので、相続人の確認と話し合いを先に進め、難しいなら弁護士に相談してください。

補助金を使えば費用はゼロになりますか?

補助は対象工事費の一部で、上限もあります。金額と条件は自治体ごとに違うので、公式の案内か担当課で確かめてください。東京都なら東京都の解体補助金の記事で例を確認できます。

まとめ

管理不全空き家は特定空き家の一歩手前で、どちらも勧告で住宅用地の特例が外れます。命令と行政代執行は特定空き家の手続きで、代執行の費用は所有者が負担します。通知が届いたら放置せず、今週のうちに担当課へ電話して問題の箇所を聞き、修繕、売却、解体の見積もりや査定を取り始めてください。

参考資料

解体費用の全体像

木造の解体費用

RC造と鉄骨造の解体費用

建物の用途別

付帯工事と片付け

解体工事の流れと手続き

業者選びとトラブル

空き家の判断

施工の記録

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