神奈川県の解体業者の選び方|登録1,730者を名簿で照合する方法と「許可あり」の落とし穴【2026年】

監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基

株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。

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神奈川県知事許可(登-3)第2636号|解体実績1,000件超の現役解体業者が解説
神奈川県の解体業者の選び方・株式会社インシュアラのスタッフ|神奈川県知事許可(登-3)第2636号

この記事は神奈川県知事許可(登-3)第2636号を持つ解体業者・株式会社インシュアラ(代表 金松裕基・解体実績1,000件超)が監修しています。解体業者選びの解説記事はネット上に多数ありますが、法令の条文にあたると事実と異なる記述が非常に多い分野です。この記事ではe-Gov法令検索の条文原文、厚生労働省・環境省・国土交通省の公表資料のみを根拠に、2026年7月時点の正確な情報を整理しました。

㈱インシュアラ代表取締役社長 金松裕基

こんにちは、株式会社インシュアラ代表の金松です。解体業者を選ぶとき、多くの方が「安いところ」で決めてしまいます。ただ実際にトラブルになるのは、金額よりも「許可の有無」「アスベストの扱い」「廃棄物の処理」の3点です。この記事では、業者に何を聞けばいいのかを、根拠となる条文とセットで解説します。専門用語も出てきますが、契約前に確認すべきことは意外とシンプルです。

先に結論|解体業者選びで押さえるべき5つの要点
  • 解体工事には「解体工事業登録」か「建設業許可」のどちらかが必ず必要。神奈川県が名簿を公開しているので、契約前に番号を照合できる
  • 2023年10月から、アスベスト事前調査は有資格者しか実施できない。資格者の氏名を確認できるかが業者の質を測る指標になる
  • 建設リサイクル法の届出義務者は「発注者(施主)」。元請業者ではない。業者に代行してもらう場合も、法律上の責任は施主にある
  • マニフェストの写しを施主に渡す法的義務は存在しない。渡してもらいたいなら契約書に明記する必要がある
  • 見積書は「一式」ではなく項目別で受け取る。追加費用が発生する条件が書面にあるかどうかが最大の分かれ目

解体工事は建て替えや相続で一生に一度あるかどうかの工事です。比較の判断材料を持たないまま複数社の見積もりを見ても、金額の差が何によるものか分かりません。この記事を読めば、「この業者は信頼できるか」を制度面から判断できる状態になります。費用の相場は神奈川県の解体費用相場ガイド、補助金は神奈川県の解体補助金ガイドもあわせてご覧ください。

目次

解体工事に必要な2つの制度|登録と許可の違い

解体工事を業として行うには、「解体工事業登録」または「建設業許可(解体工事業)」のいずれかが必要です。この2つは根拠となる法律がまったく異なります。

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項目解体工事業登録建設業許可(解体工事業)
根拠法建設リサイクル法 第21条第1項建設業法 第3条第1項
窓口都道府県知事都道府県知事または国土交通大臣
請け負える金額登録制度自体に金額の定めはない。ただし建設業許可がなければ1件500万円未満(税込)の工事に限られる金額の制限なし
有効期間5年(第21条第2項)5年(建設業法第3条第3項)
必要な技術者技術管理者(第31条)営業所技術者・特定営業所技術者
登録・許可の単位工事を行う都道府県ごとに必要営業所の所在地を基準に取得
解体工事業登録と建設業許可の比較(建設リサイクル法・建設業法の条文にもとづく)

よくある誤解①「500万円未満なら登録だけでいい」は不正確

「解体工事業登録は500万円未満の工事のための制度」という説明をよく見かけますが、これは2つの制度を混同した不正確な理解です。建設リサイクル法第21条の条文を見ると、金額に関する定めは一切ありません。

解体工事業を営もうとする者(建設業法別表第一の下欄に掲げる土木工事業、建築工事業又は解体工事業に係る同法第三条第一項の許可を受けた者を除く。)は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)第21条第1項

正しくは次の2階建ての構造です。

  • 建設リサイクル法|土木・建築・解体のいずれかの建設業許可を持たない業者は、金額の大小にかかわらず解体工事業登録が必要
  • 建設業法|1件の請負代金が500万円以上(税込)の工事を請け負うには建設業許可が必要(建設業法第3条第1項ただし書、施行令第1条の2第1項)

結果として「登録のみの業者は事実上500万円未満の工事しかできない」という状態になるため、説明として大きく外れているわけではありません。ただし「登録は500万円未満のための制度」ではなく「許可がないから500万円未満に限られる」というのが正確な理解です。

500万円の判定は「税込」です

国土交通省九州地方整備局の建設業許可Q&Aでは、軽微な建設工事の金額判定について「消費税及び地方消費税を含む額」と明記されています。また建設業法施行令第1条の2第2項により正当な理由なく2以上の契約に分割した場合は合計額で判定され、同第3項により注文者が材料を提供する場合はその市場価格と運送賃も加算されます。「税抜499万円だから許可は不要」という説明は誤りです。

よくある誤解②「建設業許可があれば登録は不要」も不正確

登録が免除されるのは、上の条文にあるとおり土木工事業・建築工事業・解体工事業の3業種の許可保有者に限られます。たとえば「とび・土工工事業」の建設業許可を持っていても、解体工事業登録は免除されません

これは歴史的な経緯に関係します。かつて工作物の解体は「とび・土工工事業」に含まれていましたが、平成26年法律第55号により2016年(平成28年)6月1日に「解体工事業」が独立した許可業種として新設されました。施行時にとび・土工工事業の許可で解体を営んでいた業者には経過措置が設けられましたが、2019年(平成31年)5月31日で終了しています。技術者に関する経過措置も2021年(令和3年)3月31日で終了しました。

つまり現在は、とび・土工工事業の許可だけで500万円以上の解体工事を請け負うことはできません。業者の公式サイトに「とび・土工工事業」の許可番号だけが載っている場合は、解体工事業の許可か登録が別にあるかを確認する必要があります。

よくある誤解③「特定建設業は下請4,500万円から」は古い情報

建設業許可には「一般」と「特定」があります。特定建設業許可が必要になるのは、発注者から直接請け負った1件の工事について、下請契約の請負代金の総額が政令で定める金額以上となる下請契約を締結する場合です。

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時期解体工事等(建築一式以外)建築一式工事
〜2022年12月31日4,000万円6,000万円
2023年1月1日〜2025年1月31日4,500万円7,000万円
2025年2月1日〜現在5,000万円8,000万円
特定建設業許可が必要になる下請発注金額の推移(建設業法施行令第2条)

ネット上には「4,000万円」「4,500万円」と書かれた記事が多数残っていますが、2025年2月1日以降の現行額は5,000万円(建築一式は8,000万円)です。施主の立場では直接影響しない数字ですが、業者が「特定建設業許可を持っている」という場合、それだけの規模の元請工事を扱える体制があることを意味します。

技術者の名称が2024年12月に変わりました

建設業許可を受けるには、営業所ごとに技術者を専任で配置する必要があります。この技術者は長らく「専任技術者」と呼ばれてきましたが、令和6年改正建設業法(令和6年法律第49号)により2024年12月13日から法律上の名称が「営業所技術者」「特定営業所技術者」に改められました。業者のサイトや書類で古い名称が使われていても違法ではありませんが、制度に詳しい業者かどうかの一つの目安にはなります。

一方、解体工事業登録の側では「技術管理者」の選任が義務づけられています(建設リサイクル法第31条)。実務経験8年以上、または1級・2級土木施工管理技士、1級・2級建築施工管理技士、建築士、技術士(建設部門)、とび技能士1級、解体工事施工技士などの資格保有者が該当します。技術管理者を選任しなかった場合は20万円以下の罰金(同法第51条第3号)という罰則もあります。

神奈川県の名簿で許可番号を照合する方法

神奈川県は解体工事業登録業者と建設業許可業者の名簿を公開しており、誰でも無料で番号を照合できます

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確認したいもの参照先
解体工事業登録神奈川県「解体工事業者登録簿の閲覧」ページで公開されている登録業者名簿(五十音順・登録番号順のPDF)
建設業許可(神奈川県知事許可)神奈川県「建設業許可業者名簿」ページで公開されている名簿(五十音順・許可番号順のPDF)
建設業許可(国土交通大臣許可)県の名簿には掲載されません。国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムで確認
許可・登録番号の確認先(神奈川県・国土交通省)
㈱インシュアラ代表取締役社長 金松裕基

実際に当社で神奈川県内19市の業者を調査したところ、公式サイトに解体工事の許可番号を記載していない業者が想像以上に多いことが分かりました。ただしこれは「無登録=違法」を意味しません。名簿には載っているのに、サイトでは土木や新築を前面に出しているというケースが多いのです。サイトに書いていないからと敬遠せず、電話で「解体工事の登録番号か許可番号を教えてください」と聞いてみるのが確実です。答えられない業者であれば、その時点で候補から外せば済みます。

アスベスト事前調査|2023年10月から有資格者でないと違法

解体工事におけるアスベスト(石綿)規制は、2021年から2026年にかけて段階的に強化されてきました。業者選びで最も差が出るのがこの分野です。順を追って整理します。

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時期義務化された内容
2021年4月1日事前調査の方法が法定化(設計図書等の文書確認+目視の両方を全材料について実施)。大気汚染防止法の規制対象がレベル3建材まで拡大
2022年4月1日事前調査結果の報告が義務化(一定規模以上の工事)
2023年10月1日建築物・鋼製船舶について、有資格者による事前調査が義務化
2026年1月1日工作物について、有資格者による事前調査が義務化(現在は施行済み)
アスベスト規制強化の経緯(厚生労働省・環境省の公表資料にもとづく)

事前調査そのものは「規模を問わず全工事」が対象

まず押さえておきたいのが、事前調査の義務に規模の下限はないという点です。石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)第3条第1項は次のように定めています。

事業者は、建築物、工作物又は船舶…の解体又は改修…の作業を行うときは、石綿による労働者の健康障害を防止するため、あらかじめ、当該建築物、工作物又は船舶…について、石綿等の使用の有無を調査しなければならない。

石綿障害予防規則 第3条第1項

小さな物置の解体でも、条文上は事前調査が必要です。次に説明する「報告」の義務にだけ規模要件がある、という構造になっています。

報告義務が生じる工事の規模

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工事の種類報告が必要になる規模
建築物の解体工事当該工事に係る部分の床面積の合計が80㎡以上
建築物の改修工事請負代金の額が100万円以上
特定工作物の解体・改修工事請負代金の額が100万円以上
船舶(鋼製)の解体・改修工事総トン数20トン以上
事前調査結果の報告義務の規模要件(石綿障害予防規則 第4条の2第1項)

建設リサイクル法の届出|義務者は「施主」です

一定規模以上の解体工事では、建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)にもとづく届出が必要です。この届出の義務者が誰なのかは、業者ブログでも頻繁に間違われている論点です。

対象となる工事の規模

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工事の種類対象となる規模
建築物の解体工事床面積の合計が80㎡以上
建築物の新築・増築工事床面積の合計が500㎡以上
建築物の修繕・模様替(リフォーム等)請負代金の額が1億円以上
建築物以外(工作物)の解体・新築工事等請負代金の額が500万円以上
建設リサイクル法の対象建設工事の規模基準(同法施行令 第2条第1項)

請負代金の額は税込で判定します(国土交通省建設業課「建設リサイクル法 質疑応答集」Q42)。また分割契約は正当な理由がある場合を除き一の契約とみなされます(施行令第2条第2項)。一般的な木造住宅であれば延床24坪(約80㎡)を超えると対象になるため、ほとんどの戸建て解体が該当すると考えてよいでしょう。

届出義務者は「発注者」|元請業者ではありません

(対象建設工事の届出等)第十条 対象建設工事の発注者又は自主施工者は、工事に着手する日の七日前までに、主務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。

建設リサイクル法 第10条第1項

条文が明示しているとおり、届出の義務者は発注者(施主)であり、元請業者ではありません。届出先は都道府県知事、期限は工事に着手する日の7日前までです。

では元請業者の義務は何かというと、第12条第1項の「書面を交付して説明する義務」です。

対象建設工事…を発注しようとする者から直接当該工事を請け負おうとする建設業を営む者は、当該発注しようとする者に対し、少なくとも第十条第一項第一号から第五号までに掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。

建設リサイクル法 第12条第1項
実務上は業者が代行しますが、責任は施主にあります

実務では、施主が委任状を出して解体業者が届出を代行するのが一般的です。ただし法律上の届出義務者はあくまで発注者である施主であり、罰則も届出義務者に及びます。届出をせず、または虚偽の届出をした場合は20万円以下の罰金(第51条第1号)、変更命令に違反した場合は30万円以下の罰金(第50条第1号)が定められています。
見積もり時に「建設リサイクル法の届出は代行してもらえますか」「費用に含まれていますか」を必ず確認してください。「施主側でやってください」と言われた場合、自分で手続きする必要があります。

なお分別解体等を実施する義務は、届出とは別に受注者(下請負人を含む)または自主施工者に課されています(第9条第1項)。また第13条により、請負契約書には分別解体等の方法や解体工事に要する費用を記載する義務があります。契約書にこれらの記載がない場合は、法令上必要な事項が抜けていることになります。

産業廃棄物マニフェスト|施主への交付義務はありません

解体工事で出た廃材が適正に処理されたかを追跡する仕組みがマニフェスト(産業廃棄物管理票)です。ここにも大きな誤解が広まっています。

解体工事の「排出事業者」は元請業者

土木建築に関する工事(建築物その他の工作物の全部又は一部を解体する工事を含む。…)が数次の請負によつて行われる場合にあつては、当該建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理についてのこの法律…の規定の適用については、当該建設工事…の注文者から直接建設工事を請け負つた建設業…を営む者(以下「元請業者」という。)を事業者とする。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第21条の3第1項

つまり解体工事の廃棄物について法律上の責任を負う「排出事業者」は元請業者であり、施主ではありません。マニフェストは元請業者・収集運搬業者・処分業者の三者間でやり取りされます。

【重要】マニフェストの写しを施主に渡す法的義務は存在しない

「マニフェストの写しをもらうのは施主の権利」「渡さない業者は違法」といった説明を見かけますが、廃棄物処理法上、マニフェストの写しを施主・発注者に交付する義務規定は存在しません。マニフェストを定めた第12条の3の全11項を通読しても、交付・送付・保存の相手方として登場するのは「管理票交付者(=元請業者)」「運搬受託者」「処分受託者」「都道府県知事」のみで、発注者・注文者・施主への交付規定は一切ありません

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項目法令上の扱い
マニフェストの交付義務あり(元請業者→運搬受託者。廃掃法第12条の3第1項)
写しの保存義務あり。各主体とも5年(施行規則第8条の21の2ほか)
交付等状況報告書の提出あり(元請業者→都道府県知事。毎年6月30日まで。第12条の3第7項)
施主への写し交付法令上の義務なし
マニフェスト制度における義務の整理(廃棄物処理法・同施行規則)
㈱インシュアラ代表取締役社長 金松裕基

ここは誤解が多いので正直にお伝えします。マニフェストの写しを施主にお渡しするのは法的義務ではなく、業者側の任意のサービスです。ただし当社では必ずお渡ししています。理由は単純で、適正に処理したことを示す最も分かりやすい証拠だからです。もし確実に受け取りたい場合は、請負契約書に「工事完了後、産業廃棄物管理票の写しを発注者に提出する」と明記してもらうのが唯一確実な方法です。契約に書けば契約上の義務になります。

逆に言えば、頼んでもいないのにマニフェストの写しを渡すことを最初から約束してくれる業者は、それだけ処理の透明性に自信があるとも読めます。法的義務がないからこそ、業者の姿勢が表れる部分です。

神奈川県で失敗しない解体業者選び|10のチェックポイント

ここまでの制度を踏まえて、実際に業者を選ぶ際の確認事項を優先度順にまとめます。すべてを完璧に満たす必要はありませんが、①〜③は契約前に必ず確認してください

STEP
解体工事の許可・登録番号を県の名簿で照合できるか

公式サイトや名刺に記載された番号を、神奈川県が公開する解体工事業登録業者名簿・建設業許可業者名簿と突き合わせます。「とび・土工工事業」の許可だけでは解体工事業登録の免除にならない点に注意してください。国土交通大臣許可の業者は県の名簿に載らないため、国土交通省の検索システムで確認します。

STEP
アスベスト事前調査を有資格者が行うか、氏名を確認できるか

2023年10月以降に着工する建築物の解体では、有資格者による調査が法律上の義務です。「一般建築物石綿含有建材調査者」「特定建築物石綿含有建材調査者」「一戸建て等石綿含有建材調査者」のいずれかの資格者が必要です。資格者の氏名を即答できるかどうかが、法令対応の実力を測る最も確実な質問です。

STEP
現地調査をしてから見積もりを出すか

電話や写真だけで金額を即答する業者は避けてください。解体費用を左右するのは、建物そのものより「前面道路の幅」「重機が入るか」「高低差」「隣家との距離」といった現場条件です。これらは現地を見なければ判断できません。現地調査を渋る業者は、後から追加費用を請求してくる可能性があります。

STEP
見積書が項目別に分かれ、追加費用の条件が書面にあるか

「解体工事一式◯◯万円」という見積書は要注意です。本体工事費・仮設養生費・付帯工事費・基礎撤去費・廃棄物処分費・諸経費が個別に記載され、どういう場合に追加費用が発生するのかが書面で示されているかを確認してください。特に地中障害物が出た場合の扱いは事前に取り決めておくべきです。

STEP
建設リサイクル法の届出を代行してくれるか、費用は込みか

床面積80㎡以上の解体では届出が必要で、法律上の義務者は施主です。実務では業者が代行しますが、代行してもらえるのか、費用は見積もりに含まれているのかを確認してください。「施主側でお願いします」と言われた場合、着工7日前までに自分で都道府県知事へ届け出る必要があります。

STEP
マニフェストの写しを契約書で約束してもらえるか

前述のとおり施主への交付は法的義務ではありません。だからこそ請負契約書に「工事完了後、産業廃棄物管理票の写しを発注者に提出する」と明記してもらうことが重要です。口約束ではなく書面に残せば契約上の義務になります。これを嫌がる業者は避けたほうが無難です。

STEP
自社施工か、下請けへの丸投げか

下請けへの丸投げは中間マージンが乗るため割高になりやすく、責任の所在も曖昧になります。「どこまでを自社の職人が施工しますか」と具体的に聞いてください。すべてを自社で行う必要はありませんが、範囲を明確に説明できるかどうかが判断材料になります。

STEP
損害賠償保険(工事保険)に加入しているか

解体工事では隣家の外壁を傷つける、飛散物で車を傷つけるといった事故が起こり得ます。請負業者賠償責任保険などに加入しているか、保険証券を見せてもらえるかを確認してください。加入は法的義務ではありませんが、万一の際の備えとして重要です。

STEP
近隣への挨拶・養生の方法を説明できるか

解体工事は騒音・振動・粉じんが必ず発生します。着工前に近隣へどう挨拶するか、防音シートや散水でどう対策するかを具体的に説明できる業者を選んでください。特に横浜市・川崎市・大和市のような住宅密集地では、この対応が工事の円滑さを大きく左右します。

STEP
2〜3社で相見積もりを取り、金額差の理由を説明させたか

相見積もりの目的は最安値を探すことではなく、金額差が何によって生じているのかを理解することです。「なぜ他社より高い(安い)のか」を聞いたときに、現場条件や工法の違いで筋道立てて説明できる業者が信頼できます。単に「値引きします」と返す業者は、当初の見積もりに根拠がなかったことになります。

見積書の読み方|6つの費用項目を理解する

複数社の見積もりを比較するには、費用の内訳を理解しておく必要があります。同じ「30坪の木造住宅の解体」でも、どこまでを含むかで金額は大きく変わります。

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項目内容確認すべきポイント
本体工事費建物本体を解体する費用。坪単価×延床面積で算出されることが多い手作業と重機作業の比率。狭い現場では手壊しの割合が上がる
仮設・養生費足場の設置、防音シート・防塵シートの設置住宅密集地では養生のグレードが金額に反映される
付帯工事費ブロック塀・カーポート・物置・庭木・土間コンクリート等の撤去何を撤去して何を残すのかが明記されているか
基礎撤去・整地費建物の基礎を撤去し、土地を平らにならす費用整地のレベル(粗整地か、砕石敷きか)
廃棄物処分費解体で出た産業廃棄物の運搬・処分費用残置物(家財)がある場合は別途高額になりやすい
諸経費各種届出、現場管理費、保険料等建設リサイクル法の届出代行、アスベスト事前調査費が含まれるか
解体工事の見積書の主な項目(当社の実務にもとづく整理)
見積書で最も揉めやすい2つのポイント
  • 残置物(家財道具)の扱い|「残置物なし」の前提で見積もられていると、実際に家具や家電が残っていた場合に追加請求されます。相続した空き家では特に注意が必要です。事前に「残置物はどこまで処分費に含まれますか」と確認してください
  • 地中障害物|古い基礎、浄化槽、井戸、以前の建物のガラなどは、解体して初めて判明します。当初見積もりに含まれないのが通常なので、「出た場合はどう精算するか」を契約前に書面で取り決めておくことが重要です

契約前に確認したい書面と手続き

建設リサイクル法第13条により、対象建設工事の請負契約書には分別解体等の方法や解体工事に要する費用を記載する義務があります。契約時にこれらの記載があるかを確認してください。

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タイミングやること誰が行うか
見積もり時現地調査、アスベスト事前調査業者(調査は有資格者)
契約時請負契約書の締結(分別解体等の方法・費用を記載)施主と業者
着工7日前まで建設リサイクル法の届出施主(業者が代行するのが一般的)
着工前アスベスト事前調査結果の報告元請業者
着工前近隣挨拶業者(施主も同行するとより丁寧)
着工14日前まで特定粉じん排出等作業実施届出(レベル1・2の石綿がある場合のみ)施主(大気汚染防止法)
工事完了後マニフェストの写しの受領(契約で定めた場合)、建物滅失登記施主
解体工事の手続きの流れと担当者(各法令にもとづく整理)

注意したほうがよい業者の特徴

  • 許可・登録番号を聞いても答えない|制度上どちらかは必ず持っているはずなので、答えられないのは不自然です
  • 現地を見ずに金額を即答する|現場条件を確認していない見積もりは、後から必ず変動します
  • 見積書が「一式」だけ|内訳を求めても出さない場合、何が含まれているか判断できません
  • アスベストの話題を避ける|2023年10月以降は有資格者調査が義務です。「うちは大丈夫」で済ませる業者は法令対応が不十分な可能性があります
  • 大幅な値引きを提示してくる|当初の見積もりに根拠がなかったか、どこかで手を抜く前提の可能性があります
  • 契約書を作らない・口約束で進めようとする|建設リサイクル法第13条の記載義務もあるため、書面がないこと自体が問題です
㈱インシュアラ代表取締役社長 金松裕基

誤解のないようにお伝えすると、「安い=悪い」ではありません。自社で重機を持っている、自社で産廃処理施設を持っている、繁忙期を外せるといった理由で正当に安くできる業者もあります。大事なのは「なぜその金額なのか」を説明できるかどうかです。理由を説明できる安さは信頼でき、理由のない安さは後から追加請求につながります。

解体業者選びに関するよくある質問

公式サイトに許可番号が書かれていない業者は違法ですか?

いいえ。許可番号の公式サイトへの記載自体は義務ではないため、書いていないことが直ちに違法を意味するわけではありません。実際に神奈川県内の業者を調査したところ、名簿には登録があるのにサイトでは土木や新築を前面に出しているケースが多く見られました。電話で「解体工事の登録番号か許可番号を教えてください」と聞き、県の名簿で照合するのが確実です。なお建設業法上、建設業者は店舗および工事現場ごとに標識(建設業の許可票)を掲げる義務があります。

「とび・土工工事業」の許可があれば解体工事を頼んでも大丈夫ですか?

とび・土工工事業の許可だけでは不十分です。2016年6月1日に「解体工事業」が独立した許可業種として新設され、とび・土工工事業による経過措置は2019年5月31日で終了しています。現在は、500万円以上の解体工事には解体工事業の建設業許可が、500万円未満でも土木・建築・解体いずれかの許可がなければ解体工事業登録が必要です。とび・土工の許可番号しか示されない場合は、別に解体の許可か登録があるかを確認してください。

建設リサイクル法の届出は業者がやってくれるのではないのですか?

法律上の届出義務者は発注者(施主)です(建設リサイクル法第10条第1項)。実務では施主が委任して業者が代行するのが一般的ですが、代行はあくまで実務上の運用であり、届出をしなかった場合の罰則(20万円以下の罰金)は届出義務者に及びます。見積もり時に「届出は代行してもらえますか」「費用に含まれていますか」を必ず確認してください。なお元請業者には、第12条第1項により書面を交付して事前に説明する義務があります。

マニフェストの写しをもらえない業者は違法ですか?

違法ではありません。廃棄物処理法上、マニフェストの写しを施主・発注者に交付する義務規定は存在しないためです。解体工事の排出事業者は元請業者であり(第21条の3第1項)、マニフェストは元請・収集運搬業者・処分業者の三者間で完結します。確実に受け取りたい場合は、請負契約書に「工事完了後、産業廃棄物管理票の写しを発注者に提出する」と明記してもらうことで契約上の義務になります。なお各主体のマニフェスト保存義務期間はいずれも5年です。

小さな物置の解体でもアスベスト調査は必要ですか?

調査自体は必要です。石綿障害予防規則第3条第1項の事前調査義務に規模の下限はなく、解体・改修作業を行うときは規模を問わず調査が求められます。一方で調査結果の「報告」義務には規模要件があり、建築物の解体では床面積の合計80㎡以上が対象です。つまり小規模な解体では「調査は必要だが報告は不要」というケースがあります。

アスベストの「レベル3」なら届出は不要と聞きましたが本当ですか?

大気汚染防止法の特定粉じん排出等作業実施届出(第18条の17、作業開始14日前まで)の対象はレベル1(吹付け石綿)とレベル2(石綿含有断熱材・保温材・耐火被覆材)のみで、レベル3は届出不要です。ただしレベル3も2021年4月1日から大気汚染防止法の規制対象であり、作業基準の遵守と作業計画の作成は必要です。また事前調査結果の報告義務はレベルに関係なく規模要件で判断されます。なお「レベル1・2・3」は建設業労働災害防止協会による区分で、法令上の用語ではない点にもご留意ください。

相見積もりは何社取るのが適切ですか?

2〜3社が現実的です。各社に現地調査をしてもらう必要があるため、それ以上増やすと施主側の負担が大きくなります。重要なのは社数よりも、同じ条件で見積もってもらうことです。「残置物あり/なし」「ブロック塀を撤去する/しない」「整地のレベル」などの条件を揃えないと、金額を比較しても意味がありません。

国土交通大臣許可の業者は県の名簿で確認できないのですか?

できません。神奈川県が公開しているのは神奈川県知事許可の業者と、県内で解体工事業登録をしている業者の名簿です。2つ以上の都道府県に営業所を持つ業者は国土交通大臣許可となり、県の名簿には掲載されません。この場合は国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムで確認できます。「県の名簿にない=無許可」ではない点にご注意ください。

許可や登録には有効期限がありますか?

どちらも5年です。解体工事業登録は建設リサイクル法第21条第2項、建設業許可は建設業法第3条第3項で、いずれも5年ごとの更新が必要と定められています。名簿で番号を照合する際は、更新されている最新版の名簿を参照してください。神奈川県の名簿は定期的に更新されています。

解体工事業登録は都道府県ごとに必要なのですか?

はい。建設リサイクル法第21条第1項は「当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない」と定めており、工事を行う都道府県ごとに登録が必要です。たとえば東京都で登録している業者が神奈川県で解体工事を行うには、神奈川県での登録も必要になります(土木・建築・解体の建設業許可を持つ場合は登録自体が不要です)。

まとめ|「制度で確認できること」から絞り込む

解体業者選びは、印象や口コミだけで判断すると失敗しやすい分野です。まず制度面で確認できることから候補を絞り、そのうえで対応の丁寧さを比較するのが確実な進め方です。

  • 許可・登録番号を県の名簿で照合する|とび・土工の許可では解体工事業登録は免除されない点、大臣許可業者は県名簿に載らない点に注意
  • アスベスト事前調査の有資格者を確認する|2023年10月以降は法律上の義務。資格者名を即答できるかが実力の指標
  • 建設リサイクル法の届出の扱いを決める|義務者は施主。代行の可否と費用を見積もり時に確認
  • マニフェストの写しを契約書に書いてもらう|法的義務がないからこそ、書面化が唯一確実な方法
  • 項目別の見積書を2〜3社から取る|同じ条件で比較し、金額差の理由を説明できる業者を選ぶ
㈱インシュアラ代表取締役社長 金松裕基

ここまで読んでいただければ、業者に何を聞けばいいかは十分お分かりいただけたと思います。最後に一つだけ付け加えると、質問に対して「分かりません、確認します」と正直に答える業者は、意外と信頼できます。制度は毎年のように変わるので、すべてを暗記している必要はありません。危ないのは、曖昧なまま「大丈夫です」で済ませてしまう業者のほうです。

神奈川県内19市の業者比較・関連記事

各市の実在業者を許可番号つきで比較した記事はこちらです。すべて神奈川県の名簿で照合した業者のみを掲載しています。

この記事の参照元(一次情報)

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内容出典
解体工事業登録・建設リサイクル法e-Gov法令検索「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(平成12年法律第104号)/同施行令
建設業許可・軽微な建設工事e-Gov法令検索「建設業法」/「建設業法施行令」/国土交通省九州地方整備局「建設業許可Q&A」
特定建設業の金額基準国土交通省 報道発表資料(建設業法施行令の改正)
アスベスト事前調査・報告義務e-Gov法令検索「石綿障害予防規則」(平成17年厚生労働省令第21号)/厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」
有資格者の要件令和2年厚生労働省告示第276号
大気汚染防止法の規制環境省「石綿飛散防止対策」資料/同リーフレット
レベル区分の位置づけ環境省資料の注記/国土交通省資料(建設業労働災害防止協会マニュアルを出典として明示)
アスベスト除去費用の目安国土交通省「アスベスト対策Q&A」Q40(2007年の施工実績データ)
マニフェスト制度・排出事業者e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」/同施行規則
神奈川県の業者名簿神奈川県「解体工事業者登録簿の閲覧」/「建設業許可業者名簿」
本記事の記載はすべて上記の一次情報にもとづいています(2026年7月時点で内容を確認)

法令は改正される可能性があります。実際の工事に際しては、必ず各機関の最新の公表内容をご確認ください。また本記事は制度の一般的な解説であり、個別の事案についての法律判断を行うものではありません。

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