監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基
株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。


残置物とは、解体する建物の中に残されたままの家具、家電、衣類、布団、食器、書類などの廃棄物のことです。環境省の通知は、建物の解体で出る廃材と区別して「残置物」と呼び、その処理の責任は建物の所有者等にあると整理しています。
解体業者にまとめて頼めそうに思えますが、家財の処分には解体工事と別のルールがあり、頼み方を間違えると違法な処理に巻き込まれるおそれがあります。この記事では、残置物の定義と区分、許可の確かめ方、費用の見方、片付けの順番を説明します。
監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基
株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。

全体の考え方は解体工事の流れと手順で整理しています。
残置は「残して置くこと」という意味の言葉で、不動産や解体の分野では、建物の中に残された物を指して使います。環境省の通知「建築物の解体時における残置物の取扱いについて」(平成26年2月3日)は、建築物の解体時に所有者等が残置した廃棄物を残置物と定め、解体で生じた廃棄物である解体物と区別しています。
同じ通知の別添の資料では、解体工事の開始までに建物内の廃棄物を適正に処理するのが基本で、残置物は元々の占有者が、工事に先立って、その責任で処理するのが原則だと説明されています。解体業者が責任を持つのは、柱や壁、屋根、基礎など、建物を壊すことで出る廃材のほうです。
賃貸住宅の分野でも同じ言葉が使われます。国土交通省と法務省のモデル契約条項は、単身の入居者が亡くなったあとに居室に残された家財を残置物と呼び、その処理の委任の方法を示しています。解体の場面とは話の中身が違いますが、「残された家財」という意味は共通です。
| 区分 | 具体例 | 処理の責任 |
|---|---|---|
| 残置物 | 家具、家電、衣類、布団、食器、書類、仏壇、店舗の什器 | 建物の所有者等、元々の占有者 |
| 解体物 | 木くず、コンクリートがら、瓦、外壁材、鉄筋 | 解体工事の元請業者 |
| どちらか迷うもの | 造り付けの棚、カーテンレール、エアコンの配管 | 解体の範囲に含むかを契約前に確認 |

廃棄物処理法は、廃棄物を産業廃棄物と、それ以外の一般廃棄物に分けています。環境省の通知によると、一般家庭が排出する残置物は一般廃棄物です。事業活動を行う者が排出する場合は、種類や性状によって産業廃棄物か事業系一般廃棄物になります。
| 比べる点 | 一般家庭の残置物 | 店舗や事務所の残置物 | 解体工事で出る廃材 |
|---|---|---|---|
| 廃棄物の区分 | 一般廃棄物 | 産業廃棄物または事業系一般廃棄物 | 産業廃棄物が多い |
| 処理の責任 | 所有者等 | 元の占有者である事業者 | 解体工事の元請業者 |
| 運ぶのに必要な許可 | 市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可か委託 | 区分に応じた許可 | 都道府県などの産業廃棄物収集運搬業の許可 |
通知は、残置物が一般廃棄物である場合、その処理を受託するには産業廃棄物処理業の許可だけでは足りず、一般廃棄物処理業の許可か市町村からの委託が必要だとしています。解体業者が産業廃棄物の許可を持っていても、それだけで家財を運べるわけではありません。
見積もりに「残置物撤去」と書かれていたら、誰がどの許可で運ぶのかを聞いてください。解体業者が一般廃棄物の許可業者に手配する場合は、その業者の名前と許可の自治体を確認します。
方法は量と時間の余裕で組み合わせます。どの方法が使えるかは市区町村のルールによって違うので、まず自治体の案内を確認しましょう。
| 方法 | 向いているもの | 注意点 |
|---|---|---|
| 市区町村の収集に出す | 普段のごみ、少量の粗大ごみ | 出せる量と日が決まっていて時間がかかります |
| 処理施設に自分で持ち込む | 車で運べる量の家具やごみ | 受け入れの条件と手数料は施設ごとに違います |
| 一般廃棄物の許可業者に頼む | 一度に大量に片付けたいとき | 自治体の許可か委託があるか確かめます |
| 買取やリユースに出す | まだ使える家具、家電、骨董品 | 古物商の許可を持つ店に依頼します |
| 家電リサイクルのルートに出す | エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機 | リサイクル料金と収集運搬料金がかかります |
家庭用のエアコン、テレビ、冷蔵庫と冷凍庫、洗濯機と衣類乾燥機は、家電リサイクル法の対象です。粗大ごみとしては出せず、購入した小売店などを通じて引き取られ、メーカーがリサイクルします。リサイクル料金と収集運搬料金を払い、家電リサイクル券で引き渡しを確認できます。
注意したいのが時期です。経済産業省の資料は、小売店に引き取りを頼む場合に、建物の解体の直前では対応できないことがあると案内しています。解体の予定が決まったら早めに頼みましょう。エアコンは室外機と配管がつながっているので、取り外しを誰が行うかも決めておきます。
環境省は、家庭の廃棄物の処分に無許可の回収業者を利用しないよう呼びかけています。市区町村の許可や委託を受けずに家庭の廃棄物を集めるのは違法で、同省のQ&Aは不法投棄や火災、有害物質の放出のほか、高額な料金を請求された事例もあると説明しています。「無料で回収します」というチラシや放送には、次の3点を確認してください。
一般廃棄物の許可は、業を行う区域を管轄する市区町村ごとに出されます。建物のある市区町村の許可かどうかまで確かめてください。
残置物の撤去費用について、公的な全国統計はありません。見つかる公開データとして数字が具体的なのは、日本少額短期保険協会の「孤独死現状レポート」です。賃貸住宅の入居者が亡くなったときの保険の支払い実績で、遺品や残置物の撤去費用を集計しています。
| 項目(第9回レポート) | 金額 |
|---|---|
| 残置物処理費用の平均損害額 | 29万5,172円 |
| 残置物処理費用の最大損害額 | 191万3,210円 |
| 残置物処理費用の最小損害額 | 1,080円 |
数字の幅の広さが、残置物の費用の性質をよく表しています。少額の場合から200万円近くまであり、平均だけでは自分の家の金額を判断できません。
「残置物の撤去費用は100万円かかるのか」という疑問には、量と条件によっては起こり得るが、必ずかかる金額ではないとお答えします。賃貸の居室でも最大で約191万円という公開データがある以上、一戸建てや店舗の一棟分で100万円を超える見積もりは不自然とは言えません。一方で、片付けをある程度済ませれば大きく下がることもあります。
大事なのは金額そのものより、見積もりの中身です。「残置物処分 一式 100万円」とだけ書かれていたら、品目、数量、運ぶ業者の許可を書面で出してもらいましょう。
| 費用が決まる要素 | 金額への影響 |
|---|---|
| 量と部屋数 | 運ぶ回数とトラックの台数が変わります |
| 建物の条件 | 階段だけの建物、道路が狭い家は運び出しに手間がかかります |
| 分別の手間 | 種類が混ざっているほど仕分けに時間がかかります |
| 家電リサイクルの品目 | リサイクル料金と収集運搬料金が加わります |
| 売れる物の有無 | 買取に回せると処分の量が減ります |
| 特殊な物 | 消火器、タイヤ、農薬などは別の処理先が必要なことがあります |
費用を比べるときは、解体の見積もりと残置物の見積もりを分けて見てください。一緒に書かれていると、片付けを自分で済ませたときの差額が分からなくなります。解体工事の費用内訳と解体工事の追加費用にも読み方を載せています。
市区町村によっては、空き家の家財処分に補助があります。条件は制度ごとに大きく違い、空き家バンクへの登録が前提のものが多いので、解体予定の建物では使えないこともあります。
| 市 | 補助の内容 | 要件の例 |
|---|---|---|
| 呉市 | 費用の2分の1、上限10万円 | 空き家バンクへの登録、または宅地建物取引業者との媒介契約など |
| 福井市(令和8年度) | 対象事業費の3分の2、上限5万円 | 市の要綱による |
| 真庭市 | 4分の3以内、上限20万円 | 市の要綱による |
たつの市の案内のように、交付決定の前に片付けた場合は対象にならないとする制度もあります。自分の市区町村に制度があるかは、片付けを始める前に確認しましょう。解体そのものの補助は解体費用に使える補助金で探し方を説明しています。
解体の見積もりに「残置物撤去」や「家財処分」が入っていることがあります。窓口が1つになるのは利点ですが、次の点を確かめてください。
解体の廃材に家財を混ぜて処分する提案は、受けないでください。区分が違う廃棄物を一緒に運ぶことになり、適正な処理を確認できなくなります。
片付けが終わる日が、解体の着工日を決めます。遠方の実家や、相続の話し合いが必要な家では、早めに動き始めると選択肢が増えます。
片付けと解体の手順全体は解体工事の流れと手順、解体までの費用の見通しは解体費用の計算方法で確認できます。株式会社インシュアラ(東京都知事許可(般-8)第159422号)でも、解体の前の片付けの段取りについてご相談を受けています。
遠方の実家では、片付けに通う回数が限られます。貴重品と書類の確認だけは立ち会って自分で行い、残りを許可業者に頼むという分け方にすると、負担を減らせます。
テナントが残した什器、看板、厨房機器は、事業活動から出た廃棄物です。種類によって産業廃棄物や事業系一般廃棄物になるので、処分の前に貸主と借主のどちらが負担するかを賃貸借契約で確認します。内装の撤去の範囲は内装解体の費用や店舗の解体費用で説明しています。
入居者が亡くなった賃貸住宅では、室内の家財の所有権は相続人に引き継がれます。貸主が勝手に処分すると、後で相続人との問題になりかねません。国土交通省と法務省のモデル契約条項は、生前に受任者との委任契約を結ぶ方法を示しています。空き家の処分の判断は空き家の解体、買取、リフォームの判断基準も参考にしてください。
解体する建物などの中に残された家具、家電、衣類、書類などの廃棄物のことです。環境省の通知では、建物を壊して出る解体物と区別され、処理の責任は所有者等にあるとされています。
一般家庭の残置物は一般廃棄物なので、一般廃棄物処理業の許可か市町村の委託がなければ、処理を引き受けられません。頼むときは、誰がどの許可で運ぶのかを確認してください。
公的な全国統計はありません。賃貸住宅の保険の公開データでは平均約29.5万円、最大約191万円です。量と建物の条件で大きく変わるので、品目と数量が分かる見積もりで判断してください。
環境省の通知は、残置物は解体工事の開始までに処理するのが基本としています。解体の廃材に混ぜて処分してよいものではないので、工事の前に片付けを終えてください。
処分の前に、お寺に閉眼供養を相談する人もいます。処分する方法は自治体と業者に確認してください。解体の前の供養の考え方は解体のお祓いの記事で触れています。
市区町村の一般廃棄物の許可か委託がある業者なら依頼できます。環境省は、産業廃棄物の許可や古物商の許可では家庭の廃棄物を回収できないと説明しています。許可の確認が取れない業者は避けてください。
残置物とは、解体する建物に残された家財などの廃棄物で、処理の責任は所有者等にあります。一般家庭の残置物は一般廃棄物なので、市区町村の許可か委託を受けた業者に頼む必要があります。
費用は量と条件で大きく変わり、公開データでも幅があります。品目と数量の分かる見積もりを取り、売れる物と家電4品目を先に分けると、無駄な出費を抑えられます。