監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基
株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。



この記事は神奈川県知事許可(登-3)第2636号を持つ解体業者・株式会社インシュアラ(代表 金松裕基・解体実績1,000件超)が監修しています。総務省「令和5年住宅・土地統計調査」、神奈川県の公表資料、空家等対策特別措置法の条文、国税庁タックスアンサーなど一次情報のみを根拠に、神奈川県の空き家を「解体するか・売るか・活かすか」を判断するための材料を整理しました。推定を述べる箇所は必ず「目安」「傾向」と明示しています。
㈱インシュアラ代表取締役社長 金松裕基こんにちは、株式会社インシュアラ代表の金松です。神奈川の空き家について調べると「空き家率が低い県」という情報と「空き家が全国3番目に多い県」という情報が両方出てきて、混乱される方が多いです。実はどちらも正しく、この2つを分けて理解することが、ご自身の物件の判断を誤らないための第一歩になります。この記事では統計の読み方から税制、市ごとの補助金まで、根拠を示しながら順に解説します。
神奈川県は人口920万人を超える大都市圏でありながら、三浦半島や県西部には別荘地・保養地として発展した地域を抱え、空き家の性格がエリアごとに大きく異なります。相続で実家を引き継いだ方、遠方に空き家を持つ方、これから相続が発生しそうな方に向けて、判断に必要な数字と制度を一つのページにまとめました。市ごとの費用や補助金の詳細は、記事末尾の各市の記事もあわせてご覧ください。
総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」(2023年10月1日現在・令和6年9月25日確報公表)によると、神奈川県の状況は次のとおりです。
| 項目 | 神奈川県 | 全国 |
|---|---|---|
| 総住宅数 | 476万5千戸 | 6,504万7千戸 |
| 空き家数 | 46万7千戸 | 900万2千戸 |
| 空き家率 | 9.8% | 13.8% |
| 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 | 15万1千戸 | 385万6千戸 |
| 同・総住宅数に占める割合 | 3.2% | 5.9% |
| 2018年からの総住宅数増減率 | +5.8% | +4.2% |
神奈川県の空き家率9.8%は、全国平均13.8%を4ポイント下回ります。47都道府県のうち、神奈川県より空き家率が低いのは埼玉県(9.3%)と沖縄県(9.4%)の2県だけです。つまり神奈川県は、高い順に数えると45位、低い順なら3番目という位置づけになります。
| 空き家率が低い県 | 空き家率 | 空き家率が高い県 | 空き家率 |
|---|---|---|---|
| 1位 埼玉県 | 9.3% | 1位 徳島県 | 21.3% |
| 2位 沖縄県 | 9.4% | 2位 和歌山県 | 21.2% |
| 3位 神奈川県 | 9.8% | 3位 鹿児島県 | 20.5% |
| ― | ― | 4位 山梨県 | 20.4% |
| ― | ― | 5位 高知県 | 20.3% |
ところが、空き家の戸数で見ると神奈川県の順位はまったく変わります。人口・住宅ストックが大きいため、率が低くても絶対数は多くなるためです。神奈川県自身も公表資料の中で「神奈川県の空き家の戸数は、約47万戸で、全国で3番目の多さであり、今後一層増加することが懸念されている」と明記しています。
| 順位 | 都道府県 | 空き家数 |
|---|---|---|
| 1位 | 東京都 | 89万7千戸 |
| 2位 | 大阪府 | 70万2千戸 |
| 3位 | 神奈川県 | 46万7千戸 |
| 4位 | 愛知県 | 43万3千戸 |
空き家率は「空き家数 ÷ 総住宅数」で計算されます。神奈川県は総住宅数が476万5千戸と極めて多いため、空き家が46万7千戸あっても率としては9.8%に収まります。ご自身の物件が売れるか・貸せるかを考えるうえで意味を持つのは「率」ではなく、同じエリアにどれだけ競合となる空き家があるかです。次章の市町村別データで、お住まいの市の状況を確認してください。
空き家46万7千戸には、入居者募集中の賃貸物件や別荘も含まれます。空き家問題として本当に深刻なのは、賃貸にも売却にも出されず、別荘でもない、いわば「使われないまま放置されている住宅」です。神奈川県の資料では、この区分の内訳が次のように示されています。
| 区分 | 戸数 | 内容 |
|---|---|---|
| 賃貸用又は売却用の住宅 | 30万0,800戸 | 入居者・買主を募集中の住宅 |
| 二次的住宅 | 1万5,300戸 | 別荘やたまに寝泊まりする住宅 |
| 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 | 15万1,000戸 | 転勤・入院・相続などで空いたまま放置されている住宅 |
| 合計 | 46万7,100戸 | ― |
神奈川県はこの区分について「なかでも『その他の住宅』が占める割合が増大している」と指摘しています。実際、平成5年(1993年)時点では6万1,600戸だったものが、令和5年(2023年)には15万1,000戸へと、30年間で約2.5倍に増えました。相続した実家をどうするか決めきれないまま時間が経過しているケースが、この数字の中に多く含まれていると考えられます。
平成30年(2018年)調査までは「その他の住宅」と呼ばれていた区分が、令和5年(2023年)調査から「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」に名称変更されています。ネット上の記事では旧名称のまま解説しているものも多いため、他の情報源と数字を比べる際は、どちらの調査年のデータかを確認してください。なお神奈川県の公表資料では、令和5年の数値についても従来どおり「その他の住宅」という表記が使われている箇所があります(内容は同じ区分を指します)。
空き家の判断材料として、県全体の住宅ストックの構成も押さえておくと役立ちます。神奈川県の居住世帯のある住宅427万2千戸のうち、一戸建は174万戸(40.7%)、共同住宅は243万4千戸(57.0%)で、共同住宅の比率が高いのが特徴です。持ち家は250万8千戸(58.7%)となっています。
全国の傾向として、一戸建の空き家352万3千戸のうち80.9%(285万1千戸)が「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」にあたります。つまり放置されている空き家の大半は一戸建であり、マンションよりも一戸建のほうが「決断されないまま残りやすい」構造にあることが分かります。相続した実家が一戸建であれば、まさにこの層に入る可能性が高いといえます。
神奈川県は市町村別の空き家データをPDFで公表しています。ここで示されているのは「その他の空き家」(=賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家)の数と率で、放置されている空き家の実態を最もよく表す指標です。県全体の平均は3.2%です。
以下の数字は「その他の空き家」に限った率であり、賃貸募集中の物件や別荘を含む「総空き家率」ではありません。前章で示した県全体の空き家率9.8%とは分母・分子が異なるため、直接比較できない点にご注意ください。神奈川県の市町村別の総空き家率は県の公表資料では確認できませんでした。
| 順位 | 市町村 | その他の空き家率 | その他の空き家数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 湯河原町 | 10.4% | 1,800戸 |
| 2 | 三浦市 | 9.3% | 2,000戸 |
| 2 | 二宮町 | 9.3% | 1,200戸 |
| 4 | 葉山町 | 7.6% | 1,100戸 |
| 5 | 大磯町 | 7.2% | 1,100戸 |
| 6 | 横須賀市 | 6.6% | 12,800戸 |
| 7 | 中井町等(6町村) | 6.2% | 1,900戸 |
| 8 | 鎌倉市 | 5.4% | 4,600戸 |
| 8 | 逗子市 | 5.4% | 1,600戸 |
| 10 | 開成町 | 5.0% | 400戸 |
| 11 | 南足柄市 | 4.4% | 800戸 |
| 12 | 藤沢市 | 4.2% | 9,200戸 |
| 13 | 厚木市 | 4.1% | 4,800戸 |
| 14 | 平塚市 | 3.7% | 4,700戸 |
| 15 | 茅ヶ崎市 | 3.6% | 4,200戸 |
| 16 | 寒川町 | 3.4% | 800戸 |
| ― | 神奈川県 平均 | 3.2% | 151,000戸 |
| 17 | 相模原市 | 3.2% | 11,800戸 |
| 18 | 座間市 | 3.1% | 2,100戸 |
| 19 | 綾瀬市 | 3.0% | 1,100戸 |
| 20 | 小田原市 | 2.9% | 2,800戸 |
| 21 | 秦野市 | 2.8% | 2,400戸 |
| 21 | 愛川町 | 2.8% | 500戸 |
| 23 | 横浜市 | 2.7% | 51,500戸 |
| 24 | 川崎市 | 2.4% | 20,100戸 |
| 24 | 大和市 | 2.4% | 3,100戸 |
| 24 | 伊勢原市 | 2.4% | 1,300戸 |
| 27 | 大井町 | 2.2% | 200戸 |
| 28 | 海老名市 | 1.7% | 1,100戸 |
表の中で「中井町等」とまとめられているのは、中井町・松田町・山北町・箱根町・真鶴町・清川村の6町村です。神奈川県の資料には「個別データがないため県合計からの差し引きにより求めています」と注記されており、この6町村については個別の空き家率が公表されていません。住宅・土地統計調査は標本調査であり、人口規模の小さい自治体では統計的に信頼できる数値が得られないためです。この6町村に空き家をお持ちの場合は、各町村の役場に直接お問い合わせいただくのが確実です。
上位を占める湯河原町(10.4%)、三浦市(9.3%)、二宮町(9.3%)、葉山町(7.6%)、大磯町(7.2%)には、明確な共通点があります。いずれも相模湾または東京湾に面し、かつて別荘地・保養地として発展した歴史を持つ自治体だという点です。
別荘やセカンドハウスとして建てられた住宅は、所有者が高齢化したり相続が発生したりすると、使われないまま残りやすい傾向があります。統計上「二次的住宅(別荘)」として使われ続けていれば別区分に計上されますが、実際にはほとんど使われなくなり「その他の空き家」に移行しているケースが多いと考えられます。
加えてこれらの地域は斜面地や狭あい道路が多く、解体・建て替えのハードルが高いという物理的な事情も抱えています。重機が入れない現場では手作業での解体が必要になり費用が上がるため、「解体したいが費用が読めず先送りしている」という状況が空き家率を押し上げている可能性があります。
逆に空き家率が低いのは、海老名市(1.7%)、大井町(2.2%)、川崎市(2.4%)、大和市(2.4%)、伊勢原市(2.4%)です。神奈川県は公表資料の中で「その他の空き家率は県央地域でほか地域よりも低い数字となっている」とコメントしています。
海老名市・大和市・座間市・綾瀬市・伊勢原市といった県央エリアは、小田急線・相鉄線・JR相模線などの沿線で都心へのアクセスが確保されており、住宅需要が継続しています。空き家になっても比較的早く次の買い手・借り手が見つかりやすいため、放置されたまま滞留する住宅が少ないと考えられます。



この表で見ていただきたいのは順位そのものよりも、「率」と「戸数」のどちらを見るかで意味がまったく変わるという点です。たとえば横浜市は率では2.7%と下から6番目ですが、戸数では51,500戸と県内で圧倒的に最多です。逆に湯河原町は率で1位ですが戸数は1,800戸。ご自身の物件が「売りにくいエリアにあるのか」を判断するなら率、「同じ市内にどれだけ競合があるか」を知りたいなら戸数を見てください。
| エリア | 主な市町村 | 空き家の傾向 | 解体時に注意すべき点 |
|---|---|---|---|
| 三浦半島 | 横須賀市・三浦市・逗子市・葉山町 | 率・戸数ともに県内最上位クラス。横須賀市は12,800戸 | 谷戸・坂道・階段状の路地で重機が入りにくい |
| 県西・箱根周辺 | 湯河原町・真鶴町・小田原市・南足柄市 | 湯河原町は県内最高の10.4%。旧別荘地の滞留が目立つ | 山間部の搬出経路確保、斜面地の高低差 |
| 湘南 | 鎌倉市・藤沢市・茅ヶ崎市・大磯町・二宮町 | 鎌倉5.4%、二宮9.3%など、旧別荘地ほど率が高い | 塩害による部材劣化、鎌倉は埋蔵文化財・風致地区の手続き |
| 横浜・川崎 | 横浜市・川崎市 | 率は低いが戸数は最多。2市で71,600戸 | 狭あい道路の密集市街地、臨海部の工場アスベスト |
| 県央 | 海老名市・大和市・座間市・綾瀬市・伊勢原市 | 県内で最も率が低いエリア。流通が比較的活発 | 住宅密集地での近隣配慮、狭あい道路のセットバック |
| 県北 | 相模原市・愛川町・清川村 | 相模原市は11,800戸。津久井など山間部を抱える | 山間部の小運搬、市域が広く業者の対応範囲に差 |
この表のうち空き家の数値は公的統計にもとづくものですが、「解体時に注意すべき点」は当社が神奈川県内で解体工事を行ってきた経験にもとづく傾向であり、統計的な裏付けがあるものではありません。実際の現場条件は同じ市内でも大きく異なるため、必ず現地調査を経た見積もりで確認してください。
「とりあえず持っておけばいい」と考えて空き家を放置すると、時間の経過とともにリスクが積み上がります。2023年12月の法改正で、そのリスクが従来より早い段階で顕在化するようになった点が最大の変化です。
住宅が建っている土地は固定資産税の課税標準が最大6分の1に軽減されていますが、市町村から勧告を受けるとこの特例が解除されます。2023年12月の改正で、「特定空家等」になる前の「管理不全空家等」の段階でも勧告の対象になりました。詳しくは後の章で解説します。
命令に従わない場合、市町村が所有者に代わって解体を行い、その費用を所有者に請求します。国土交通省の集計では令和7年3月31日時点で行政代執行の累計は286件、略式代執行は592件に達しています。改正により略式代執行の費用も強制徴収できるようになりました。
老朽化した建物の外壁や瓦が落下して通行人が怪我をした場合、所有者が損害賠償責任を負う可能性があります。台風や地震の多い日本では、放置期間が長いほどこのリスクは高まります。特に神奈川県は台風の進路にあたることが多く、沿岸部では塩害による金属部材の劣化も進みます。
相続した空き家を売却する際に使える3,000万円特別控除には、「相続開始から3年目の年末まで」という期限があります。判断を先送りしているうちにこの期限を過ぎると、数百万円単位の税負担の差が生じることがあります。制度自体の適用期限も令和9年12月31日までです。
空き家対策の根拠法は「空家等対策の推進に関する特別措置法」(平成26年法律第127号)です。2023年(令和5年)に大きな改正が行われました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律 |
| 法律番号 | 令和5年法律第50号 |
| 公布日 | 令和5年6月14日 |
| 施行日 | 令和5年12月13日 |
| 本体法 | 空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号) |
この改正で条番号が繰り下がっています。特定空家等への措置を定めた条文は改正前の第14条から、改正後は第22条になりました。ネット上の解説記事には旧条番号のまま更新されていないものが多く残っています。条文を引用・確認する際は、現行法の第22条を参照してください。
今回の改正で最も実務に影響が大きいのが、「管理不全空家等」という区分の新設です。条文では次のように定義されています。
市町村長は、空家等が適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にあると認めるときは、当該状態にあると認められる空家等(以下「管理不全空家等」という。)の所有者等に対し、…(中略)…必要な措置をとるよう指導をすることができる。
空家等対策の推進に関する特別措置法 第13条第1項
注意点として、この定義は第2条(用語の定義)ではなく第13条第1項の括弧書きの中に置かれています。条文を探す際に第2条を見ても見つからないため、覚えておくと確認がスムーズです。
第13条第2項では、指導をしてもなお改善されず、そのまま放置すれば特定空家等に該当するおそれが大きいと認めるときに、修繕、立木竹の伐採その他の具体的な措置を勧告できると定めています。この「勧告」が、固定資産税の特例解除の引き金になります。
従来からある「特定空家等」は、第2条第2項で次のように定義されています。
この法律において「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。
空家等対策の推進に関する特別措置法 第2条第2項
| 比較項目 | 管理不全空家等 | 特定空家等 |
|---|---|---|
| 建物の状態 | そのまま放置すれば特定空家等になるおそれがある段階 | すでに周囲に悪影響を及ぼしている段階 |
| 定義条文 | 第13条第1項(括弧書き) | 第2条第2項 |
| 行政がとれる措置 | 指導・勧告まで | 指導・勧告・命令・代執行まで |
| 住宅用地特例 | 勧告を受けると解除 | 勧告を受けると解除 |
| 新設・従来 | 2023年12月に新設 | 2015年施行時から存在 |
ポイントは「勧告を受ければ、どちらの区分でも住宅用地特例が解除される」という点です。地方税法第349条の3の2第1項の括弧書きで、管理不全空家等と特定空家等の両方が「住宅用地」の定義から明文で除外されているためです。従来は特定空家等に認定されて初めて生じたリスクが、一段階手前で発生するようになったことになります。
| 段階 | 条文 | 内容 |
|---|---|---|
| ① 助言・指導 | 第22条第1項 | 除却・修繕・立木竹の伐採等。保安上危険・衛生上有害な状態にない場合は建築物の除却を除く |
| ② 勧告 | 第22条第2項 | 相当の猶予期限を付けて勧告。ここで住宅用地特例が外れる |
| ③ 命令 | 第22条第3項 | 勧告を受けた者が正当な理由なく措置をとらず、特に必要と認めるとき |
| ― 事前手続 | 第22条第4〜8項 | 通知書交付・意見書提出の機会、公開意見聴取の請求(交付日から5日以内)等 |
| ④ 行政代執行 | 第22条第9項 | 行政代執行法(昭和23年法律第43号)の定めに従い実施 |
| ④’ 略式代執行 | 第22条第10項 | 過失なく命令対象者を確知できないとき。命令対象者の負担において実施 |
| ④” 緊急代執行 | 第22条第11項 | 2023年改正で新設。災害等の非常の場合で、命令するいとまがないとき |
| 費用徴収 | 第22条第12項 | 第10・11項の費用徴収に行政代執行法第5条・第6条を準用(=強制徴収が可能) |
2023年改正での実務的に大きな変更は2点あります。1つは緊急代執行の新設(第22条第11項)で、災害等で命令の手続をとる時間的余裕がない場合に即座に対応できるようになりました。もう1つは略式代執行の費用徴収の強化です。改正前は所有者不明のケースで代執行した費用を回収するために裁判を経る必要がありましたが、改正により通常の代執行と同様に強制徴収が可能になりました。
国土交通省と総務省が全国1,741市区町村を対象に行った調査(令和7年3月31日時点)の結果です。改正から約1年半での運用実績が分かります。
| 措置 | 令和5年度 | 令和6年度 | 累計 |
|---|---|---|---|
| 管理不全空家等 指導 | 666件 | 2,545件 | 3,211件 |
| 管理不全空家等 勧告 | 0件 | 378件 | 378件 |
| 特定空家等 助言・指導 | 4,278件 | 4,026件 | 42,768件 |
| 特定空家等 勧告 | 543件 | 600件 | 4,153件 |
| 特定空家等 命令 | 75件 | 101件 | 551件 |
| 行政代執行 | 34件 | 71件 | 286件 |
| 略式代執行 | 95件 | 81件 | 592件 |
| 緊急代執行 | 3件 | 9件 | 12件 |
注目すべきは管理不全空家等への指導が令和5年度666件から令和6年度2,545件へと約3.8倍に増えている点、そして勧告が令和5年度0件から令和6年度378件に立ち上がった点です。制度が新設された直後は指導が中心でしたが、改善されないケースについて勧告に進む運用が本格化していることが読み取れます。管理不全空家等の勧告は住宅用地特例の解除に直結するため、今後さらに増える可能性があります。
なお、空家法についてはさらに令和8年法律第27号による改正が令和8年9月3日施行予定となっています(2026年7月末時点で未施行)。ただし本記事で引用した第2条第2項(特定空家等の定義)および第13条(管理不全空家等)の文言は変更されていないことを確認しています。施行後の追加内容については、施行時点で国土交通省の公表資料をご確認ください。
空き家の解体を検討すると必ず出てくるのが「更地にすると固定資産税が6倍になる」という話です。この「6倍」という数字は完全な誤りではありませんが、そのまま受け取ると実態を大きく見誤ります。何がどう6倍なのか、条文と自治体の公式見解にもとづいて分解して解説します。
住宅が建っている土地は「住宅用地」として、固定資産税・都市計画税の課税標準額が軽減されます。軽減率は面積によって2段階に分かれます。
| 区分 | 固定資産税 | 都市計画税 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 小規模住宅用地(住戸1戸あたり200㎡以下の部分) | 価格 × 1/6 | 価格 × 1/3 | 地方税法349条の3の2第2項/702条の3第2項 |
| 一般住宅用地(200㎡超の部分) | 価格 × 1/3 | 価格 × 2/3 | 地方税法349条の3の2第1項/702条の3第1項 |
| 非住宅用地(店舗・工場の敷地や空地) | 価格がそのまま本則課税標準額 | 同左 | ― |
つまり「6倍」というのは、200㎡以下の小規模住宅用地について、課税標準が1/6から1/1に戻ることを指しています。ここで重要なのは、これが「土地の課税標準額」だけの話だという点です。実際に支払う税額全体が6倍になるわけではありません。
なお住宅用地として認められる面積には上限があり、家屋の床面積の10倍までとされています。税率は固定資産税が標準税率1.4%(地方税法第350条第1項)、都市計画税が制限税率0.3%(同第702条の4)で、横浜市・横須賀市などはいずれもこの税率で運用しています。
倍率について具体的に踏み込んで説明している自治体は多くありませんが、神戸市が公式サイトで「一般的には3.5倍程度になります」と明記し、計算例まで公開しています。
特例が解除されたら土地の固定資産税は、一般的には3.5倍程度になります。特例が解除された場合の税額は、課税標準額の上限を評価額の70%とするなどの負担調整措置などに基づき決定されることとなります。
神戸市「空き家等に対する固定資産税の住宅用地特例の解除について」
神戸市が公開している計算例(市街化区域・敷地100㎡・評価額1,500万円のケース)は次のとおりです。
| 区分 | 特例が適用されている場合 | 特例が解除された場合 |
|---|---|---|
| 固定資産税の課税標準 | 1,500万円 × 1/6 = 250万円 | 1,500万円 × 70% = 1,050万円 |
| 固定資産税額 | 250万円 × 1.4% = 35,000円 | 1,050万円 × 1.4% = 147,000円 |
| 都市計画税の課税標準 | 1,500万円 × 1/3 = 500万円 | 1,050万円 |
| 都市計画税額 | 500万円 × 0.3% = 15,000円 | 1,050万円 × 0.3% = 31,500円 |
| 合計 | 50,000円 | 178,500円 |
| 倍率 | 約3.57倍 | |
上記は神戸市の公表例であり、神奈川県内の自治体(横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市など)が公式に示した倍率ではありません。県内の自治体の公表資料では「特例が受けられなくなり税額が高くなる」という記述にとどまり、具体的な倍率までは示されていないことを確認しています。神奈川県内の物件について正確な試算をしたい場合は、お住まいの市の資産税課にご相談ください。
横浜市も、税額が上がった理由についてFAQで次のように説明しています。「昨年に比べて固定資産税が高くなったのは、住宅を取り壊したことによる税額の減よりも、あなたの土地が住宅用地の特例を受けられなくなったことによる税額の増の方が、大きかったことによるものと思われます」。つまり土地の増加分と建物の減少分の差し引きで決まるということです。
なお、負担調整措置は「令和6年度から令和8年度までの各年度分」を対象とする3年ごとの時限措置です。制度の枠組み自体は継続していますが、年度によって細部が変わる可能性がある点にご留意ください。
固定資産税の賦課期日はその年の1月1日と定められています(地方税法第359条、都市計画税は第702条の6)。この日を基準に、その年度の課税内容が決まります。
| 自治体 | 公式見解の要点 |
|---|---|
| 横須賀市 | 「年の途中で取り壊した家屋も1月1日には存在していたので、当該年度の固定資産税の課税対象となります」 |
| 横浜市 | 「家屋の取り壊しをされた方は、その翌年度から固定資産税・都市計画税が変わります」 |
| 川崎市 | 特例の対象は1月1日現在で住宅の敷地として利用されている土地に限られる。ただし既存の住宅に代えて新たに住宅が建設中で一定の要件を満たす土地は、所有者の申請により住宅用地として取り扱う |



実務でよくご相談いただくのが「年末に解体すると損ですか」という質問です。仕組みとしては、1月1日時点で建物が残っていればその年度は住宅用地特例が続き、更地になっていれば翌年度から特例が外れることになります。ただし解体を遅らせれば管理コストや倒壊リスクも続きますし、川崎市のように建替え中の土地への特例措置を用意している市もあります。税額だけで判断せず、お住まいの市の窓口に確認したうえで決めるのが確実です。
相続した空き家を売却する場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」(国税庁タックスアンサー No.3306/根拠法令:所法33、措法35、措令20の3・23、措規18の2)です。
この特例は平成28年4月1日から令和9年(2027年)12月31日までに売却したものが対象です。令和5年度税制改正で4年間延長され、現在の期限となっています。加えて「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」という個別の期限もあり、この2つの両方を満たす必要があります。
まず建物自体が「被相続人居住用家屋」に該当する必要があります。相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で、次のすべてに当てはまるものが対象です(主として被相続人の居住の用に供されていた一の建築物に限られます)。
| 要件 | 内容 | 実務上のポイント |
|---|---|---|
| 建築時期 | 昭和56年5月31日以前に建築されたこと | いわゆる旧耐震基準の建物。登記事項証明書で確認できる |
| 建物の種類 | 区分所有建物登記がされている建物でないこと | 分譲マンションは対象外。一戸建が中心 |
| 居住状況 | 相続開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと | 同居家族がいた場合は対象外 |
被相続人が老人ホーム等に入所していた場合にも、一定の条件下で適用できます(国税庁 No.3307)。要介護認定・要支援認定等を受けていた被相続人が老人ホーム等に入所し、①入所後も物品の保管等に供されていた、②事業・貸付け・被相続人以外の居住の用に供されたことがない、③主たる居住が老人ホーム等であった、という条件を満たす場合、入所直前まで居住していた家屋(従前居住用家屋)が対象になります。
死因贈与を含む相続または遺贈により取得した相続人(包括受遺者を含む)が対象です。
後述の「イ・ロ・ハ」の3パターンのいずれかに該当する必要があります。いずれも相続時から譲渡時まで事業・貸付け・居住の用に供されたことがないことが前提です。
正確には「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」です。加えて制度自体の期限である令和9年12月31日も満たす必要があります。
分割売却した場合や他の相続人が売却した分も、一定期間内のものは合算して判定されます。後から合計1億円を超えた場合は、その売却の日から4か月以内に修正申告と納税が必要です。
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(相続税の取得費加算)や、収用等の特別控除などの適用を受けていないことが条件です。
同一の被相続人から取得した家屋・敷地について、すでにこの特例の適用を受けていないことが必要です。
親子・夫婦など「特別の関係がある人」に対する売却は対象外です。
令和6年1月1日以後の譲渡について、適用パターンに「ハ」が追加されました。これが実務上最も大きな変更点です。
| パターン | 内容 | 適用時期 |
|---|---|---|
| イ | 家屋(または家屋+敷地)を売る。譲渡の時において一定の耐震基準を満たすこと | 従来から |
| ロ | 家屋の全部の取壊し等をした後に敷地を売る。取壊し時から譲渡時まで建物・構築物の敷地に供されていないこと | 従来から |
| ハ | 譲渡の時からその譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に、一定の耐震基準を満たすこととなった、または家屋の全部の取壊し等が行われたこと | 令和6年1月1日以後の譲渡に限る |
国土交通省は「これまでは、譲渡の時までに家屋を耐震改修…又は除却を行った場合のみが対象とされていましたが、令和6年1月1日以降の譲渡については、譲渡の時から譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに家屋の耐震改修又は除却工事を行った場合も対象となりました」と説明しています。
この改正について「買主が引き渡し後に解体しても控除が使える」と説明している記事を見かけますが、国税庁・国土交通省の本文には「買主が」という主体の明示はありません。条文上は「譲渡の時から翌年2月15日までの間に耐震基準適合または全部の取壊し等が行われたこと」という結果要件です。国土交通省の図では譲渡後の工事として図示されており、実務上は買主が行う想定と考えられますが、契約でどちらが工事を担うかは個別に取り決める事項です。売主が解体費を負担せずに売却できるケースが増えたのは事実ですが、「買主が必ず解体する」と決まっているわけではないため、売買契約時に取扱いを明確にしておきましょう。
ここまでの統計・法制度・税制を踏まえて、実際にどの選択肢を取るべきかを整理します。正解は物件の状態と立地によって変わるため、それぞれが向いているケースを比較してください。
| 選択肢 | 向いているケース | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 解体して更地で売る | 建物に価値がなく、土地の需要が高いエリア。県央・横浜・川崎など | 買主が付きやすい。土地として評価される | 解体費用が先出しになる。更地にすると翌年度から住宅用地特例が外れる |
| 現状のまま買取・売却 | 解体費用をかけずに早く現金化したい。相続人が複数で話がまとまらない | 費用負担なし。手続きが早い。2024年改正で買主側の解体でも控除が使える可能性 | 更地より価格が下がることが多い |
| リフォームして活用・賃貸 | 立地が良く建物の傷みが軽い。湘南・鎌倉など需要のあるエリア | 資産を保有したまま収益化できる | 改修費用と空室リスク。3,000万円控除は使えなくなる |
相続空き家の3,000万円特別控除は、相続時から譲渡時まで事業・貸付け・居住の用に供されたことがないことが要件です。つまり「とりあえず数年賃貸に出して、その後売却しよう」と考えると、売却時にこの控除が使えなくなります。賃貸収入と控除額を比較したうえで、最初の段階で方針を決めることが重要です。
解体を選ぶ場合の費用感です。神奈川県の構造別の実勢坪単価は次のとおりです(解体無料見積ガイド調べ・実工事データにもとづく)。
| 構造 | 神奈川県平均の坪単価 | 30坪の本体工事費目安 |
|---|---|---|
| 木造 | 36,722円/坪 | 約110万円 |
| 鉄骨造 | 44,322円/坪 | 約133万円 |
| RC造(鉄筋コンクリート) | 79,292円/坪 | 約238万円 |
これは本体工事費のみで、実際には残置物の処分・外構撤去・庭木伐採・整地などの付帯工事費が加わります。木造30坪であれば付帯工事込みで総額150万円前後が一つの目安ですが、狭あい道路で重機が入らない現場では手作業解体となり1.5〜2倍程度、斜面地では2〜4割程度高くなる傾向があります。市ごとの実勢単価は神奈川県の解体費用相場ガイドで詳しく解説しています。
神奈川県は市町村が行う耐震化・空き家対策を財政的に支援する立場で、県民に直接交付する解体・除却補助は確認できませんでした。実際に使える補助金は各市が個別に用意しているため、お住まいの市の制度を確認する必要があります。
| 市 | 解体単体 | 制度名・上限額 |
|---|---|---|
| 横浜市 | ◯ | 住宅除却補助制度|旧耐震 上限50万円/新耐震 20〜40万円 |
| 川崎市 | △ | 住宅等不燃化推進事業|上限100万円(川崎区小田・幸区幸町周辺の重点地区限定) |
| 相模原市 | ◯ | 危険な老朽空き家等除却費補助金|上限50万円(非課税世帯80万円) |
| 横須賀市 | ◯ | 空き家解体費用助成 上限35万円/旧耐震空き家解体助成 上限15万円(併用不可) |
| 平塚市 | △ | 建替え除却工事の補助金|上限36万円(非課税50万円)※建替え前提 |
| 藤沢市 | × | 解体費補助の制度自体が確認できず |
| 茅ヶ崎市 | ◯ | 木造住宅除却事業補助金|上限36万円(沿道45万円) |
| 鎌倉市 | × | ブロック塀補助のみ確認 |
| 逗子市 | △ | 空き家流通促進補助|上限70万円枠内(アドバイザー利用が前提) |
| 三浦市 | × | 耐震改修補助のみ確認 |
| 小田原市 | ◯ | 木造住宅除却工事補助金|上限45万円(旧耐震・診断1.0未満・沿道等の条件) |
| 秦野市 | × | 解体単体の補助は確認できず |
| 厚木市 | ◯ | 老朽空き家解体補助金/木造住宅除却工事補助|上限50万円(併用不可) |
| 大和市 | × | ブロック塀撤去補助のみ |
| 海老名市 | ◯ | 上限50万円|旧耐震木造・非課税/空き家加算あり |
| 座間市 | × | ブロック塀・耐震改修補助のみ確認 |
| 綾瀬市 | △ | 上限30万円|旧耐震木造・耐震診断1.0未満限定 |
| 伊勢原市 | ◯ | 除却工事費補助|上限25万円(沿道50万円) |
| 南足柄市 | △ | 上限20万円|建替え目的の除却工事に限定 |
解体の補助金は年度予算制で、着工前の交付決定が絶対条件です。契約・着工してから申請しても対象外になります。また予算枠に達すると年度途中で受付が終了することもあります。解体を検討し始めた段階で、まず市の窓口に相談してください。各市の詳細は神奈川県の解体補助金ガイドで解説しています。
表中の「×」は2026年7月時点の調査で解体費単体への補助が確認できなかったという意味であり、制度が存在しないことを断定するものではありません。補助制度は年度ごとに新設・変更されるため、必ず最新情報をご確認ください。
必ずしもそうとは限りません。空き家率9.8%は県全体の平均であり、市町村ごとに大きな差があります。「その他の空き家」の率で見ると、海老名市1.7%に対し湯河原町は10.4%と6倍以上の開きがあります。またご自身の物件が接道条件の悪い立地にあれば、エリアの平均値にかかわらず流通しにくくなります。まずは市町村別のデータでお住まいの市の位置づけを確認してください。
「6倍」は土地の課税標準が1/6から1/1に戻るという理論値です。実際には①課税標準額に評価額の70%という上限がある、②解体により家屋分の固定資産税が消滅する、③用途変更宅地等の読み替えがある、という3つの要因により、そのままの倍率にはなりません。神戸市は公式サイトで「一般的には3.5倍程度」と説明しています。ただしこれは神戸市の例であり、神奈川県内の自治体が公表した数値ではないため、正確な試算はお住まいの市の資産税課にご確認ください。
認定された時点ではなく、勧告を受けた場合に住宅用地特例が解除されます。手順としては、まず市町村長から指導(第13条第1項)があり、それでも改善されない場合に勧告(同第2項)へ進みます。全国の実績では令和6年度の管理不全空家等への指導2,545件に対し勧告は378件で、指導の段階で改善されるケースが多いことが分かります。指導を受けた時点で対応すれば、税負担の増加は避けられる可能性があります。
固定資産税の賦課期日は1月1日です(地方税法第359条)。1月1日時点で建物が残っていればその年度は住宅用地特例が継続し、更地になっていればその年度から特例が外れます。横須賀市は「年の途中で取り壊した家屋も1月1日には存在していたので、当該年度の固定資産税の課税対象となります」と説明しています。ただし解体を遅らせれば管理コストや倒壊リスクも続くため、税額だけで判断するのは避けたほうがよいでしょう。
使えません。この特例は「相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと」が要件です。一度でも賃貸に出すと適用対象外になります。賃貸収入と控除額(最高3,000万円)を比較したうえで、相続後の早い段階で方針を決めることをおすすめします。
いいえ。控除額が2,000万円に減額されるのは「家屋および敷地を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上」の場合です。法定相続人の数ではありません。法定相続人が4人でも、実際にその家屋・敷地を取得したのが2人であれば控除額は3,000万円のままです。遺産分割の内容によって結論が変わるため、分割協議の段階で税理士に確認しておくとよいでしょう。
使えません。対象となる家屋の要件に「区分所有建物登記がされている建物でないこと」があるため、分譲マンションは対象外です。この特例は昭和56年5月31日以前に建築された一戸建を主な対象としています。
一定の条件を満たせば適用できます。要介護認定・要支援認定等を受けていた被相続人が老人ホーム等に入所していた場合、①入所後も物品の保管等に供されていた、②事業・貸付け・被相続人以外の居住の用に供されたことがない、③主たる居住が老人ホーム等であった、という条件を満たすとき、入所直前まで居住していた家屋が対象になります(国税庁 No.3307)。
中井町・松田町・山北町・箱根町・真鶴町・清川村の6町村については、神奈川県の資料に「個別データがないため県合計からの差し引きにより求めています」と注記されており、個別の空き家率が公表されていません。住宅・土地統計調査は標本調査のため、人口規模の小さい自治体では統計的に信頼できる数値が得られないことが理由と考えられます。これらの町村の状況は各役場に直接お問い合わせください。
制度上、市町村の解体補助金と国税の3,000万円特別控除は別の制度であり、それぞれの要件を満たせば併用できると考えられます。ただし補助金は着工前の交付決定が必須、控除は売却時期に制限があるなど、それぞれにスケジュール上の制約があります。両方を活用したい場合は、解体・売却の順序と時期を事前に整理しておく必要があります。具体的な適用可否は市の窓口と税理士にご確認ください。
神奈川県の空き家について、統計・法制度・税制・費用の4つの側面から解説してきました。最後に判断の軸を整理します。



空き家の判断で一番もったいないのは、「そのうち決めよう」と先送りしているうちに3,000万円控除の期限を過ぎてしまうケースです。解体するにしても売却するにしても、まずご自身の物件が旧耐震かどうか、相続開始からどれくらい経っているかを確認してみてください。そのうえで、解体費用の概算と補助金の可否を並べれば、判断材料は揃います。当社では解体・買取・活用のどれが向いているかの相談も無料で承っています。
| 内容 | 出典 |
|---|---|
| 空き家数・空き家率(全国・都道府県) | 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」 |
| 神奈川県の空き家の内訳・全国3位 | 神奈川県「神奈川県内の空き家の現状」 |
| 市町村別のその他の空き家数・率 | 神奈川県「神奈川県の市町村別その他の空き家数とその他の空き家率」 |
| 空家等対策特別措置法の条文 | e-Gov法令検索「空家等対策の推進に関する特別措置法」(平成26年法律第127号) |
| 2023年改正の概要・措置の実施状況 | 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律の概要」/「空家法の施行状況」 |
| 住宅用地特例・負担調整措置 | e-Gov法令検索「地方税法」(第349条の3の2、第350条、第359条、第702条の3、第702条の4、附則第17条・第18条・第18条の3) |
| 特例解除後の税額の目安 | 神戸市「空き家等に対する固定資産税の住宅用地特例の解除について」 |
| 解体と賦課期日の関係 | 横浜市・川崎市・横須賀市の各公式サイト |
| 相続空き家3,000万円特別控除 | 国税庁 タックスアンサー No.3306/No.3307/措置法通達35条関係 |
| 被相続人居住用家屋等確認書 | 国土交通省「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例について」 |
制度・統計はいずれも改正・更新される可能性があります。実際の手続きに際しては、必ず各機関の最新の公表内容と、税理士・司法書士など専門家の助言をご確認ください。当社は解体工事の専門業者であり、税務・法律の個別具体的な判断についてはお答えできない場合があります。















