解体のマニフェストは元請が交付|施主が見るE票と保管5年

解体のマニフェストは元請が交付|施主が見るE票と保管5年

監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基

株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。

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解体工事の話を調べていて「マニフェスト」という言葉に出会うと、施主の自分が書くものなのか、もらっておくものなのか、迷うと思います。結論から言うと、書いて交付するのは工事を直接請け負った元請業者です。施主に交付の義務はありませんが、最後まで処分されたかを確かめる側に立つことはできます。

ここでは廃棄物処理法の条文と環境省の建設廃棄物処理指針、東京都や大阪府の案内をもとに、誰が何をするのか、E票の写しをどう見るのか、不法投棄のときに施主が問われるのはどんな場面かを順に見ていきます。

この記事の結論
  • マニフェストとは、産業廃棄物の処理の流れを排出事業者が確認するための管理票です。正式には産業廃棄物管理票といいます。
  • 解体工事で交付するのは元請業者です。下請が工事をしていても、元請が排出事業者になります。
  • 保存期間は5年で、保存の義務があるのは交付した元請業者です。施主に保存義務はありません。
  • 施主が見るならE票の写しです。最終処分まで終わった証拠で、交付日から180日以内に元請へ戻ります。
  • 施主に処理責任はなくても、不適正な処分を頼んだり手伝ったりすれば措置命令の対象になり得ます。

監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基

株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。

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目次

解体のマニフェストを交付するのは元請業者

廃棄物処理法第12条の3は、産業廃棄物の運搬や処分を他人に委託する事業者に、廃棄物の引き渡しと同時に管理票を交付するよう定めています。では解体工事の「事業者」は誰か。これを決めているのが第21条の3第1項で、解体を含む建設工事では、注文者から直接工事を請け負った建設業者、つまり元請業者を事業者とすると書かれています。

環境省の建設廃棄物処理指針も、実際の施工を下請負人が行っている場合でも元請業者を排出事業者とし、処理責任を負わせると説明しています。発注者、元請、下請と関係者が多く、責任があいまいになりやすいためです。東京都の解体工事向けの案内でも、マニフェストの交付義務は排出事業者である元請業者にあるとされています。

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立場マニフェストとの関係していること
施主(発注者)交付の義務はなし処理方法の確認、工事後の報告の確認、残置物の処理
元請業者排出事業者として交付する委託契約、交付、返送の確認、5年保存、行政への報告
下請業者交付者にはならない工事の施工。運搬するには原則として許可と委託契約が必要
収集運搬業者受け取って運ぶ運搬終了後にB2票を元請へ返送
処分業者受け取って処分する処分終了後にD票、最終処分終了後にE票を元請へ返送
廃棄物処理法第12条の3、第21条の3、環境省の建設廃棄物処理指針、東京都の案内をもとに整理しています

施主の役割で見落としやすいのは、解体前の家に残した家具や家電です。指針は発注者の役割として、工事の前からある残置物を適正に処理することを挙げています。工事で出る廃材とは別の扱いなので、片付けの段取りは残置物処分の記事で確認してください。

A票からE票まで、それぞれ何の証拠か

紙のマニフェストは複写式の綴りで、廃棄物の種類ごと、運搬先ごとに交付します。1軒の解体でも木くず、コンクリートがら、廃プラスチック類と種類が分かれるので、1枚で終わることはまずありません。排出事業者の手元に残るのは次の4種類で、いずれも5年間の保存が必要です。

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票何が分かるか元請に届く期限(交付日から)施主が見る意味
A票交付した内容の控え交付時に手元に残す種類、数量、運搬先の出発点になる
B2票運搬が終わった90日以内現場から運び出されたと分かる
D票処分が終わった90日以内中間処理などの処分が済んだと分かる
E票最終処分まで終わった180日以内いちばん知りたい最後の証拠になる
大阪府のマニフェスト制度の案内をもとに整理しています。特別管理産業廃棄物のB2票、D票は60日以内です

期限内に戻らないとき、元請は状況を把握して必要な措置を講じ、知事に報告しなければなりません。また排出事業者は、毎年6月30日までに前年度の交付状況を都道府県等に報告します。

施主がE票の写しを確認するときの見方

E票の写しを受け取ったら、金額ではなく次の項目を見ます。東京都の案内に載っている排出事業者の記載項目に沿うと、確認すべき点は6つです。

  • 事業者の欄が契約した元請業者の名前になっていること。下請の名前なら理由を聞いてください。
  • 事業場の欄が自分の解体現場の住所になっていること。
  • 交付年月日が工事の期間と合っていること。
  • 廃棄物の種類と数量が、工事の内容や見積書の処分項目と大きくずれていないこと。
  • 運搬受託者と処分受託者の名前が、処理計画や委託先として聞いた会社と同じであること。
  • 最終処分が終了した日の記載があること。

注意したいのは時間差です。E票は交付日から180日以内に戻ればよいものなので、工事の引き渡しの時点では揃っていないことが普通にあります。「引き渡しまでに全部」と求めるより、「D票までは完了報告と一緒に、E票は届き次第」と分けて頼むと無理がありません。

電子マニフェストのときは紙の票がない

電子マニフェストは、排出事業者、収集運搬業者、処分業者の3者が情報処理センター(JWNET)を介してやり取りする仕組みで、3者すべての加入が前提です。排出事業者は引き渡しから3日以内に登録し、紙の票の代わりにセンターからの通知で終了を確認します。データはセンターが保存し、5年分を照会できます。

この場合に紙のE票を求めても出てきません。「最終処分の終了が分かる画面の印刷かデータを見せてください」と頼めば話が通じます。

見積もりから完了まで、施主が頼んでおくこと

今回調べた範囲では、元請に対して施主へのE票の写しの提出を義務づけた条文は確認できませんでした。だからこそ、後から頼むのではなく、契約の時点で書面に入れておくのが確実です。指針は発注者の役割として、処理計画書を提出させること、工事後に報告を受けて適正な処理を確認することを挙げているので、頼むこと自体は無理な要求ではありません。

  1. 見積もりの段階で、廃棄物の処理方法と処分先、処分費が見積書に入っているかを聞きます。処分費が極端に少ない見積もりは理由を確かめてください。
  2. 契約書か覚書に「マニフェストの写しを提出する」と書きます。紙か電子かも確認します。
  3. 元請の解体工事の許可や登録を確かめます。委託する運搬業者と処分業者の許可も聞いてください。業者の許可の見方は解体工事の許可の記事にあります。
  4. 床面積の合計が80㎡以上の解体は、建設リサイクル法の届出を発注者が工事の7日前までに行います。多くは業者が代行するので、控えをもらってください。詳しくは解体工事の届出の記事で確認できます。
  5. 工事が終わったら、完了報告とD票までの写しを受け取ります。80㎡以上の工事では、再資源化の完了を元請が発注者に書面で報告する決まりもあります(建設リサイクル法第18条)。
  6. E票の写しが届いたら確認し、建物滅失登記の書類と一緒に保管します。

業者選びの全体の考え方は解体業者の選び方の記事に、工事の流れは解体工事の流れの記事にまとめています。

不法投棄で施主が問われるのはどんな場面か

建設廃棄物の処理責任は元請業者にあります。下請が不法投棄をしても、元請が適正に委託していなければ、知事は元請にも撤去などの措置を命じることができます(第19条の5第1項第4号)。普通に業者へ頼んだだけの施主が、この条文の対象になるわけではありません。

ただし、第16条の投棄禁止は「何人も」と定めていて、施主も例外ではありません。また第19条の5第1項第5号は、不適正な処分を要求し、依頼し、唆し、または助けた者も措置命令の対象に挙げています。施主の立場で気をつけたいのは次のような行為です。

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場面注意点
費用を下げるために、廃材を敷地に埋めるよう頼む不適正な処分の依頼にあたるおそれがある
廃材を自分の空き地へ運ばせて放置する投棄の禁止や処分の依頼の問題になるおそれがある
家財を業者に「ついでに」不正な方法で捨てさせる残置物は工事の廃棄物とは別の扱いで、処理の方法を確かめる必要がある
処理の説明がない業者と分かっていて、安さだけで契約するそれだけで直ちに責任を負うとは言えないが、敷地に埋められれば掘り起こしの問題は土地に残る
廃棄物処理法第16条、第19条の5、環境省の指針をもとに整理しています。個別の責任の判断は行政や弁護士に確認してください

罰則も重く、不法投棄は5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、または併科で、法人は3億円以下の罰金です。マニフェストを交付しない、虚偽を書くといった違反は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。

工事の様子がおかしいと感じたら、まず元請に写しの提示を求めます。それでも説明がないなら、解体現場のある自治体の産業廃棄物の担当課に相談してください。自治体によって窓口が分かれるので、代表電話で「解体工事の廃棄物の相談」と伝えると案内してもらえます。解体工事のトラブルの記事と違法な解体工事の記事も参考になります。

解体のマニフェストでよくある質問

マニフェストの書き方は施主も知っておくべきですか?

施主が記入するものではありません。記入するのは元請業者で、交付年月日、事業者と現場、廃棄物の種類と数量、運搬と処分の受託者などを書きます。施主は書かれた内容が自分の工事と合っているかを見れば足ります。

マニフェストの保管期間は何年ですか?

排出事業者である元請業者は、A票、B2票、D票、E票を5年間保存します。施主に保存義務はありませんが、写しをもらったら、土地を売るときの説明にも使えるので捨てずに取っておくと安心です。

工事が終わったのにE票がもらえません。

E票は交付日から180日以内に戻るものなので、工事直後には届いていないことがあります。交付日を聞いて、期限を過ぎているなら元請に状況を確認してください。

小さな解体でもマニフェストは必要ですか?

産業廃棄物の運搬や処分を他人に委託するなら交付の対象です。工事の金額や建物の広さで一律に不要になるわけではありません。自社で運搬する場合の扱いなど細かい点は、元請業者や自治体に確認してください。

電子マニフェストの業者なら施主は何ももらえませんか?

紙の票はありませんが、終了状況の画面の印刷やデータで確認できます。契約のときに、電子であること、どの形で見せてもらえるかを聞いておいてください。

まとめ

解体工事のマニフェストは元請業者が交付し、5年間保存するものです。施主がすることは記入ではなく確認で、契約書に写しの提出を入れ、完了報告でD票まで、届き次第E票を見るという順番にすれば十分です。見積もりを取るときに処分先と写しの提出を聞いて、答えに詰まらない業者を選んでください。費用の見方は解体費用の計算方法の記事で確認できます。

参考資料

解体費用の全体像

木造の解体費用

RC造と鉄骨造の解体費用

建物の用途別

付帯工事と片付け

解体工事の流れと手続き

業者選びとトラブル

空き家の判断

施工の記録

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