内装解体の費用と単価の決まり方|スケルトンと原状回復の違いを解説

監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基

株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。

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店舗やオフィスを退去するとき、あるいは中古の建物を改装するとき、建物は残したまま中だけを撤去する「内装解体」が必要になります。費用を調べると「㎡単価いくら」という数字がいくつも出てきますが、同じ広さでも撤去する範囲が違えば金額はまったく別物になります。

この記事では、内装解体の費用がどう決まるのかを、スケルトンと原状回復の違い、見積もりに出てくる項目、テナント退去時に契約書で確認すべき点に分けて整理します。単価の数字だけで判断しないための見方をまとめました。

この記事の結論
  • 内装解体の費用は、面積よりも「どこまで撤去するか」で決まります。天井・床・壁・設備のどこまでを外すかで金額が大きく変わります
  • スケルトンは躯体だけを残す撤去、原状回復は契約時の状態に戻す工事です。どちらが求められるかは賃貸借契約で決まります
  • 搬出経路、作業できる時間帯、ビルの工事ルールも費用に効きます。夜間作業や指定業者があると割高になりやすいです
  • 単価は見積もりの条件がそろって初めて比べられます。撤去範囲と含まれる費用を書面で確認してから比べてください

全体の考え方は解体費用の計算方法と構造別の単価で整理しています。

目次

内装解体とはどんな工事か

内装解体は、建物の骨組み(躯体)を残して、内側の仕上げや設備を取り外す工事です。建物そのものを壊す解体工事とは目的も進め方も違います。建物が使われ続けるので、重機で一気に壊すことはできず、ほとんどが人の手と小型の電動工具による作業になります。

内装解体が必要になる場面は、主に次の3つです。

  • テナントの退去……借りていた店舗や事務所を、契約で決められた状態に戻して明け渡すとき
  • 改装やリノベーション……新しい内装を作る前に、古い仕上げや設備を撤去するとき
  • 居抜き物件の入居前……前の借り主が残した造作のうち、使わないものを撤去するとき

どの場面でも、撤去する範囲を決めることが費用を考える出発点になります。テナントの退去であれば、範囲を決めるのは借り主の希望ではなく、賃貸借契約の内容です。

スケルトンと原状回復の違い

内装解体の相談で必ず出てくるのが「スケルトン」と「原状回復」という言葉です。似た場面で使われますが、意味は違います。

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比べる点スケルトン原状回復
どんな状態に戻すか天井・床・壁の仕上げを外し、柱や梁、床のコンクリートなど躯体がむき出しの状態借りたときの状態。契約で定めた状態に戻す
撤去する範囲内装と設備のほぼすべて借り主があとから造ったものが中心。元からあった天井や床は残すこともある
範囲を決めるもの契約や改装の計画賃貸借契約と、入居時の状態の記録
よくある場面スケルトンで借りた店舗の退去、全面改装の前事務所や、内装付きで借りた店舗の退去
一般的な使い分けです。実際の範囲は契約書の文言で確認してください

たとえば、スケルトンの状態で借りて飲食店を造った場合、退去時もスケルトンに戻す契約になっていることが多くあります。一方、天井や照明、床材が付いた状態で借りた事務所なら、借り主が追加した間仕切りや配線を撤去し、元の仕上げを補修するのが原状回復になります。

同じ「退去の工事」でも、スケルトンと原状回復では撤去する量がまるで違います。見積もりを頼む前に、契約書でどちらが求められているかを確認してください。

内装解体の費用を決める要素

内装解体の費用は、面積に一定の単価を掛けるだけでは決まりません。当サイトでは、確かな根拠のある統一の相場を示せないため、ここでは具体的な金額ではなく、金額を動かす要素を順に説明します。見積もりを比べるときは、次の項目がそれぞれ同じ条件になっているかを見てください。

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要素費用が増えやすい条件確認のしかた
面積広いほど総額は増える。狭すぎても最低限の人件費と運搬費がかかる図面か実測で、工事する部分の床面積を確認する
撤去の範囲スケルトンまで戻す、天井裏の設備まで外す契約書と現地で、残すものと外すものを一覧にする
天井天井材と下地を外す、天井裏の配線やダクトも撤去する仕上げだけか、下地や設備まで含むかを分けて書いてもらう
床タイルやフローリングをはがす、床のかさ上げを壊す床材の種類と、下地のコンクリートまで出すかを確認する
設備厨房機器、空調、給排水、電気配線、看板を外す設備ごとに、撤去するか残すかを決める
搬出経路エレベーターが使えない、上の階、通路が長い廃材をどこから出し、トラックをどこに止めるかを確認する
作業時間夜間や休日しか作業できない、音の出る作業の時間が限られるビルの管理会社に、作業できる時間帯を確認する
ビルの工事ルール指定業者がある、養生の範囲が広い、工事の申請が必要管理規約や工事の手引きを取り寄せる
アスベスト古い建物の天井材や床材などに含まれている事前調査の結果を確認する
金額は現地調査のうえで見積もりで確認してください

このうち、見落とされやすいのが搬出経路と作業時間です。内装解体の廃材は、すべて人の手で建物の外まで運び出します。エレベーターの使用時間に制限がある、養生が必要な共用部が長い、といった条件があると、それだけ作業の日数と人数が増えます。

営業中のテナントが入っているビルでは、音や振動の大きい作業を営業時間外に限るルールもあります。夜間の作業は人件費が上がるため、同じ範囲を撤去しても昼間の工事より高くなりやすいです。

「㎡単価」「坪単価」をどう読むか

内装解体の見積もりには、㎡単価や坪単価で書かれたものと、「内装解体工事一式」とまとめて書かれたものがあります。どちらの書き方でも、単価の中に何が含まれているかが分からなければ比べようがありません。

同じ単価に見えても、ある業者は天井と床の撤去だけ、別の業者は設備の撤去と廃材の処分まで含めている、ということがあります。逆に、単価が安く見えても、処分費や養生費、運搬費が別の行に分かれていて、合計すると高くなることもあります。

  • 単価に廃材の処分費が含まれているか
  • 養生費(共用部やエレベーターの保護)が別になっているか
  • 設備の撤去が単価に入っているか、別の項目か
  • 夜間や休日の割増があるか
  • アスベストの調査の費用が入っているか

単価で比べるのは、これらの条件をそろえてからです。木造や鉄骨造の建物を丸ごと解体するときの坪単価の考え方は、解体費用の計算方法の記事で解説しています。内装解体は建物の解体とは計算の前提が違うので、建物解体の坪単価をそのまま当てはめないようにしてください。

見積書で確認したい項目

内装解体の見積書は、項目の分け方が業者ごとにかなり違います。複数の見積もりを並べるときは、次の表の項目が入っているかを一つずつ確かめると、抜けや重複に気づきやすくなります。

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項目内容抜けていたときの注意
仮設・養生床や壁、共用部、エレベーターを傷から守るシートや板あとから追加になりやすい
内装材の撤去天井、壁、床、間仕切り、建具の撤去どこまで外すかを範囲で確認する
設備の撤去空調、照明、配線、給排水、厨房機器、ダクト残すものと外すものを分ける
廃材の運搬・処分分別した廃材を運び出し、処分場で処理する費用処分費が別だと総額が読めない
アスベストの調査・除去事前調査と、含まれていた場合の除去調査の結果しだいで金額が変わる
諸経費現場管理、書類作成、駐車場代など割合と中身を聞いておく

見積書の読み方の基本は解体工事の費用内訳の記事に、工事のあとで追加請求が出るのを防ぐ確認点は見積もりトラブルの記事にまとめています。

テナントの原状回復は契約で決まる

テナントの退去で行う内装解体は、どこまで戻すかを借り主と業者だけで決めることはできません。範囲を決めるのは賃貸借契約です。契約書に「スケルトンにして返還する」と書かれていれば、借り主が造った内装を残して返すことは基本的にできません。

退去の工事を頼む前に、契約書と関連する書類で次の点を確認してください。

  • 返還するときの状態……スケルトンか、借りたときの状態か
  • 入居時の状態の記録……図面、写真、引き渡し時の書類が残っているか
  • 工事を頼める業者……貸し主やビルが指定する業者がいるか
  • 工事の申請と時期……着工前の申請や、明け渡し日までの工事期間
  • 残してよいもの……次の借り主に引き継げる造作や設備があるか

ビルによっては、退去時の工事を貸し主が指定する業者に任せる決まりがあります。指定業者の工事は、借り主が自分で業者を選べないため、見積もりを比べる余地が小さくなります。それでも、見積もりの内訳を出してもらい、範囲が契約の内容と合っているかを確かめることはできます。

居抜きで次の借り主に引き継げる場合は、撤去する範囲を減らせることがあります。ただし、引き継ぐには貸し主の承諾が必要です。勝手に残すと、あとから撤去を求められることがあるので、必ず書面で合意してください。

内装解体で必要な手続きと確認

内装解体は建物を壊さないため、建物の解体で必要な手続きの一部は対象になりません。一方で、アスベストの事前調査は内装の撤去でも必要です。

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手続き・確認内装解体での扱い
アスベストの事前調査解体だけでなく改修工事でも必要です。天井材や床材、吹付け材などを撤去する前に調べます。改修工事は請負金額が税込100万円以上の場合、結果の報告も必要です
建設リサイクル法の届出建物を壊す解体は床面積の合計80㎡以上で、工事の7日前までに届け出ます。内装の撤去のような修繕・模様替えは基準が別で、対象になるかは業者に確認します
ビルへの工事申請法律ではなくビルの決まりです。工事の内容、日程、作業時間、業者の情報を事前に出すことが多いです
建物滅失登記建物は残るので、内装解体では必要ありません

アスベストは、古い建物ほど含まれている可能性があります。含まれていた場合は、飛び散らないように囲って除去する作業が加わり、工期も費用も増えます。調査と除去の流れはアスベストがある建物の解体工事ガイドでくわしく解説しています。

内装解体の工事の流れ

内装解体の工期は、広さと撤去する範囲、作業できる時間帯で大きく変わります。明け渡しの日が決まっている退去工事では、逆算して早めに業者へ相談してください。

STEP
契約書の確認と現地調査

返還時の状態と工事のルールを確かめ、業者に現地を見てもらいます。撤去する範囲を図面や写真で共有します。

STEP
見積もりと工事の申請

見積もりの範囲が契約と合っているかを確認します。ビルへの工事申請と、必要な調査や届出を済ませます。

STEP
養生と設備の取り外し

共用部や残す部分を保護し、電気や水道を安全に止めてから、設備を外していきます。

STEP
天井・壁・床の撤去

上から順に撤去し、廃材は種類ごとに分けて運び出します。

STEP
清掃と立ち会い

清掃のあと、貸し主や管理会社と状態を確認します。指摘があれば手直しをします。

工事全体の流れは、建物の解体を例に解体工事の流れの記事でも説明しています。

内装解体の費用を抑える方法

  1. 撤去する範囲を契約で確かめる……必要以上に外していないか、逆に足りずに手直しにならないかを、契約書の文言で確認します
  2. 同じ条件で複数の見積もりを取る……範囲、作業時間、処分費の扱いをそろえて頼むと、金額の差の理由が分かります
  3. 残置物は先に処分する……什器や備品、書類を事前に片付けると、処分する量が減ります
  4. 居抜きでの引き継ぎを相談する……次の借り主に使ってもらえる設備があれば、貸し主の承諾を得て残せることがあります
  5. 工期に余裕を持たせる……急ぎの工事は人を増やすため割高になりやすいです。退去の予定が決まったら早めに動いてください

店舗やオフィスの建物ごとの解体については、オフィスビルの解体費用の記事やコンビニ解体費用の記事も参考にしてください。

内装解体でよくある質問

内装解体の費用は㎡あたりいくらですか?

撤去する範囲、設備の量、搬出経路、作業時間で大きく変わるため、当サイトでは一律の単価は示していません。現地調査のうえで、範囲をそろえた見積もりを複数取って比べてください。

スケルトンと原状回復、どちらにすればよいですか?

テナントの退去であれば、借り主が選ぶものではなく、賃貸借契約で決まります。契約書に書かれた返還時の状態を確認してください。

内装解体でもアスベストの調査は必要ですか?

必要です。アスベストの事前調査は、建物の解体だけでなく改修工事でも求められます。天井材や床材を撤去する前に調べます。

ビルの指定業者に頼むと高くなりますか?

業者を自由に選べないぶん、比べる余地は小さくなります。内訳を出してもらい、範囲が契約と合っているか、不要な項目がないかを確認してください。

工事は営業時間外にしかできないと言われました。

営業中のテナントがいるビルでは、音の出る作業の時間が決められていることがあります。夜間作業は割増になりやすいので、見積もりに含まれているかを確認してください。

まとめ

内装解体の費用は、面積に単価を掛けるだけでは決まりません。スケルトンか原状回復か、天井や床、設備をどこまで撤去するか、搬出経路と作業時間、ビルの工事ルールで金額が変わります。テナントの退去なら、まず賃貸借契約で返還時の状態を確認し、そのうえで範囲をそろえた見積もりを比べてください。

解体費用の全体像

木造の解体費用

RC造と鉄骨造の解体費用

建物の用途別

付帯工事と片付け

解体工事の流れと手続き

業者選びとトラブル

空き家の判断

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