監修者

株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基
株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。

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株式会社インシュアラ 代表取締役
金松 裕基
株式会社インシュアラ(信頼の解体レスキュー)の代表取締役社長であり、同サイトの監修者を務める金松裕基氏。 建物解体、内装解体、店舗解体を主な事業とし、その豊富な経験と専門知識を活かして「信頼」のサービスを牽引しています。代表として、また業界の専門家として、安全かつ高品質な解体工事の実現に尽力し、顧客からの厚い信頼を得ています。
RC造の解体工事を検討される際、避けては通れないのが「アスベスト」の問題です。古い建物ほど含有リスクが高く、その有無は費用・工期・安全管理の全てを左右します。しかし、専門的な知識が必要なため、何から手をつければ良いか分からず不安に感じておられる方も多いのではないでしょうか。この記事では、解体のプロである「信頼の解体レスキュー」が、RC造のアスベストの見分け方から、法的手続き、費用相場、そして安全な除去・解体工事の進め方まで、網羅的に解説します。
RC造の解体でアスベストが最重要テーマとなるのは、過去に多用された建材に起因する健康リスクと、法律で定められた厳格な除去義務があるためです。これらは解体計画の根幹を揺るがす要素であり、費用や工期、さらには近隣社会への責任にも直結するからです。
RC造でアスベスト含有建材が多用された理由は、その優れた耐火性、断熱性、耐久性にあります。コンクリートの耐火性能をさらに高めるため、鉄骨梁に耐火被覆として吹き付けられました。代表的な建材は以下の通りです。
・吹付け材(耐火被覆、吸音材として) ・ビニル床タイル、床シート ・配管を覆う保温材、断熱材 ・外壁や内装の仕上塗材
これらは建物の強度や機能性を高める目的で使われたため、構造が強固なRC造とは特に相性が良かったのです。
アスベストの最大の問題は、飛散した繊維を吸い込むことによる深刻な健康リスクです。そのため、除去作業は法律で定められた厳格な手順に則って行う必要があり、これが工期・費用・近隣対応に大きな影響を及ぼします。例えば、レベル1の吹付けアスベストの除去では、隔離された空間での専門的な作業が必須となり、工期が1ヶ月以上延長し、費用も数百万円単位で増加します。近隣への事前説明もより丁寧さが求められるため、アスベストの有無が計画全体を左右するのです。
所有するRC造の建物にアスベストが含まれているかを見分けるには、専門家による段階的な調査が不可欠です。建築時期からリスクを推定し、設計図書で確認、最後は現地調査で確定するという流れが基本となります。
アスベストの有無を判断する最初のステップは、建物の建築年を確認することです。アスベスト含有建材の製造は2006年9月に原則全面禁止となりました。そのため、【2006年以前に建てられたRC造建物】は、アスベストが使用されている可能性が高いと一次判断できます。特に1975年以前の建物は、発じん性の高い吹付け材が使われているリスクがあるため注意が必要です。
次に、建築時の設計図書や仕様書、仕上表などの書面を確認します。これらの書類には、使用された建材の商品名や品番が記載されている場合があります。国土交通省や建材メーカーが公開しているアスベスト含有建材のデータベースと照合することで、含有の有無を判断できることがあります。ただし、図面通りに施工されていないケースも多いため、書面調査だけで「含有なし」と断定することはできません。
2022年4月より、建物の解体・改修工事を行う前の【アスベスト事前調査】が法律で義務化されました。調査は有資格者が以下のステップで行います。
設計図書や仕様書を確認し、アスベスト含有建材の使用の可能性を洗い出します。
現地で実際に建材を確認し、書面との整合性や、書面にない建材の有無を調査します。
目視で建材の特定ができない場合、その一部を採取し、専門の分析機関でアスベストの有無と種類を確定させます。
事前調査は、今や「念のため」ではなく法律で定められた【絶対的な義務】です。「調査は費用がかかるから…」と省略を提案する業者は、法令遵守の意識が低いと言わざるを得ません。適切な調査こそが、後々の追加費用や工期遅延を防ぐ最も確実な一歩です。
RC造の事前調査では、特有の部位からアスベストが発見される傾向があります。特に注意すべきは以下の箇所です。
・駐車場の天井、梁(耐火・吸音の吹付け材) ・機械室、ボイラー室(配管の保温材、耐火被覆の吹付け材) ・共用廊下、階段、給湯室(ビニル床タイル、シート) ・外壁の目地(シーリング材)
RC造の建物では、どのような場所にアスベストが使われているのでしょうか。ここでは、実際の現場でよく見られる具体的な部位と建材の例をご紹介します。
吹付け材は、RC造の鉄骨梁や柱、天井などに直接吹き付けられる綿状の建材です。 ・主な目的:耐火性能の向上、吸音・結露防止 ・よくある場所:大規模な駐車場の天井、ボイラー室・機械室、エレベーター機械室
内装の仕上げ材にもアスベストは広く使われていました。 ・主な建材:ビニル床タイル(Pタイル)、長尺シート、床タイル接着剤 ・よくある場所:共用廊下、給湯室、古いオフィスの床、階段
RC造の建物には多くの配管設備が存在し、その周辺にアスベストが多用されました。 ・主な建材:配管用の保温材・断熱材、煙突の断熱材、配管接続部のガスケット・パッキン ・よくある場所:ボイラー室、機械室、天井裏の配管
目に見えない下地材にもアスベストは潜んでいます。 ・主な建材:セメント系モルタル、石膏ボード、耐火被覆材 ・よくある場所:外壁塗装の下地、内壁の仕上げ材の下地、鉄骨の柱や梁
アスベストはその発じん性(飛散のしやすさ)のリスクに応じてレベル1から3に区分され、それぞれ対処法が異なります。
| レベル | 主な建材例 | 発じん性(飛散リスク) | 必要な対策 |
| レベル1 | 吹付け材 | 著しく高い | 作業場所の完全隔離、負圧管理など最も厳重な措置 |
|---|---|---|---|
| レベル2 | 保温材、耐火被覆板 | 高い | レベル1に準じた厳重な措置 |
| レベル3 | ビニル床タイルなど成形板 | 比較的低い | 湿潤化、手作業による丁寧な撤去 |
RC造の解体では、建物を最終的に無くすため、どのレベルのアスベストであっても「除去」が基本となります。
解体工事では「除去」が原則ですが、建物を継続使用する場合は他の工法もあります。
| 工法 | 概要 | メリット | デメリット | 解体時の適用 |
| 除去 | アスベストを全て取り除く | 完全に無くせる | 費用と工期がかかる | 原則この工法 |
|---|---|---|---|---|
| 封じ込め | 薬剤で表面を固め飛散を防ぐ | 低コスト・短工期 | アスベストは残存する | 不可 |
| 囲い込み | 板材で覆い隠し飛散を防ぐ | 低コスト・短工期 | アスベストは残存する | 不可 |
アスベスト除去工事では、安全管理のために特別な工程が必要です。レベル1の除去では、隔離空間を作るための養生作業、除去作業、清掃・確認で1ヶ月以上の工期が必要になることもあります。作業中は「負圧集じん・排気装置」を稼働させ、除去したアスベストは湿潤化・二重梱包の上、特別管理産業廃棄物として厳重に処理されます。
アスベストを含むRC造の解体は、大気汚染防止法などに基づき、着工前に様々な手続きと届出が義務付けられています。
着工までには、以下のステップで手続きを進める必要があります。
アスベスト除去工事を行う際は、詳細な作業計画の策定が求められます。この計画には、作業員の安全を守るためのリスクアセスメント(危険性の特定と評価)が含まれます。また、現場ではアスベスト作業を行う「隔離区域」を明確に設定し、関係者以外の立ち入りを厳しく制限します。
アスベスト除去を伴う解体工事では、近隣住民への丁寧な事前説明が極めて重要です。「アスベスト」という言葉は、人々に大きな不安を与えるため、除去作業の安全性、飛散防止対策、空気環境の測定計画などを具体的に説明し、理解を得る必要があります。
アスベスト除去費用は、解体工事費とは別にかかる追加費用です。見積書の内容を正しく理解することが、適正価格で信頼できる業者を選ぶための第一歩です。
まず、アスベストがない場合のRC造の解体費用は、坪単価で6万円~10万円程度が目安です。例えば、延床面積50坪の建物であれば、300万円~500万円が基本的な解体費用となります。アスベスト関連の費用は、この基本費用に上乗せされる形で計算されます。
アスベスト関連費用の内訳は以下の通りです。
| 費用項目 | 内容 | 費用目安 |
| 調査・分析費 | 有資格者による現地調査、試料分析 | 5万円~15万円/件 |
|---|---|---|
| 除去費(レベル1) | 吹付け材の除去作業 | 2万円~8.5万円/㎡ |
| 除去費(レベル2) | 保温材などの除去作業 | 1万円~6万円/㎡ |
| 除去費(レベル3) | ビニル床タイルなどの除去作業 | 2千円~5千円/㎡ |
| 養生・仮設費 | 隔離空間の設置、負圧集じん装置など | 規模により変動 |
| 運搬・処分費 | 特別管理産業廃棄物としての処理 | 量と距離により変動 |
見積書を見る際、最も注意すべきは「一式」という表記です。特にアスベスト除去費が「一式〇〇円」となっている場合、作業範囲が不明確で、後から追加費用を請求されるリスクがあります。信頼できる業者は、必ず「レベル別・㎡単価×面積」といった形で、費用の根拠を明確に示します。
除去費以外にも、安全対策と廃棄物処理のための費用がかかります。特にレベル1・2の除去では、作業場所を完全に隔離するための養生や、負圧集じん装置などの仮設費用が高額になります。また、除去したアスベストは「特別管理産業廃棄物」として、通常の廃棄物より厳重に、かつ高額な費用で運搬・処分されます。
アスベスト関連費用は、作業スペースが狭い、高所であるなど立地条件が悪い場合は、養生や作業の手間が増えるため費用は上がります。もちろん、除去するアスベストの面積や含有量が多いほど高くなります。また、アスベスト除去と本体解体を別の業者が行う「分離発注」は、管理費が二重にかかり、割高になる可能性があります。
アスベスト除去工事は、解体全体の工期を大きく左右します。安全を最優先しつつ、いかに効率的に段取りを進めるかが、スケジュール管理の鍵となります。
アスベストを含むRC造解体の基本的なスケジュールは、以下の4段階で進みます。
工期が遅れる最大のボトルネックは、アスベストの「調査・分析」と「届出」の期間です。解体を決めたら、まず最初にアスベスト調査を依頼することが、その後の工程をスムーズに進めるための最善策です。調査結果が早く確定すれば、除去計画や届出準備も前倒しで進められます。精度の高い調査を初期段階で行うことが、結果的に工期短縮に繋がるのです。
アスベスト除去と解体工事を、別々の業者に依頼する「分離発注」と、一社にまとめて依頼する「一括発注」があります。分離発注は、業者間の調整が煩雑になり、工程の隙間(ロス時間)が生まれやすく、工期が延びがちです。一括発注は、窓口が一本化され、除去から解体までシームレスな工程管理が可能なため、工期短縮と責任の明確化という点で有利です。
アスベスト除去工事の品質は、いかに繊維を飛散させずに安全に作業を完了できるかで決まります。法律で定められた基準を遵守し、徹底した安全対策を講じることが重要です。
安全対策の基本は以下の通りです。 ・個人防護具:作業員は、電動ファン付き呼吸用保護具や使い捨ての防護服などを完全に着用します。 ・負圧管理:作業区域内は、常に負圧集じん装置で内部の気圧を外部より低く保ち、粉じんの漏えいを防ぎます。 ・空気環境測定:除去作業中および完了後には、空気中のアスベスト繊維濃度を測定し、基準値以下であることを確認します。
作業中の飛散防止策は徹底されます。 ・湿潤化:除去対象の建材に専用の薬液を散布して常に湿らせ、粉じんの発生を抑制します。 ・集じん:高性能(HEPA)フィルター付きの真空掃除機で粉じんを吸引します。 ・二重梱包:除去したアスベストは、湿潤な状態で丈夫なプラスチック袋で二重に梱包します。
除去工事の完了確認は慎重に行われます。 ・清掃確認:高性能真空掃除機での吸引と、雑巾での拭き取りを繰り返し、アスベスト繊維が残留しないようにします。 ・漏えい点検:養生シートに破れや隙間がないかを確認します。 ・クリアランス測定:隔離を解く前に、区域内の空気環境測定を行い、安全な基準値以下であることを確認します。
アスベスト除去を含む解体工事は、業者選びが最も重要です。以下のチェックリストを参考に、信頼できる業者を見極めましょう。
業者選びで最もお勧めしたいのは、調査・除去・解体を一貫して管理できる「ワンストップ対応」の会社です。業者間で責任のなすりつけ合いが起こらず、工程管理もスムーズです。弊社のように、全ての工程に責任を持つ業者を選ぶことが、施主様の精神的なご負担を軽減し、最終的な工事品質を高めることに繋がります。
実際の工事事例を基に、アスベスト除去を伴うRC造解体の費用や工期がどのように決まるのかを見ていきましょう。
| ケース | 建物概要 | アスベストの状況 | 対策のポイント | 追加費用・工期 |
| ケース1 | 5階建て事務所ビル | 機械室天井にレベル1吹付け材50㎡ | 機械室全体を完全隔離し、負圧管理下で除去 | 約300万円・約1ヶ月 |
|---|---|---|---|---|
| ケース2 | 3階建てアパート | 全戸の床にレベル3ビニル床タイル | 階ごとに区画を分け、湿潤化を徹底して手作業で除去 | 約150万円・約2週間 |
| ケース3 | 商業施設 | レベル2保温材とレベル3床材が混在 | 工程を一部重ねる(オーバーラップさせる)計画で効率化 | (総額約2,500万円) |
築45年、5階建てRC造事務所ビル。機械室天井にレベル1の吹付けアスベストが50㎡。機械室全体を完全に隔離養生し、負圧管理下で除去。除去工事に約1ヶ月、本体解体に約2ヶ月を要し、総工期は約3ヶ月となりました。アスベスト関連費用(調査・除去・処分)で約300万円が追加でかかりました。
築35年、3階建てRC造アパート。全戸の床にレベル3のビニル床タイルと接着剤。居住者が退去した階から順に、区画を分けて除去作業を実施。湿潤化を徹底し、手作業で丁寧に剥がすことで、大規模な養生を避けコストを抑制。除去にかかった追加費用は約150万円、追加工期は約2週間でした。
築40年、RC造の商業施設。配管保温材(レベル2)と床材(レベル3)が混在。まず発じん性の高いレベル2の保温材を除去。その除去工事の終盤、安全が確認されたエリアから、レベル3の床材除去チームが作業を開始。工程を一部重ねることで、全体の工期を約2週間短縮しました。
アスベストを含むRC造の解体に関して、お客様から特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。
調査は【法律で定められた義務】であり、必ず必要です。未調査のまま解体工事を行うことは違法であり、発覚した場合は施主にも罰則が科される可能性があります。絶対に「調査なし」で工事を進めてはいけません。
解体を前提とする場合、「除去」以外の選択肢はありません。「封じ込め」や「囲い込み」は、建物を今後も使い続ける場合の延命措置です。解体時は、費用がかかっても完全に除去することが、将来のリスクを無くす唯一の方法です。
多くの場合、【利用可能】です。国や地方自治体は、アスベストの除去工事に対して補助金や助成金制度を設けています。 ・国の補助金制度(住宅・建築物アスベスト改修事業など) ・地方自治体独自の助成制度 対象条件や補助額は自治体によって異なるため、所在地の自治体のウェブサイトで確認することをお勧めします。
万が一、近隣から苦情が来た場合は、まず真摯に話を聞き、誠意をもって対応することが第一です。工事を一旦中断し、現場責任者が直ちに状況を確認します。その上で、苦情の原因と具体的な改善策を丁寧に説明します。業者任せにせず、施主としても業者と共に対応する姿勢を見せることが重要です。
RC造の解体工事におけるアスベスト問題は、非常に複雑ですが、成功の鍵は「精度の高い事前調査」と「適切な段取り」に集約されます。この2つを徹底することが、安全・コスト・工期の全てを最適化する最短ルートです。
成功へのステップは明確です。 調査 → 計画 → 除去 → 解体 → 確認 この一連の流れを、信頼できる専門家と共に、一つ一つ着実に実行することが、アスベスト解体を成功に導きます。
複数の業者から見積もりを取る際は、以下の最終チェックを行ってください。 □ アスベスト関連の費用内訳は詳細かつ明確か? □ 安全対策費が適切に計上されているか? □ 許認可や実績は十分か? □ 施主の不安に寄り添い、透明性の高い情報を提供してくれるか? 総額の安さだけで判断せず、信頼できるパートナーを選ぶことが最も重要です。
私たち「信頼の解体レスキュー」は、RC造のアスベストに関するあらゆるお悩みに、ワンストップで対応いたします。有資格者による精度の高い事前調査から、各レベルに応じた最適な除去計画のご提案、法令に準拠した安全な除去・解体工事、そして近隣への配慮まで、全て安心してお任せください。アスベストに関するご相談、お見積りは無料で承っております。まずはお気軽にお問い合わせください。