監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基
株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。


アパートの解体費用は、構造と延床面積でおおよその額が決まります。本体解体費の目安は、木造が坪3万〜6万円、鉄骨造が坪5万〜7万円、RC造が坪6万〜10万円です。延床60坪の2階建てなら、木造で180万〜360万円、鉄骨造で300万〜420万円、RC造で360万〜600万円が試算になります。
ただ、アパートの解体で本当に時間がかかるのは工事より入居者の退去です。貸主からの解約には借地借家法の決まりがあり、一方的に出て行ってもらうことはできません。この記事では、費用の比較と、立ち退きの進め方、工期、税金の注意点を順に整理します。
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株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基
株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。

アパートの解体費用は「延床面積×構造の坪単価」で本体解体費を出し、付帯工事費、廃棄物処分費、諸経費を足して考えます。延床面積は各階の合計です。登記事項証明書で確認してください。
| 延床面積 | 木造(坪3万〜6万円) | 鉄骨造(坪5万〜7万円) | RC造(坪6万〜10万円) |
|---|---|---|---|
| 40坪 | 120万〜240万円 | 200万〜280万円 | 240万〜400万円 |
| 60坪 | 180万〜360万円 | 300万〜420万円 | 360万〜600万円 |
| 80坪 | 240万〜480万円 | 400万〜560万円 | 480万〜800万円 |
| 100坪 | 300万〜600万円 | 500万〜700万円 | 600万〜1,000万円 |
| 120坪 | 360万〜720万円 | 600万〜840万円 | 720万〜1,200万円 |
| 150坪 | 450万〜900万円 | 750万〜1,050万円 | 900万〜1,500万円 |
構造ごとの詳しい内訳は、木造の解体費用、鉄骨造の解体費用、RC造の解体費用で説明しています。RC造の集合住宅はRCマンションの解体費用も参考にしてください。
一般的な2階建てアパートは、1階と2階が同じ広さなら延床面積は1階の2倍です。たとえば1階30坪の2階建てなら延床60坪で、前の表の60坪の行が試算の目安になります。
アパートは同じ広さの戸建てに比べて、キッチン、浴室、トイレが部屋の数だけあるので、内装の撤去と分別の量が増えます。外階段、共用廊下、集合ポスト、駐輪場、駐車場の撤去も別に見込みましょう。足場の高さは2階建てなら戸建てと大きく変わりませんが、3階建てになると足場と養生の範囲が広がり、ロングアームの重機が必要になる場合があります。
| 条件 | 費用が動く理由 | 確認すること |
|---|---|---|
| 退去後の残置物 | 部屋ごとに残された物の処分が必要になります | 部屋の確認、処分の手配 |
| 前面道路の幅 | 大型車が入らず、運搬回数が増えます | 道路の幅と規制 |
| 隣地との距離 | 養生と手壊しの手間が増えます | 隣地の建物、境界 |
| 石綿 | 古い建物では調査の結果が費用に影響します | アスベストの解説 |
| 共用設備 | 受水槽、消火設備、外構の撤去が加わります | 図面、管理会社の資料 |
| 地中物 | 浄化槽や古い基礎が出ることがあります | 追加費用が起きる理由 |
残置物には注意してください。入居者が退去後に置いていった物は、勝手に処分するとトラブルになることがあります。契約の終了と所有権の放棄を書面で確認してから処分しましょう。家財の処分方法は解体前の残置物処分で説明しています。
アパートを解体するには、入居者との賃貸借契約を終わらせなければなりません。ここに誤解が多く、「古くなったから出て行ってほしい」と伝えるだけでは契約は終わりません。
借地借家法は、期間の定めがある契約と、定めがない契約で次のように決めています。
| 契約の種類 | 貸主がやること | 時期 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 期間の定めがある普通借家 | 更新をしない旨の通知 | 期間満了の1年前から6か月前まで | 借地借家法第26条 |
| 期間の定めがない普通借家 | 解約の申入れ | 申入れから6か月経過で終了 | 借地借家法第27条 |
| 定期借家 | 契約で定めた期間の満了で終了 | 期間が1年以上なら、満了の1年前から6か月前までの通知 | 借地借家法第38条 |
通知期間を過ぎた場合や、期間満了後に入居者が住み続けて貸主が遅滞なく異議を述べなかった場合は、従前の契約と同じ条件で更新したものとみなされます。解体の予定が立ったら、まず全室の契約書を見て、契約の種類と満了の時期を一覧にしてください。
普通借家では、通知や解約の申入れに正当の事由が必要です。第28条は、次の事情を考慮して判断するとしています。
老朽化は「建物の現況」として考慮される事情です。商事法務研究会が法務省の関連でまとめた令和7年3月の調査研究報告書では、対象裁判例のうち老朽化を理由に明渡しを求めた76件について、54件(約71.1%)で正当事由の具備が認められたとされています。耐震性能に触れた事案も多いと分析されています。ただし、これは裁判例の傾向であって、老朽化すれば必ず認められるという意味ではありません。
この第28条などの決まりに反する借主に不利な特約は無効です(第30条)。「解体するときは無条件で退去する」と契約書に書いてあっても、そのまま通用するとは考えないでください。
立退料の金額を決める法律の基準はありません。第28条でも、財産上の給付の申出は考慮する事情の1つとして挙げられているだけです。同じ報告書でも、立退料は正当事由の補完的な要素であることが前提とされています。
実務では、引っ越し費用、新居の契約にかかる初期費用、家賃の差額などを材料に個別に話し合います。金額の相場を単純な計算式で示すことはできないので、入居者の事情と建物の状態によって判断してください。話し合いが難しければ、早めに弁護士へ相談しましょう。
定期借家なら、契約期間の満了で更新なく終了します。ただし、契約前に書面で説明していることが条件で、期間が1年以上の場合は満了の1年前から6か月前までに通知する必要があります。これから解体を考えている建物で新しく入居者を募集するなら、定期借家を検討する方法もあります。
居住用の普通借家を合意解約して定期借家に切り替えることには制限があります。国土交通省の定期建物賃貸借のQ&Aでは、居住用の建物については当分の間、合意しても定期建物賃貸借に切り替えることはできないとされています。
退去に関する作業は、工事より前に始めます。入居者がいるアパートなら、次の順番を目安にしてください。
| 時期の目安 | やること | 注意点 |
|---|---|---|
| 解体の1年以上前 | 契約書の確認、建物の調査、専門家への相談 | 契約の種類と満了日を一覧にします |
| 満了の1年前から6か月前 | 更新拒絶の通知、または解約の申入れ | 配達証明付きの内容証明など、記録が残る方法を使います |
| 通知の前後 | 入居者への説明、個別の話し合い | 理由と時期、条件を説明します |
| 退去が見えた段階 | 解体業者の見積もり、補助金の確認 | 退去前は部屋の中を見られないことがあります |
| 全室の退去後 | 残置物の確認、ライフラインの停止 | 退去の確認を書面に残します |
| 着工前 | 届出、近隣への説明 | 解体の手続きは解体工事の届出一覧を確認 |
| 工事後 | 滅失登記、賃貸経営の処理 | 建物滅失登記の記事を確認 |
入居者がいる状態で「空き家」を対象にした補助金は使えないことが多いので、自治体の条件は退去の前に確認してください。補助金の種類と探し方は解体の補助金の記事にあります。賃貸用の建物を対象外にしている制度もあります。
通知の法律上の要件を満たしても、説明の仕方でその後の話し合いの進みが変わります。最初の説明は書面を用意して、次の内容を整理して伝えましょう。
建物の傷みを理由にするなら、耐震診断や劣化調査の結果があると説明の裏付けになります。前述の報告書でも、耐震性能が判断要素に挙がる事案が多く分析されています。逆に、説明なく家賃の受け取りをやめる、ライフラインを止める、鍵を替えるといった行為はトラブルの原因になるので行わないでください。
高齢の入居者や、転居先が見つからない入居者がいる場合は、期間を長めに取る、転居先の相談先を案内するなどの配慮が必要です。話し合いが進まないときは、民事調停や訴訟の手続きになることもあるので、弁護士に早めに相談してください。解体の工事の予約を先に確定させると、期日の圧力でかえって話がこじれることがあります。
連絡が取れない入居者がいる場合、部屋に入ったり荷物を処分したりするのは避け、弁護士に手順を相談しましょう。
見積もりは退去が決まってからと思われがちですが、早めに概算を取っておくと、立退料を含めた全体の予算を組みやすくなります。退去前で部屋に入れなければ、空き室だけを見てもらい、その時点の概算として受け取ります。全室の退去後に、残置物と内装を確認して金額を確定させましょう。
概算の手順は次のとおりです。
たとえば1室6坪の部屋が2階建てで8室ある木造アパートは、共用部分を除いても延床は約48坪です。坪3万〜6万円を掛けると、本体解体費の試算は144万〜288万円です。これは試算例で、外構や処分費は含まれていません。
近隣の住民にとっても、入居者の転居と解体は同時に関心事です。近隣挨拶の記事で説明の範囲を確認しておきましょう。業者には、石綿の調査結果の説明と、床面積80㎡以上の解体で必要な届出の分担を確認してください。
工事の期間は、構造と規模で変わります。工事の順番は戸建てと同じで、解体工事の流れで説明しています。
| 建物の例 | 工事期間の目安 | 根拠 |
|---|---|---|
| 木造2階建て、延床60〜80坪程度 | 約10〜15日 | 80坪の木造住宅の記録をもとにした目安 |
| RC造の低層、30〜50坪、2〜3階 | 3週間〜1.5か月 | RC造の解体期間の記事 |
| RC造90坪 | 記録では35日で完工 | 仙台市のRC造の解体記録 |
| RC造の中規模、100〜300坪、4〜8階 | 2か月〜4か月 | RC造の解体期間の記事 |
部屋数が多いほど内装の撤去に時間がかかります。鉄骨造は、構造の切断と吊り下ろしに時間がかかるので、規模の近い記録を業者に確認してください。建物が密集した地域なら、車両の出入りや作業時間の調整で日数が増えることがあります。

同じアパートでも、構造で解体の手間のかかる部分が違います。見積もりの説明を受けるときの参考にしてください。
| 構造 | 解体の特徴 | 見積もりで確認すること |
|---|---|---|
| 木造 | 手作業と重機を組み合わせ、木くずや石膏ボードを分別します | 分別の方法、屋根材と外壁の種類 |
| 軽量鉄骨造 | 骨組みが細く、プレハブ系のものもあります | メーカーの構造、外壁材の石綿 |
| 重量鉄骨造 | 鉄骨を切断して吊り下ろします | 切断の方法、鉄くずの扱い |
| RC造 | 圧砕機やブレーカーで砕き、がらと鉄筋を分けます | 工法、杭、基礎の範囲 |
鉄骨の鉄くずは売却価値があり、見積もりで相殺されることがあります。金属の相場で変わるので、相殺の有無と金額を書いてもらうと比べやすくなります。古いアパートでは外壁材や屋根材、吹付け材に石綿が使われている可能性があるので、有資格者による事前調査を必ず行ってください。
アパートは戸建てより、解体後の税金の差が大きくなることがあります。
住宅用地の特例では、200㎡以下の部分は住戸1戸あたりで計算します。たとえば4戸のアパートなら800㎡までが小規模住宅用地として、固定資産税の課税標準が評価額の6分の1になっています。解体でこの特例がなくなる分、土地の税額の変化が大きくなりやすいのです。判定は毎年1月1日時点で行われます。詳しくは固定資産税の記事で確認してください。
賃貸経営をしていた建物の解体費は、所得税の計算で扱いが問題になることがあります。解体費用の税務の記事を読んだうえで、税理士に確認してください。ローンが残っている場合は、金融機関に相談したうえで進めます。解体の資金については解体ローンの記事も参考になります。
アパートの解体費は、建物の単価を下げるより、周辺の費用を減らすほうが現実的です。
全室が空室で契約も終わっているなら、立ち退きの手順は不要で、戸建てと同じ流れで工事に入れます。ただし、郵便受けの表示や駐車場の契約など、残っている契約がないかを確認してください。電気、ガス、水道、インターネットは、共用部分を含めて契約先に連絡します。固定資産税は1月1日の状況で判定されるので、解体の時期は早めに確認しておきましょう。
アパートの解体も、床面積の合計が80㎡以上なら建設リサイクル法の届出が必要で、発注者に義務があります。業者に委任する場合も、控えを受け取ってください。床面積80㎡以上の解体は、元請業者が石綿の事前調査の結果を報告します。解体後は建物滅失登記を1か月以内に申請します。賃貸の建物を取り壊したあとの税の扱いは、国税庁のタックスアンサーNo.1373で、貸付けが事業として行われているかによって資産損失の扱いが分かれると案内されています。
アパートの解体は、取り壊すだけが選択肢ではありません。次の視点で比べておくと、判断の根拠になります。
空き室が増えて判断に迷う場合は、空き家の判断基準の記事が参考になります。業者の探し方は解体業者の選び方にまとめています。
本体解体費は木造で坪3万〜6万円、鉄骨造で坪5万〜7万円、RC造で坪6万〜10万円が目安です。延床60坪の木造なら180万〜360万円の試算です。付帯工事費、処分費、諸経費が別に加わります。
期間の定めがある普通借家は、期間満了の1年前から6か月前までに更新しない旨を通知します。期間の定めがない契約は、解約の申入れから6か月で終了します。いずれも普通借家では正当の事由が必要です。
老朽化は考慮される事情の1つですが、それだけで自動的に認められるわけではありません。双方が建物を必要とする事情、経過、立退料の申出などを含めて判断されます。話し合いが難しければ弁護士に相談してください。
法律で一律に定められたものではありません。ただ、正当の事由を補う要素として考慮されるので、提示して話し合うことが多くあります。金額の決まった基準はなく、事情によって変わります。
建物を一部残して解体する方法は現実的でない場合が多く、基本的には全室の退去後に工事を始めます。業者には退去の見通しを伝え、工事の時期に幅を持たせて相談してください。
自治体の制度で異なります。賃貸用の建物や事業者の除却を対象外にしている制度もあれば、共同住宅も対象にする制度もあります。契約や着工の前に、市区町村の窓口で確認してください。
アパートの解体費用は、構造の坪単価に延床面積を掛けて概算できます。ただ、入居者がいる建物は工事より先に退去の問題を解決しなければなりません。契約の種類と満了日を一覧にして、借地借家法の通知の時期を確認し、話し合いの見通しが立ってから解体の日程を決めてください。