解体費用は経費になる?土地の取得価額、賃貸、相続で変わる扱い

解体費用は経費になる?土地の取得価額、賃貸、相続で変わる扱い

監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基

株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。

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建物の解体費用を経費にできるかどうかは、建物の使い方と壊す目的で決まります。自宅を壊す場合と、賃貸アパートを壊す場合、売るために壊す場合では、同じ金額でも税金の計算での扱いが違います。

この記事は、国税庁のタックスアンサーと通達をもとに場面ごとの扱いを整理したものです。実際の処理は個別の事情で変わるので、申告の前に税理士か税務署へ確認してください。

この記事の結論
  • 土地と建物を買って、初めから壊す目的で1年以内に取壊しに着手するなどの場合は、経費ではなく土地の取得費や取得価額に入ります。
  • 賃貸用の建物の取壊しは不動産所得の経費になる場合があります。事業として貸していない場合は、計上できる額に上限があります。
  • 土地を売るために壊した費用は譲渡費用になります。その建物の損失額も含まれます。
  • 相続した空き家は、壊してから売って3,000万円控除を受ける方法があります。古い家であることや売却期限など、複数の要件があります。

監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基

株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。

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目次

場面別に見る解体費用の扱い

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場面主な扱い確認した資料
土地建物を買い、初めから壊す目的で取壊す(個人)土地の取得費所得税基本通達38-1
土地建物を買い、初めから壊す目的で取壊す(法人)土地の取得価額法人税基本通達7-3-6
賃貸をやめて賃貸用の建物を壊す不動産所得の必要経費になる場合あり国税庁No.1373、税務大学校論叢
自宅を壊して賃貸物件を建てる家事費として扱う実務税務大学校論叢
土地を売るために建物を壊す譲渡費用国税庁No.3255
相続した空き家を壊して売る要件を満たすと3,000万円控除国税庁No.3306
火災などで焼けた家を壊す雑損控除の災害関連支出になる場合あり国税庁No.1110

同じ建物でも、壊す時点の使い方や次の予定で行が変わることがあります。自分がどの行に当たるかを確かめてから、次の項目へ進んでください。

土地と建物を買って壊すときは土地の取得費

所得税基本通達38-1と法人税基本通達7-3-6は、ほぼ同じ内容です。建物付きの土地を買い、取得後おおむね1年以内に取壊しに着手するなど、最初から建物を壊して土地を使う目的が明らかな場合、建物の取得に要した金額と取壊しの費用の合計を土地の取得費(法人は取得価額)に含めます。廃材を処分して得た金額があれば差し引きます。

つまり、その年の経費にはならず、土地の価額に上乗せされます。古家付きの土地を買って自宅や賃貸物件を建てる場合は、この扱いを前提に資金計画を立ててください。

「おおむね1年以内」は一つの例示で、判断の中心は当初の目的です。売買契約書、重要事項説明書、解体の見積書の日付から目的が読み取れるので、経緯が分かる資料を残しておくと確認がしやすくなります。freeeの解説では、事業のために取得した建物をやむを得ない事情で取り壊した場合は土地に含めず損金算入できるとありますが、該当するかは税理士に判断してもらう内容です。

賃貸物件を解体する費用

賃貸用の建物の場合は、主に2つの点を分けて考えます。取壊し費用と、取り壊した建物の未償却の残額などから生じる資産損失です。

国税庁のNo.1373では、賃貸用固定資産の取壊しや除却などの資産損失について、不動産の貸付けが事業として行われている場合は全額を必要経費に入れ、それ以外の場合は、その年の資産損失を差し引く前の不動産所得の金額を限度とするとしています。事業かどうかの目安は、貸間やアパートがおおむね10室以上、独立家屋がおおむね5棟以上です。

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貸付けの規模資産損失の扱い注意点
おおむね10室以上、または5棟以上全額を必要経費に算入事業として行われているかは実質でも判断
それより小さい規模その年の資産損失を差し引く前の不動産所得の金額が限度超えた部分は引けない

賃貸をやめて壊し、跡地に自宅を建てるケースはどうでしょうか。税務大学校の論叢(平成29年)は、現在の実務上の取扱いとして、賃貸業の廃業に伴って速やかに解体するなど業務の清算の一環であることが明らかで、賃貸をやめた後に家事用に転用していなければ、不動産所得の必要経費に入れられると整理しています。同じ論叢は、自宅を壊して賃貸物件を建てる場合の取壊し費用は家事費として扱われている実務も紹介しています。

論叢は執筆者の個人的な見解で国税庁の公式見解ではないと明記されているので、参考資料として使ってください。入居者の退去日、賃貸の終了日、解体の契約日が空きすぎていないかが確認点になります。

売るために壊す費用は譲渡費用

国税庁のNo.3255では、土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用と、その建物の損失額が譲渡費用に含まれるとされています。経費というより、売却益の計算で差し引く費用です。修繕費や固定資産税のような維持や管理の費用は譲渡費用になりません。

マイホームを壊して敷地を売る場合に3,000万円の特別控除を考えているなら、国税庁のNo.3302の要件も確認してください。家屋を取り壊した日から1年以内に譲渡契約を結び、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、取り壊してから契約までの間、貸駐車場などに使っていないことが条件です。売却と解体のどちらを先にするかは売却と解体の判断の記事でも比べています。

相続した家を解体するときの控除

相続した空き家で検索されやすいのが、被相続人の居住用財産を売ったときの特例です。国税庁のNo.3306にある主な要件を表にまとめました。

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項目要件
控除額最高3,000万円。令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合は2,000万円が上限
家屋昭和56年5月31日以前に建築、区分所有登記がない、相続開始直前に被相続人以外の居住者がいなかった
売り方家屋を耐震基準に適合させて売る、取り壊して敷地を売る、令和6年以後は譲渡の翌年2月15日までに耐震改修か取壊しをするなど
取壊し後の土地取り壊してから売るまで、建物や構築物の敷地などに使っていない
売却の期限相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
売却代金1億円以下
必要な書類市区町村長の被相続人居住用家屋等確認書など

取壊しの条件は売り方ごとに書類が違います。解体を始める前に、市区町村の確認書の取り方を確認してください。空き家をどうするかの全体は空き家の判断基準の記事で確認できます。解体費用の見積もりの読み方は解体費用の計算方法の記事にあります。

相続財産を売った場合の取得費の特例(No.3267)は、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までの譲渡などが要件ですが、No.3306の空き家の特例とは併用できません。どちらが有利かは税理士に計算を頼んでください。

相続税で解体費用を差し引けるかという質問もあります。国税庁のNo.4126では、差し引ける債務は被相続人が亡くなったときにあった確実なものとされています。相続のあとに相続人が発注した解体費は、これに当たらないと考えるのが自然です。評価の方法などで扱いが変わることもあるので、申告を頼む税理士に確認してください。

法人や個人事業の勘定科目

freeeの解説では、解体や撤去の費用の勘定科目を目的別に分けています。実際の処理は税理士に確認してください。

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勘定科目主に使う場面
固定資産除却損建て替えの予定なく建物を取り壊すとき。帳簿価額が残っていれば、その分も含める
土地初めから壊す目的で建物付きの土地を取得したとき
修繕費損壊した建物の一部を解体して元の状態に戻すとき
災害損失災害で壊れた建物を撤去するとき

法人税基本通達7-7-1は、まだ使える建物を壊して代わりの建物を取得する場合、取り壊した資産の帳簿価額を損金に入れられるとしていますが、土地と共に取得した場合の7-3-6に当たるものは除かれています。摘要欄に目的を書いておくと、後で確認しやすくなります。

税理士や税務署に確認する前に揃えるもの

  • 解体工事の見積書、契約書、請求書、領収書。
  • 土地建物の売買契約書と、取得した日が分かる資料。
  • 建物の帳簿価額や減価償却の明細。
  • 賃貸の場合は、賃貸借契約の終了日と貸付けの規模が分かる資料。
  • 売却の場合は、売買契約書と解体から契約までの土地の使い方。
  • 相続の場合は、被相続人の居住の状況と市区町村の確認書。
  • 取壊しの事実が分かる取り壊し証明書や滅失登記の資料。

解体後は土地の固定資産税が変わることがあります。税額の見通しは解体後の固定資産税の記事で、見積書の項目は費用内訳の記事で確認してください。火災で壊す場合は火事の解体費用の記事で控除を含めて説明しています。

解体費用の税金でよくある質問

自宅の解体費用は確定申告で経費にできますか?

給与所得の人が自宅を壊しただけでは、経費として差し引く仕組みはありません。ただし、売るために壊した場合の譲渡費用や、火災などの雑損控除に当たる場合があります。

賃貸アパートを壊す費用は全額経費ですか?

資産損失について、事業として貸している場合は全額、それ以外は不動産所得の金額が限度です。取壊しの目的や時期でも変わるので、税理士に確認してください。

買ってから1年を過ぎて壊せば経費になりますか?

通達の「おおむね1年以内」は例示で、判断の中心は当初から壊す目的だったかどうかです。期間だけで決まるわけではありません。

空き家の3,000万円控除に解体が必要ですか?

必ずしも必要ではありません。耐震基準に適合させて売る方法もあります。壊して売る場合は、壊した後の土地の使い方などの要件があります。

相続した家の解体費用は相続税から控除できますか?

差し引ける債務は亡くなったときにあった確実なものです。相続後に発注した解体費は当たらないと考えられますが、評価の扱いも含めて税理士に確認してください。

まとめ

解体費用は、買って壊すなら土地の取得費、賃貸なら不動産所得の経費になる場合があり、売るためなら譲渡費用です。相続した空き家は壊して売ると3,000万円控除の対象になることがありますが、期限と書類の要件があります。個別の判断は税理士か税務署に聞く内容です。次にすることは、壊す目的と時期を書き出し、契約書や帳簿を揃えて相談することです。

参考資料

解体費用の全体像

木造の解体費用

RC造と鉄骨造の解体費用

建物の用途別

付帯工事と片付け

解体工事の流れと手続き

業者選びとトラブル

空き家の判断

施工の記録

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